十三話
「ふむ……帰るか……」
「紫堂！」
部屋割りのことで紫堂を探していた訳だが、いた場所は学園長室だった
「こんな所にいたのか、えらく探したぞ？」
「私に何か用か？」
「聞きたいことがあってな……」
「奇遇だな、私も聞きたいことがある。今すぐに」
今すぐ？ 急ぎみたいだから先に聞いてみるか、俺なんかしたっけ……
「俺に聞きたいことってなんだ？」
「……気づいてないのか？ それとも既にそうゆう関係か？……」
声が小さくて聞き取れないな、俺マジで何かやったのか！？ 全く身に覚えが無いぞ！？
「ハッキリ言ってくれないか！ 俺何かしたのか！？」
「…………」
悩んでる！？ そんな困ること！？ どんどん不安になってきたぞ！
「言いづらいなら無理に言わなく……「よし！言うぞ？」言うの！？」
急に来た！怖い！俺の顔か！？それとも体の部位がオカシイとか！？ 悩む度に不安増大！
とりあえず深呼吸……
すぅぅぅぅーーーーー
…………
はぁぁぁぁぁぁーーーー
「さぁ来い！」
「何で篠崎と腕を組んでるんだ？」
…………は？
隣にいた響子と目が合う、俺は響子と腕組状態。
どゆこと！？
「何で腕組んでるんだ！？」
「最初は抵抗したものの私が気にせず歩いていたら護は慣れたの」
そういえばそうでしたね、俺が悪いのか？ 俺が悪いのか……
「とりあえず離しなさい」
「任務は完了したから別に構わないわ」
任務？ とりあえずここに来た目的を果たさなくては……
「紫堂、聞きたいことは終わりか？」
「無理やりされてたんだろ？………私もしてみるか……」
俺のターン！！
「俺が聞きたいのは部屋割りのことだ」
「部屋割り？……あぁー私と一緒が不満か？」
なんでちょっと怒ってんの！？ 一言で怒るとか、やだこの子怖い
「まとめて言うとだな、どうして俺が「響子と一緒」じゃないんだ？ 女子しかいないんだから「響子と一緒」でもいいじゃないか」
響子は俺の会話中に喋るな
あれ？ そんなこと言ってないよ！？ なんでそんなことに！？
「護はそれを言いに来たのよ」
違うぞ？一人の方が良いと言いに来たんだが……
「…………」
「…………」
二人の無言の睨み合い、これは何か言ったらケガするな、誰か助けろ
ガチャ
「何やっとるんじゃお主ら」
救世主！そしてこの部屋の主！
学園長登場！さくっとあの二人を静めてやってくれ！
「むぅ……原因はお主じゃな草壁、どうせ部屋割りのことで抗議に来たら篠崎君との謎の腕組を追及され、部屋割りについて話し始めたら篠崎君が会話に被って誤解を生み、今の睨み合いになっとるのじゃろ？」
このジジイ怖いな、最初から見てたぐらい鮮明に答えやがった
「とりあえず座りなさい、そこの二人もじゃ！いつまでも見つめあっておらんで座らんか！」
「「見つめあってない！」」
見事にハモった、三人がけのソファーが１つと一人用のソファー２つ対面してるな……
選択肢
１一人用のソファーに座る
２三人がけソファーの真ん中に座る
３二人が座るのを見守る
ふむ……３かな。二人はどこに座るやら。
響子→三人がけのソファーの端へ
紫堂→三人がけのソファーの逆端へ
んじゃ選択肢は１で……
「じゃあ草壁は真ん中に座りなさい」
「いやいや、一人用に座るよ」
「さっきまで睨みあってた二人じゃぞ？ 何が起きるかたまったもんじゃないわい」
遠回しに犠牲って言ってるよね？ 選択肢は?しか無かったのか、俺はしぶしぶ間に座った。
「部屋割りのことは後で菫君に話しておくぞぃ、実は草壁に頼みごとがあっての」
「俺に頼みごと？」
俺に頼む程度だから簡単だろー
雑用とか？ 草むしりとか喜んでやるよ？
「実はある女の子の面倒を見て欲しいんじゃ……」
「女の子？」
？ え？……人？
「うむ、入ってよいぞ？」
学園長が扉に向かって話しかける、扉が開くとそこには小さな女の子が立っていた。
白い布切れを羽織り、銀色のショートカット、黒い瞳は全てを見透かしているかの様に深い。
少女はこちらをじっと見つめながら俺の前まで歩いてくる。
「な、なんだ？」
「…………」
紫堂と響子は俺の前に立った少女を見つめている
とりあえず話しかけてみるか
「はじめまして、俺は草壁護。君は？」
「……無い」
「ん？」
「名前………無い」
そうか、名前が無いのか
「彼女は森で倒れていたんじゃよ、親に捨てられたか、はたまたいないのか……」
どんな理由があるかはわからないけど、とりあえずこいつは一人なんだな。
「とりあえずお主の妹という形でよいかのぅ？ 」
「いやよくないよ？」
「ではそのように手配します」
「菫さん？ いつからいたのか聞かないけど手配しなくていいから」
「私を嫁に…」
「響子ちょっと黙りなさい」
「私が婿にもらう」
「紫堂も少し落ち着け」
お前ら言いたい放題だな！
「……おにぃ？」
「え？ いやちょっと待って「おにぃ」……マジかい……」
前から膝に乗られ抱き締められました、もうこれ否定出来ない
「解決じゃな、菫君、新しく部屋割りをして皆を連れてってくれ」
「わかりました」
全員が菫さんの後に着いていき部屋を出た
…………
部屋割りの結果……
俺は一応一人になれた
響子は紫堂と同部屋
少女は一時的に菫さんと同部屋になった
一応一件落着
っと眠くなってきたので寝ることにするよ、今日は忙しかったな……
翌朝、異常に抱き心地のいい物に目が覚める。
どこ触っても柔らかくていつまでも触っていたい、そんな物。
手を動かしていると何かを掴む、特別に柔らかい何かを。
「んっ」
まて
布団を思い切り捲り、さっきまで触っていた物を確認する、そこには……
前に見た全裸の女が、全裸で寝ていた。
「眩しい……」
ふむ……
どゆこと？
