↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR

オルゴール

秘密のバニーガール

作者: 霧野うみ
掲載日:2026/09/04

 高校生の私がとある店で見たのは、クラスメイトの「彼女」がアルバイトしている姿だった。しかも、そのアルバイト中の「彼女」の姿は、意外な姿で……?



「その格好……寒くないの?」

 私は目を見開いた。私が見た彼女は、ふわふわの耳と尻尾が生えていたのだ。彼女は私と同じ人間なのに。

「……うん」

 彼女は銀色の盆を片手に持ったままうなずいたが、すぐに罪悪感に駆られたようにその目を伏(ふ)せる。

「いや、うん、じゃなくて」

 私はお店の中を見回して、彼女の手をつかむ。銀の盆はテーブルに置かれ、注文されたオレンジジュースの氷が涼しげに鳴った。私たちが出ていくと、真鍮(しんちゅう)で作られた小ぶりなベルが鳴る。

 私が彼女を見かけたお店は、サービス業が中心の店舗だが、酒類の販売や接客を行う制服の観点から高校生は働いてはいけないのだ。



 背後から私を呼び止める彼女の声が聞こえるが、私はわざと無視した。彼女は胸までの、烏(からす)の濡れ羽色の髪をなびかせる。彼女の耳は上下に動き、大きな編み目のタイツを履(は)く太ももや丸い尻尾は、通行人を誘惑させる。

 私は、みんな暇なんだなと、ため息をつく。

「なんで、あの店にいたの? あそこ——」

 私は唇(くちびる)を引き締(し)めた。

「うちの高校、バイト禁止だよ」

 私は、バニーガールの格好をする彼女の手をひいている。

「ねえ、このこと、みんなには内緒にしてくれない?」

 人差し指を唇に当てて、笑った顔で頼む。

「それに連れ出したんでしょ? バイト中の私を。ま、あそこ、二十歳からだけど」

 私は口角を上げてうなずく。

「あとで、店長さんに謝らないとね」

 彼女はくすくす笑い、片手を少し丸めて口元に当てる。私は楽しそうな彼女と少し逃避行した。それが始まり。

 私と彼女は、秘密のバニーガールから友だちになった。



 後日。彼女は店長から諭されたらしく、私も一緒に店長に謝った。

「そうか。かわいいから人気者だったけど、辞めるのは寂しいよ。けど君ら、いつの間に仲よくなったの?」

 尋ねられた私は彼女と目を合わせて笑うと、店長も困りながら笑った。

 最後まで読んでくださり、ありがとうございました!

 いかがだったでしょうか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。