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第四話

【護視点】


「う〜ん……ここどこだ?」

 眼が醒めたら空があった、そして地面が固い。なんでこんなところで寝てるんだっけ……。


「あ〜思いだし「死ねぇぇぇーーー!」たぁぁぁああぁぁぁ?!」


 空から物騒な一言を叫びながら拳を振り下ろす女が降ってきた。つーか避けないと死ぬ!


「必死技!緊急前転!」


 説明しよう!必死技とは、危険が降り懸かった時に出る緊急時専用技なのだ! 緊急前転とは、ただの前転である!説明終わり!

 前転して拳をギリギリ避ける、拳は空を切り地面を砕いた。地面の砂埃で姿が見えない。


「チッ!一撃で仕留め損ねたか…。」


 何この女!こわっ!

 砂埃が晴れて姿が見える、あれ?意外とまともな見た目だな…

 ツリ目でちょっと怖い顔立ち、髪は黒髪セミロングで服装はジャージだった。もっとゴリラみたいな感じだと思ったんだが……綺麗だな。

 いや待て、なんで俺は殺されそうになったんだ?学校に遅刻したからか?

 まさか…


「まだ試練が続いているのか?!」


 終わったと思ったら次は戦闘!?

 本気で恨むぜ神様…あんたはいつかぶん殴る、とりあえず目の前の過酷な状況を乗り越えなくちゃな。


「あんた……何者だ?」


 冷静に話せ、もしかしたら戦闘をしなくていい案が出るはずだ。それまで時間を稼げ!


「私は紫堂!戦闘教育者だ!最近厳しすぎて仕事を外された暇な教師だ!訳あって君を殺す!」


 話し…合い…出来ないな、完全に目が楽しそうだもの。なんで目がキラキラしてんの?その目おかしいぞ?!……分かったぞ。

 この女もしかして…


「馬鹿だな?」


「あ゛?」


 女の顔が鬼と化した、うっかり口が滑ったぜ。と、とりあえず謝らないと。


「すまない、今のは口が「予定では半殺しだが絶対に殺す!」…そうなるよな。」


 自分で生き残る道を無くしてしまった…くそっ!打つ手が無いぜ……どうすれば………待て。


「あんた……教師だよな?」


「そうだが、これから死ぬ奴には関係無い。」


「三つ質問したい……ダメか?」


 頼む!…俺に発言する権利を!目が怖い!超見てる!俺は今蛇に睨まれた蛙状態だ!


「殺す前に聞いてやる、言ってみろ。」


 よし!まだ見られてて怖いが発言が許可された。

 冷静に…ゆっくり…正確に伝えるんだ、この質問は俺の未来を決める質問だ!


「一つ目の質問だ。……あんた教師つったな、教師だから学校からここまで来たと思うんだが…ここから学校までは近いのか?」


「…………。」


 沈黙が怖い!背中が汗で大変なことになってる、どれぐらいだ…!近いと言ってくれ……!


「…………近いな、走ればすぐに着く距離だ。」


 よし!拳を握り喜びを我慢する。落ち着け……まだ早い、質問出来るのは後二回だ。次は……


「二つ目だ……橋の先には森があるが真っ直ぐ歩いたら迷わず着くのか?」


 俺は森を指さした。橋を渡った先には森がある、奥がよく見えない森だ。樹海にはなってないと思うが迷わない保障は無い、確実な情報を聞き出さなくては……樹海だったらどうするかな…。

 女は森を見て喋りだした。


「必ず着く、この森は特殊な魔法がかかってる……らしい。人が来ると木々が避けて道を作るそうだ。」


 なるほど、これで俺の生き残る術が見えてきた。魔法とかよくわからんが、真っ直ぐ着くって事だな。

 イケる!イケるぞ!最後の三つ目で俺の作戦の土台が出来上がる!


「じゃあ最後の質問だ……あんたの拳凄かった、地面を砕くとは恐れ入ったよ。それで人を殴ったらどれぐらい飛ぶんだろうな?」


 直球勝負だ!学校まで飛ぶと言ってくれ!俺の未来のために!

 今のうちに作戦を説明しよう、ここまで来ればもう分かってると思うがな…。 この女に殴られて学校まで飛ぶ作戦だ。



 無理な気がするな…



「生き物は…一撃で静める自信はある!だが飛ばしたことは無い!」



 ふむ…威力はあるな。俺の体は一撃耐えられるか? まともに貰ったら…死ぬな、絶対に死ぬ。しかし他に手段が無いからな〜、当たって砕けろ?俺の体が砕けるわ!


「なら試してみないか?……あんたの一撃でどれだけ人が飛ぶか……。」


「いいだろう!殺すついでに吹っ飛ばしてやる!」


 即答!?目がキラキラしてるよ、殺す……ついで……?

 死ぬ前提でやるわけだな…こいつ本当に教師か?

こんな教師がいる学校に今から飛ぶのか、何か日本語おかしいし。


「全力で殴るから、覚悟を決めろ。」


 女が腕をぐるぐる回しながら歩いてくる、正直逃げたい。チーターぐらいの速さで逃げたい。

 でも逃げねぇ!絶対に死なずに着くんだ!

 俺は顔の前で腕をクロスさせる、女は殴る準備が出来たのか拳を後ろに引いた。


「いくぞ…はあぁぁぁぁ!鉄拳!」


 俺の腕に拳を放つ、全力で腕に力を入れて防御する。


ズドン!!!!



 最初に来たのは衝撃だった、巨大なハンマーで吹き飛ばされる衝撃。骨が軋む、痛みが…来ない?

 少し気を緩めた、周りの木々が揺れてる……まさか!

 俺はどこかで油断していた、女の拳なんて軽いもんだと。

 頭で理解した、あの女の拳が早すぎて全てが遅れてくる。反応も。意識も。

 そして風。

 異常な風圧が俺に吹く、徐々に体が後ろに下がる。

「この状態で痛みが来るかっ!」


 言いようの無い激痛。腕に激痛が常に来る。死にたい。こんな痛みが常に来るなら死にたい!

 それほどまでに痛みは激しかった。


「俺は……学校に……っ……行くんだぁぁぁぁぁ!」

 耐える!まだ始まってねぇぇぇんだよ!


「ほぅ……そうゆう策か、中々根性がある奴だ。」


 作戦がバレたか!?だが今頃気づいても遅いぜ、既に体が浮きそうだしな。腕がまだ痛い!


「しかしその策は失敗に終わる。何故か解るか?」


 何を言ってやがる、俺の作戦は成功だ。俺は殴られた!そして俺は学校まで飛ぶ!完璧な作戦だ!

 だがこの女の質問に何か引っかかる。何だ、何故引っかかるんだ!?


「その策は飛ばす側と飛ぶ側に条件が一つづつ必要になる。一つは飛ばす側の条件、飛ばす側には飛ぶ奴を吹き飛ばす力がいる。これはクリアしてる訳だが……。」


 この女の拳が地面を砕いた所を見た、だからイケると確信した。しかし飛ぶ側の条件……待てよ?

 俺は今……


 どっちに立っている?!


「気付いたか…もう一つの飛ぶ側の条件は、飛ぶ場所の方向に立っていなくてはならない。」


 俺は…まだ…橋を渡った後の地面に立っている!

 ミスったああぁぁぁぁ!体が地面から浮き、異常な風圧が俺の体を来た道へと吹き飛ばした。


「うわあああぁぁぁ………。」


「じゃあな……さて、じじぃに報告しに行くか。」


俺は空の旅へと飛び立った。


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