表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
立体の男は異次元から  作者: 伊代
王子という男たち
13/41

二ノ三.穏やかでないティータイム

「うん、旨いな」と豪快にドーナツを頬張るアルディア国王。

「へー、これ野菜が入ってるの? 普通に美味しいよ」と無邪気な第三王子(愛称セイ)。

「優しい味がしますわね」と上品にフォークで口に運ぶ王妃マリエッタ。

「悪くない」とやはり口数少なく眼光鋭い第一王子(愛称ウォーレン)。

「良い物選んだじゃないのー」と感心する魔女ヴァーラ(仮の前世姉)。

「勿論ですよ、リオナさんのアドバイスを頂きましたから」と胸を張る優男風なドS第二王子(愛称ファレス)。

「は、はぁ……」と、どうにかして逃げたいわたし(リオナ疑惑の成瀬里緒)。


 麗らかな陽射しの中、咲き誇るバラに囲まれていただく上等なはずのお茶は緊張マックスで全く味がしない。高スペック過ぎるご一家はキラキラ眩しすぎて、あまりの場違い感に自分と同じ一市民風のヴァーラが居なかったら逃げ出していただろう。


―――というわけで、何故かわたしはアルディア城の庭園にて上品なティータイムを過ごしております。

 きっちり「ドーナツ七個」という指定だったのは、最初からこの状況までもが含まれたミッションだったということだ。嵌められた感が半端ない。



 あの後、ドーナツの入った箱を突きつけて即「はいサヨナラ」を切に希望したのだが叶わなかった。

「国に連れて来るよう言われています」「急病だって言っといて」「婿候補達がツルツルになっても良いと?」「いや結婚しないし。てかしたくないし!」「いえ、私としてもらいますよ」「いつどこでそういう話に!?」「つい今し方、私の中でそう決定しました」「意味分からんっ! 結婚反対!」「では貴女のせいでアルディアが滅ぶのですね(ニヤリ)」というファレスとのやりとり(脅迫)に屈してしまったのだ。

 そんなプレッシャーをかけられて平気でいられるほど図太くはない。


 ただでさえ偏執性を放射しまくりの色気のあるネチっこいビームに絡めとられて、ただその視線のみによる断続的な精神ダメージを与えられドーナツが逆流しそうになるのを必死に堪えているので、これはもう魂を削っての抵抗だったのだが……。

 ファレスの言葉自体は今まで通り丁寧なままなのに、言葉の端々に意地の悪さが含まれていて彼の俺様ドSっぷりがさらけ出されている。表情も今までの「ふんわりにこり」から「いじわるにやり」に変わっていてそれを隠そうともしていない。

 そんな大変身を遂げた男とこれ以上遣り取りを続けるのもイヤだし、一刻も早く二人きりの状態を回避したかったこともあり仕方なく着いてきてしまったものの……。



(どういう図なの、これ)

 わたしがここに居る理由も不明だが、国王の血筋を絶やそうとしている元凶の魔女も仲良くお茶って。

(ほんとに国の危機? わたし騙されてない?)

 今にもこの一家と魔女が「はーい、実はドッキリでしたぁー!」なんて言い出すんじゃないかとドキドキしている。


「はーい、これでツルツルの刑は無しにしとくわねー」

「ヴァーラ、あんまり戯れにうちの男たちを困らせないであげてね?」

「あら、大丈夫よー。命とったりはしないから」

 ……、やっぱり戯れなのか。それに付き合う程暇じゃないんだけど。

 基本的にわたしの仕事ネットは二四時間可能だがサボった分だけ収入が減ってしまうし、それより何より二次元に萌える時間がなくなってしまうのが痛い。ああ、二次元に逃げたい(遠い目)。

「でもうちの子たち、もうみんな良い歳なのにまだ誰も決まった相手が居ないじゃない? はやく呪いを解いてもらわないと、どんどん婚期が遅れていくわぁ」

(あ、それ、わたしも気になっていたんだよね)

 二次元のこういったファンタジー世界では大抵ハタチ位でもう子供がいたりするものじゃないだろうか。実際国王も王妃もかなり若く見える。おそらく四〇代前半だろう。こんな大きな子供たちがいるとは到底思えない。

「それはー、リオナ次第よねぇ」

(今はともかく、これまで女が居なかったのはわたしのせいじゃないだろっ!)

 と声を大にしてツッコみたいのは山々だが、ここで王族一家と強大な魔女に向かって否定や言い訳をぶつけるほど馬鹿ではない。


 怒りを抑えて黙り込むわたしをよそに王妃とヴァーラはなにやら目配せしたかと思うと、ふと立ち上がり左右からわたしを囲んで「ちょっといらっしゃいな」とテーブルを離れ、薔薇園の中程にある東屋へ。

(今度は女子会ですか……)

 まぁ先ほどまでの状況よりは多少マシ……か?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ