十一話
「待て」
質問を止めたのはイベント係こと紫堂だった
あり得ないと思っていたので呆けてしまった、周りも同じ思いなのか固まっている。
響子は黙っている筈もなくすかさず反撃の返答
「どうしてですか? 紫堂先生を困らせる内容では無いと思いますが、むしろこれ以上の質問などありません。」
「残念ながら困るんだ、私は草壁を気にいってるからな、今お前と婚約など言語道断!」
うーん、紫堂に気にいられてるのか……まぁ悪い気はしないな、やっぱり魔力無いと興味が持ちやすいんだろうか…
「こうゆう質問はどうだ? 私か篠崎、どちらが好まれてるかを草壁に答えてもらう!」
な ん だ と !?
何その二択!? 止めてくれたのは嬉しかったが、質問変えるのは余計だ! 下手したらさっきより困る質問になったな、これは…あれか、新手のイジメ?
「分かりました、それにしましょう」
そこは変えるなよ! 自分の質問貫き通せよ! あ〜響子が凄い見てる、期待が籠った目で見てるわ〜
紫堂は……純粋な瞳で見られてるし、もうどうしていいか分からないよ。
『では質問が変わった所で、草壁君に答えてもらいましょう!』
司会者後で覚えとけよ! 他人事だと思って…いやまぁ他人事だろうけども……
「……護」
はっはっは、待ってくださいよ響子さん。今全力で悩んでますから……
「……草壁?」
なにその選ばなかったらどうなるか分かってんな? みたいな表情。
……あ、閃いた! 頭の上に電球出たぜ!
「響子は友達として好きだぞ、そんで紫堂は先生として好きだ。これでどうだ!」
「「…………」」
結果は沈黙、穴があったら入りたいの意味がわかるな。この場から逃げたいという意味?
ちょっと違うか
「フッ、護にはガッカリだわ」
うっ!
「特に期待はしてなかったけどな…」
がっ!
言いたい放題いいやがって…!
あれ以外の答えは俺には出せませんよ、すいませんね!
『と、とりあえずお二方はまだ、恋愛対象になって無いということが分かりましたね!』
「「うっ!」」グサッ
なんでダメージ受けてんだ?
『さぁまた質問に戻りましょう! めんどくさ……時間が無いので次も紫堂教官の生徒お願いします!』
ちょっと長かったからな、奥で紫堂と響子が話してる……気になるが次の質問に備えなければ
次の生徒が舞台裏から出てきた、声がしたけど見えなかった生徒だ。
「は、初めまして! 白鳥 千草です! よろしくお願いします!」
小柄な生徒だな、髪は鮮やかな緑でショートボブ。顔は小動物に負けない愛らしい顔をしている。これが一つの真理か……
「草壁さんに質問です! 女の子の……その………胸は……」
胸? ………わかったぞ! 胸の大きさの好みがどっちかという質問だな! フッフッフ、残念ながらそれは用意してある! それは(どちらも等しく良さがある)、これ以外にベストアンサーなどあるわけが無い! さぁ来い! 俺の方は準備万端だ!
「女の子の胸の……長所を教えて下さい……大きな胸と小さな胸の長所を!」
そ、そーきたかぁぁーーーーー!!
この質問ではさっきの答えは無理だ、どちらも等しく良さがある、その良さを詳しく答えなくてはならなくなったからだ。
策士が策を出す前にやられそうだよ、やるじゃないか。
さて……これは困った、女の胸の長所を考えたことなど一度も無い、本当に困った、困ったな〓(チラチラ
(さっさと答えろ)
紫堂は今回助けてくれないらしい、俺が見たら即行でテレパシー送ってきやがった、厳しい先生だ。
「では小さな胸の良さを……」
もう答えなきゃダメなのか!? 何も浮かんでこない! あ、えっと、あああ……
「小さな胸は狭い路地裏を通っても胸が無いためスムーズに通れる!」
……………
…………
………空気が……重い……!
「では大きな胸の良さを……」
この空気でやるのか、俺は後でどうなるんだろ。もうどうにでもなれ。
「海とかで浮き輪の代わりになる?」
………………
…………
流石に沈黙に慣れたな、答えたが無言だとこっちも喋りたくない。
「答えたから良しとするが、個人的に不満がある奴は後日草壁に聞け」
紫堂の一言で質問に区切りがついた。しかしまともな質問は最初だけだったな、最後はどうなるやら
白鳥さんが裏に戻ると同時に入れ替わりで女生徒が出てきた、確かあの子は俺の隣で睨みを利かせてた子だな。
『さぁ! このイベントも最後の質問となりました! 果たしてどれぐらい草壁君を困らせる質問が出てくるのか! 最後の質問者です!』
最後まであの司会者の名前が分からなかったな。
最後の女生徒は短いツインテールをフリフリさせながら歩いてきた、その瞳は俺を殺すかの様な以上な程の目付き。
その口から出る質問に、俺は体が震えていた。
「本城 麗です、私の質問は………」
体が震えていた
全身の鳥肌がたった
手と額に大量の汗が吹き出た
俺の脳が命令する、あいつを止めろ、口を塞げ、手遅れになる前に…!
「保健室で裸の女生徒と寝ていたというのは本当ですか? 」
見られて……いた……!
この質問が出た直後、俺は手足を拘束され後ろからの強い打撃を受け、意識を失った。