葬列
『目標は外苑東通りを北へ逃走中、ターゲットは重武装している可能性あり。各位注意してください』
耳についているのは、無線機から聞こえる緊急連絡の女性オペレーターの声だ。無線の声が聞こえたのは六本木ヒルズ下の麻布トンネルを抜けた時だった。
「ブロックできるかも」
運転席に座る相棒はハンドルを握り締めながら右の交差点の彼方を一瞥した。アクセルが踏み込まれ、車は急加速する。助手席に座る笠木はミニ14ライフルを抱えてうなずいた。
「よし、全員蜂の巣だ」
笠木がサイレンのスイッチを入れた。保安官補二人を乗せた濃紺のニッサン・ローレルC35は、驚いた一般車の間を縫うように前へ出ると、車体後部が沈み込むような姿勢で一気に六本木六丁目の交差点を右折した。
相棒はすぐに車を路地へと突っ込ませ、高層ビルの間の細く曲がりくねった裏道を猛スピードで走り抜ける。
「ミッドタウン前で待ち伏せようか?」
「うん、それでいいね。それより人をはねるなよ」
笠木は言って笑いながらライフルを点検した。
「誰に言ってると思ってるの?」
相棒がそう言って、出動中であるにも関わらず二人はケラケラ笑い合った。
路地を抜けると車はすぐに外苑東通りへと出た。大通りの路肩でローレルを停め、二人はシートベルトを外して銃を手に取った。
「周囲に気をつけろよ。先週、瀬尾も竹内も後ろから撃たれた。仲間を逃がす為の伏兵がいるかもしれない」
笠木が、敵が逃げてくるであろう車の後方を睨みながら言った。
「ああ、それに通行人が多い。やりにくいな……」
相棒はショットガンを掴んで歩道へと目を走らせる。
後方から散発的な銃声が響いてきた。周囲の通行人も異変に気づいて騒ぎ始めた。
「行くぞ!」
二人は長いコートの裾を翻して車道へと飛び出した。
標的のギャングの一団は車道を挟んだ反対側の歩道を発砲しながら逃げてくる。二人は停止した車で一杯の車道を渡り、東京ミッドタウンの正面までやってきた。天気の良い日の昼時とあって、周囲には多くの通行人がいた。ビジネスマン、家族連れ、老夫婦……
「ここは危険です。その場に伏せるか遮蔽物の陰に身を隠してください。できれば建物の中へ……」
相棒がそばの通行人へ避難を呼びかける。その横で笠木が車道へと目を走らせた時だった。路上駐車していたセダンの運転席からドレッドヘアのラテン系の男が降りてきた。わきに黒いカービンライフルを携えていた。
――まずい!
笠木は素早くミニ14ライフルを構えた。
「銃を捨てろ!」
照準の視野一杯に男を捕らえた。男が銃を持ち上げ、笠木達へ向かって射撃の姿勢をとった時点で笠木は引き金を引いた。笠木が外す距離ではない。直径五・五六ミリの高速弾一発が男の右胸を貫いた。しかし、男はふらつきもせず立っている。すかさず笠木は男の上半身へ二発目、三発目を送り込む。男は後ろへよろけた。
豆鉄砲のような五・五六ミリ弾一発で人間を仕留める事はなかなか難しい。笠木は親指でライフルのセレクターを跳ね上げ、フルオートの連続射撃で男の体内へ銅と鉛の塊を束で送り込む。まるで体が小さな爆発を起こしたように上半身と首から赤い血飛沫が上がり、男はのけぞってバンザイをするような姿勢で地に伏した。
「ク……」
脅威を制圧した事を伝えるために「クリア」と言おうとしたが、笠木の言葉は喉に詰まって出てこなかった。
「おい、大丈夫か?」
相棒はショットガンを構えたまま振り返った。笠木は憮然として銃を構えていた腕を下ろした。
「なんで……」
笠木は信じられないという様子で車道の反対側を見ていた。何が起きていたのか判っていた。標的の男が倒れた時、笠木の目は銃の照準越しに標的のはるか後方で、まるでマネキンのようにまっすぐ倒れる人型を捉えていた。
痩せた初老の男性だった。その老人は路肩に倒れてぴくりとも動かず、うつ伏せたその腹部から真紅の水溜りのようなものがみるみるアスファルトの路面に染み出し始めた。
そうしてようやく通行人が事態に気づき、悲鳴を上げはじめた……
悪い事ほど鮮明によく覚えているものだ。無線の声、相棒の表情、太陽の角度、そしてライフルのアイアンサイトから覗いた丸いぼやけた背景のすみで倒れる人の影。あの日のことは今まで何度も夢に見てきた。最近ようやく夢に出てこなくなったと安心していたが、やはり関口の事件は笠木にとって他人事ではなかった。
笠木はベッド替わりにしていた応接室のソファーから身を起こし、テーブルに放り出してあった腕時計を見る。どうやら予定より三十分も早く起きてしまったようだ。笠木は重い瞼を擦りながら、靴下を履きネクタイを締める。
朝の身支度を始めるとコツコツとドアを叩く音がした。
「どーぞ……」
笠木が気だるい声を発するとドアが開き、オフィスからスーツ姿の伊月が姿を見せた。
「貴様、起きていたのか」
「なんかあったの?」
笠木は不機嫌な声で訊ねる。伊月は無表情で、首を傾けて外へ出るように促した。
「本局から応援要請だ。人が足りない」
雨が降っていた。車のフロントガラスは雨に覆われ、運転席から見える外の像は全て歪んでいる。
六又陸橋から線路を越えてやってきた車列の先頭が姿を見せた。車列はゆっくりとの池袋駅東口ロータリーへと向かいはじめた。車列の先頭には葬送曲を奏でるバンドを乗せたピックアップトラックが二台。その後ろにはエンジングリルからボンネットまでを花飾りで飾った黒塗りのFセグメントの大型セダンが数十台続いていた。
「現本より各車、車列は西口ロータリーへ向かう。付近の警備班は警戒態勢を」
一ブロック先の交差点の角には笠木の乗っていた紺の防弾クラウンが止まっている。すでにショットガンをコートの下に隠し、黒い傘をさして笠木は街路を埋める人々を見回していた。駅の東口ロータリーに止まった警視庁の警備バスの中では完全武装の機動隊が待機していた。
「ピースメーカーより現本。了解」
先程の無線連絡にマイクで応答すると、伊月はミニ14ライフルを抱えて車のわきへと出た。すぐに雨だれが帽子とコートの肩をぬらしはじめた。
北池袋。以前から在日華人向けの雑貨店や中華料理店が集まっていたこの地域は、今ではすっかり中国人街として日本語と簡体文字の看板が入り乱れ、東京に広がりつつある「無国籍街」の一つを形成していた。伊月は不意に、仲の良かった同僚や天津と三人で、依然にこの街へ本場の中華料理を食べに来た時の事を思い出した。その時食べた中華は非常に美味で、それに楽しい会食だった。
そんな場違いな思い出にとらわれていた間に、車列の先頭が伊月の目の前を通過していった。ピックアップトラックの荷台に乗せられた楽隊は哀調ある葬送曲を奏でる。街路に集まった華僑や華人達は同郷の仲間の死を悼み、その車列を見送った。尊敬と畏怖、そしてある種の恐怖心とを抱いて……
一週間前、自宅に押し入った何者かに殺害された馮祥煕と十歳の娘の葬儀は日本人から見ればたいそう大仰なものに思えた。その葬儀の全てを取仕切っていたのは、先頭から五台目のベントレーに乗っている『池袋の顔役』こと温山栄だった。北池袋を中心とする華人街の黒社会を支配する『興龍幇』のボス、温山栄の腹心であり台所を預かっていた馮が殺害され、組織の資金が強奪された事件は東京の華人社会にとって大きな衝撃だった。
温のような古株の組織のボスに正面から挑戦するような愚か者は今だかつていなかった。不幸にも事情を知らないただの強盗犯だったのか、それとも知っていて襲った愚か者なのか、はたまた敵対する組織による抗争なのか…… 様々な憶測が飛び交った。結果によっては北池袋の華人社会の安定を大きく揺るがせかねない事件だった。
伊月は目の前を通り過ぎる黒いベントレーの後部座席に座る小柄な男を見つめた。その男、温山栄は表情を硬くしたまま車外へ視線を向けることなく伊月の前を通り過ぎた。その後ろに造花の枠にはめられた馮の特大の遺影を掲げた車と二台の霊柩車が続く。一台目の霊柩車の助手席には、手にしたハンカチに顔を埋める喪服姿の女性が座っていた……
伊月の背後四十メートル先の路肩には銀色のトヨタ・ハイエースワゴンが停まっていた。黒いスモークガラスを張った後部座席では、五百ミリの望遠レンズを装着したニコン・デジタル一眼レフが三脚に固定され、葬列が交差点を右折するポイントに焦点を合わせていた。一台目の車が横腹を見せた瞬間を待って、片目でファインダーを覗いていたハインツ・クレーゼがシャッターを切った。遠距離からの写真撮影は、クレーゼがユーロ本国でネオナチ追跡作戦を行っていた頃に身に付けた技術だった。
「そうそうたる面々が集まっているらしい。いつトラブルが起きてもおかしくない状況だそうだ」
固定焦点に設定したデジタル一眼レフのファインダーから参列の車の後部座席を狙い、テンポ良くシャッターを切る。その脇で、ハワード・楊が容量一杯になったメモリーカードをケースに仕舞い、急いで新しいメディアを取り出しながら、窓の外をキョロキョロと見回した。
「こんな物騒な葬儀も珍しい。ここで爆竹を鳴らしてみたら、どうなるかなぁ?」
まるでイタズラを企む子供のような口調で楊が言った。
「午後は雨ときどき銃弾にご用心……」
「念のためボディーアーマーを持ってお出かけくださーい」
クレーゼと楊は口々にそう言ってゲラゲラ笑い出した。性質の悪い冗談を交わすや、車内の助手席に座っていた菱川綾子が口を尖がらせた。
「二人ともいいかげんにしてくださいよ! ただでさえ雨の中の応援出動に駆り出されているっていうのに、その上、銃撃戦なんて真っ平ですからね! わたし今日は非番で合コンの予定だったんですよ」
真面目に怒る菱川を前に二人は顔を見合わせた。
「ははは、アヤコそんなキリキリしないで。それに警察と保安局がこれだけ威圧的に警備していれば心配ないよ」
クレーゼがファインダーを覗きながらなだめる。
「ていうか、襲う動機を持ったやつらのほとんどは参列してたりして」
楊も腕を組んで真面目な顔で言った。
三人の足元には、黒社会の護衛達が乗る防弾車に対抗する為、銃身が異様に長い・五〇口径の対物狙撃ライフルが用意してあった。もし実際に火薬の破裂音でも響こうものなら、葬列に加わっている黒社会の護衛達は車の窓という窓からサブマシンガンの銃身を突き出し、相手構わず乱射をはじめるかもしれない。そうなったら、保安局は銃を持った者全てをいち早く制圧しなければならない。
実は今日の保安局と警視庁による合同警備は、外からの襲撃者だけではなく、葬儀に参加している黒社会の者たちをも牽制する目的で行われていた。
「現本より各車、葬列は雑司が谷方面へと入った。西池袋より順次、状況を終了せよ。繰り返す……」
現地本部の無線連絡が響くのと同時にクレーゼが葬列の最後尾のキャデラックの写真を撮り終えた。その後ろに青い回転灯をつけた保安局の防弾ランドクルーザーが警戒の為に後につづく。
「よかったね、何事も無く終わったみたいだ」
「これはこれは、大久保の劉史文、歌舞伎町のローレンス・広…… おや、横浜の趙まで来ていたか。さすがに六本木の黄は来てないみたいだけど」
笠木が言うと、隣にいた同僚保安官がすぐに別の写真プリントを投げてよこした。
「黄自身は来なかったが、ほら、代わりに部下の洪が出席していた」
クレーゼ達、葬儀の各所に配置された撮影班の撮った写真は、葬儀終了後即座に連合保安局本庁舎に送られプリントされた。『興龍幇』の金庫番・馮祥煕の葬儀に参列した人物、車両、車のプレートナンバーはことごとく撮影され、その写真は組織犯罪対策部のメンバーによって分析が始められた。
「名立たる中華系グループはほとんどが葬儀に出席しているか弔電を打っている。対立関係にあったグループですら、だ」
「今回の犯人は自分達じゃないと温山栄に意思表示をしたかったに違いない」
「となると、やったのはもっと小さなグループか……」
会議室では組織犯罪対策部の保坂部長をはじめ、伊月や笠木らの面々が写真をテーブル一杯にひろげて事態の把握に躍起になっていた。
「やられた温の方の様子はどうだね? 葬儀後、何か新しい動きは?」
「ええ、事件後から表向きは静かです。ただ北池袋を中心とした縄張り内の盛り場には興龍幇の構成員が多数うろつき回っているようですし、それに伴う小さなトラブルもいくつか報告されてきています」
「日系犯罪組織の様子は? 確か以前、抗争を仕掛けて、逆に池袋から追い出されたグループがいただろう?」
「いつも以上に静かです。中華系グループを刺激しないよう注意を払っているようです」
部長はそれまでの報告を聞き、腕を組んで低く唸り声を上げた。
「結局、手がかりなしか……」
笠木は撮影班の写真を見回しながらじっと思索を巡らした。これまで、犯罪組織が東京を舞台に起こした抗争は凄惨なものであった。特に、中華系グループの組織力と実力に訴えた時の徹底した力の行使と残虐さ、それに伴う戦闘力は突出していた。
その中華系犯罪組織の金庫番を殺し、組織の資金を強奪した者達を、彼らはどこまでも追い詰めるはずだ。実際、温の部下達は報告にあるとおり、活動を活発化させている。だが、力を行使するべき相手の正体を彼らが把握しているかどうかは、まだ判らなかった。
華人の同語族連帯組織内の情報は極めて閉鎖的なもので、たとえ東京に住んでいても、保安局のような外部の者へ核心的情報を提供するケースは非常に稀だった。その為、保安局の捜査は非常に難航していた。その上、目白の強盗殺人事件に関する、現場検証の結果や科学捜査の進展状況が未だ自治警察から報告されていなかった。自治警察側が証拠や情報の提供を可能な限り出し惜しみしているのは明らかだった。
「もう、強盗事件の応援捜査は辞めて、おれ達は本来の業務に専念するべきですよ」
保安官の一人が不貞腐れた表情で言った。部内にも、本来の組織犯罪対策の業務を圧迫してまでの秋葉原事件に対する捜査動員に不満を抱く空気が広がっていた。
「仕方あるまいな…… 各員は通常業務に加え、抗争予防に向け、現状のまま各組織の警戒と情報収集を続けるように。都市警備部には申し訳ないが、秋葉原事件にかかりっきりになる、現状での捜査体制はもう続けられない」
部長のこの言葉で会議はお開きとなり、保安官達はだらだらと部屋から出て行った。
ぽつりと一人椅子に座ったまま笠木は大きくあくびをしたが、大口をみっともなく開けているところを伊月に睨まれたので、慌てて口を手で押さえた。
「お前、関口のことはどうするつもりだ? いつまでも居場所を広報や監査に黙っているわけにはいかない」
非難の色を含んだ伊月の言葉を笠木は全く取り合わない様子で、テーブル上に散らばった写真の一枚を摘み上げた。
「ああ、連中は必要になったら勝手に捜すからほっとけばいいよ。今は関口坊やの事はひとまず置いておいて、問題なのはこの獲物、どうやったら仕留められるだろう? 奴等の靴を履いて歩くとするなら、どこへ行こうか?」
謎掛けのように笠木は言った。
『戦いに際しては敵の靴を履く』。笠木の好きな文句だった。元は、第三十五代アメリカ大統領ジョン・F・ケネディの弟であるロバート・ケネディが自身の著書で記した言葉だった。自分が犯人だったら何を考え、どう動くのか? 笠木の状況分析と先見予測能力は常に犯罪者達の機先を制してきた。発想力と射撃の腕。眼前の男より自分の方が劣っていると、伊月が唯一認めざるをえないことだった。
無意識に表情が険しなった伊月に気づく素振りも見せず、笠木は独り言のように続けた。
「僕が強盗の立場だったとしたら、温の財布なんぞ狙わないが、やってしまったからには仕方が無い…… じっとしていれば、間違いなくコンクリ詰めで東京湾だ。とるべき選択肢は三つ。一つ目、国外へと高飛びする。本当に命が惜しいならこの道しかない…… これを選ばれると、僕達にはお手上げだ。二つ目は、盗んだ金額プラスアルファで色をつけて平身低頭、温に謝罪する。温がそれを許すかどうかは別として、追い詰められればやりかねない」
「確率は低そうだな」
「かもね。三つ目。大胆な奴等だから、興龍幇と対立している組織に自分達を身売りして興龍幇へ戦争をしかける道がある。奴等の凶暴さに目をつける奴がいないとも限らない」
「こんな時期に…… 『戦争』だけは断固阻止するべきだ」
伊月が苛立たしげに言った。
「もちろん、『戦争』だけはいけない」
――もっとも、いざ戦争ともなれば、強盗一味と一緒に温山栄一派も皆殺しにできるんだけど……
笠木はそう夢想したが、口に出さなかった。
笠木は伊月の苛々した気持ちが理解できなくもなかった。面子の為、局をあげての強盗捜査のせいで組織犯罪対策部の本来の取締りや捜査の予定が大幅に狂っていた。捜査の遅れや情報の未収集は、そのまま最前線の現場へ出ている天津の負担に繋がっている。今の状況に伊月は怒りと焦りを感じているのは明らかだった。そんな伊月にとって、東京で新しい問題が勃発する事だけは許しがたい気持ちなのだろう。
笠木は手にした写真を天井の蛍光灯にかざした。
「相場のことは相場に聞け…… 釣りの事は魚に聞け…… ならば、狩りの事は獲物に聞こうか?」
笠木はそう言って、手にしていた写真を伊月へ向かって投げた。くるくると机の上を滑った写真は伊月の前で回転を止める。写真には先程の葬列に参加した黒いベントレー・アルナージが写っていた。
「お前がどうするつもりか知らないが、私は手伝わない」
伊月が厳しい口調で言った。そんなのは願い下げだ、とばかりに笠木は笑う。
「はいはい、判ってますよ…… あーそれにしても疲れた、僕はちょっと休暇でももらおうかな。このままじゃ体壊すよ」
伊月は嫌悪の視線を隠そうともせず、勝手にしろと言い捨てて会議室から出て行った。
捜査資料の紙束や写真、紙コップが乱雑に残されたままの会議室に一人残った笠木は、椅子の背もたれにもたれかかったまま蛍光灯の青白い光をじっと見つめた。
「もうあれから三年か……」
蛍光灯に向かって笠木はつぶやいた。