死体コレクター
続編も書こうと思っていますが、自信がないのでわかりません…。(笑)
……窓の外をじっと眺めてみる。窓から見える湘南の海は、地平線へと沈みゆく夕日で朱色に染まり、波が光を反射して、ちょっとした絶景になっている。 僕は、この毎日のように見る景色がとても好きだ。一日の嫌な気分も、忘れてしまえる。それに加えて僕の横には、その幸せをさらに大きくしてくれるものがある。
…町田 嘉代子。それが『物』の名前だ。『それ』が持っていたショルダーバッグの中にあった運転免許証からわかった。『それ』は全裸で、ベッドの上で僕の傍らに横たわっていた。脱がせた衣服はベッドの隅にきちんとたたんで置いている。身につけていたアクセサリーなどもその上に置いてある。
(腐らないように、早めに『保存』しておくかな…。)そう思った僕は『それ』を抱きかかえ、地下室にある冷凍庫へと向かう。
…『彼女』に初めて会ったのは、昨日の午前1時頃だった。
12時まで会社で残業した帰り、寄り道した居酒屋で『彼女』はひとりで飲んでいた。見たところ20代前半だろう。えらく不機嫌な感じだった。それとなく話を聞いてみると、会社の上司に嫌がらせをうけたのだという。『彼女』は最初は不機嫌そうに話していたが、話すにつれて少しずつ落ち着いていった。
「あなたに話してだいぶ楽になったわ。付き合ってくれてありがとう。」
みたいな感じでそのまま3時まで酒を一緒に飲み、家に誘った。
『彼女』は部屋に入ると待っているかのようにベッドに横になってこちらを見た。僕はそれに従い、ベッドの『彼女』に馬乗りになった。『彼女』は目を閉じた。
…そして僕は『彼女』の華奢な首に手をかけた。
瞬間、『彼女』は目を見開き、驚愕の表情で僕を見つめたが、泥酔していたためたいした抵抗もできず、首の骨を砕かれ絶命した。
大きく目をひらいたまま、『彼女』の時は止まった。
…地下室の扉を開け、冷凍庫の前に『それ』を置く。死後半日以上経っている『それ』は、徐々に異臭をはなちはじめていた。僕は冷凍庫の扉につけているとても大きな南京錠をはずした。
この冷凍庫はこの家を購入したときからあった。十六畳ほどもあるこの冷凍庫を前住者が何故作ったかは知るよしもないが、僕にとっては非常に都合のいい『これら』の保管場所になっていた。重く冷たい扉をあけ、『それ』をかかえて中に入る。そして『六体目』の左側に『それ』を立て掛けた。僕は冷凍庫から出る前に全体を見渡し、満足感をかみしめながら地下室をあとにした。
人には誰しも『趣味』というものがある。それはスポーツであったり、読書であったり、ゲームであったりもする。
僕の『趣味』もそんな中のひとつだ。
…そう。僕の『趣味』は『集める』ということ。いままでも、これから、ずっと先も。