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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

勘違い

ボーイズラブです。来る者拒まずの人と、一途な子の話を書きたくて始めました。

 やばっ、何この子、めっちゃタイプ

「好き、付き合って」

何言ってんの、俺?相手、初対面だよ?

「え?、、、」

そうだよね、うんうん、わかるよ。びっくりだよね、言った俺の方がびっくりだもん。俺、初告白で振られるんだ、、、

「是非」

そう言って彼は、恥ずかしそうに俯いた。えええぇー!


そうなんだ。彼なんだよ、この子。俺が初めて告白した相手は男だった。



*****



 俺の幼馴染、坂口圭吾は来る者拒まず、去る者追わずの本当に節操の無いやつだ。そいつが初めて告白したらしく、今日は祝い酒。祝い酒なのか?

 

 「大学の自販機の前でモタモタしてるヤツがいてさ」


何やってるんだ?って、こっそり覗くと自販機が10円釣り切れになってたんだ。

「あー、それ、10円釣り切れになってる」

「え、あ、そっか、10円、、、」

「細かいの無いの?」

「千円札しか無くて」

一所懸命財布の中を確認する姿、可愛いな。

「じゃ、俺、先に買ってみようか?」

「どうぞ、どうぞ」

俺がいつも買うよりちょっと高い、140円のコーヒーを買うと釣り切れのランプが消えた。

「これで買えるんじゃない?」

「ホントだ、消えた」

ソイツは俺の方を見ると、一瞬目を見開きうれしそうに感謝して来た。その顔がめっちゃタイプ。


「それで、告白しちゃったの?」

「うん」

大丈夫かなぁ〜。

「まぁ、取り敢えず、初告白成功おめでとう。彼氏、大事にしなね」

「いやいやいや、俺の方が彼氏だからね」

「はいはい、どっちでも良いからちゃんと大事にしなよ?」


 幼馴染の柳心やなぎ しんは人間が出来ている。俺が男に告白して、付き合う事になっても驚かないし否定もしない。むしろ応援してくれる。俺は今までテキトーで、告白されたら付き合うし、振られれば後は追いかけない。二股した事もあるし、浮気もした事がある。自慢では無い。

 告白されると、断るのが申し訳なくて付き合ってしまう。たいして好きじゃなくても、付き合ったら好きになって、大事に出来る筈だと思うから。でも、そんな中途半端な気持ちは相手にも伝わるらしく、長続きはしない。単純に断る事が出来ないんだ。



*****



 自販機の前でオロオロしてたら、坂口さんが助けてくれた。いつも遠くから見るだけだったのに、こんなに接近して話までして、告白までされたら夢だと思う。でも現実。だって僕のスマホには坂口さんの連絡先が入っているから。


 坂口さんは所謂大学の「目立つグループ」の人だ。常に周りに人がいて、もちろん可愛い女の子もいる。いつも賑やかで、楽しそう。大学生活を満喫している感じ。

 一方、僕には親しい友達はいない。課題でグループを作る時にあぶれる事は無いけど、課題が終わったらそれまでって感じで、いつも大抵一人でいる。

 坂口さんの噂はあんまり良く無い。付き合った人の数は数え切れず、3ヶ月もたないから季節毎の女がいて、浮気も酷いから曜日毎の彼女を作る。振られても順番待ちの女が繰り上がって来るから、その後ろに並ぶなら1年は待たないといけない、らしい。、、、酷い人だな。

 でも、僕に告白して来たって事は、噂は単なる噂って事だよね。え、付き合ってる人がいるのに告白してたらどうしよう、、、。



*****


「千尋くん、さっきからニヤけ過ぎ」

バイト先の柳先輩に怒られた。だって、自然にニヤニヤしちゃうんだ。

「彼氏でも出来たの?」

「どうしてわかったんですか?」

僕はニヤニヤしながら返事をした。

「叶わぬ恋じゃなかったの?」

「ふふふ、そうなんです。絶対無理だと思っていたのに、告白されちゃったんです」

「おめでとう。お客さん来たから、後でゆっくり聞かせてね」


どうやら、俺の周りには春が来たらしい。いいねぇ〜、幸せいっぱいで

「で、どうして叶わぬ恋が叶っちゃったの?」

「実は大学の自販機で、僕がジュースを買おうとしたら10円釣り切れで」

(待て、イヤな予感がする)

「140円のコーヒー買って釣り銭作ってくれたのが」

(最近同じ話聞いた事ある)

「僕の片想いの人だったんです」

(坂口お前!)

「すごい偶然だね」

(俺、どうしたらいいのー?!)



*****


 叶わぬ恋は所詮叶わぬ恋なのだ。まぁ、大学の構内だけだけど。


 僕はいつも遠くから坂口さんを見ている。あんなにキラキラしたグループの輪の中には入りにくいから。

 坂口さんはいつも周りの人に優しいんだ。誰かが物を落としたらサッと拾ってあげるし、いつもニコニコしてるし、髪型が変わったらすぐ気づいて褒めてあげるし。怒った所や機嫌が悪い所を見た事ない。僕は坂口さんの近くに行きたいけど、どうしても近くに行って声を掛ける事が出来なくて、いつも何と無く近い場所に座って一緒にいる感を堪能している。

 坂口さんの声が聞こえるだけで幸せ。坂口さんが楽しそうにしているだけで幸せ。僕はあの中に入れなくても大丈夫。だって、坂口さんと付き合っているから。


「圭吾、ジュース買いに行くから一緒に行って」

「なんで?」

「いいでしょ?元彼女もとかののお願い」

「意味わからない、まぁ、いいけど」

そう言って二人で席を外した。二人並んだ後ろ姿は、身長差も丁度良いし、スタイルもいいからやっぱり絵になる。元彼女もとかのさんの綺麗な長い髪が、歩く度に揺れてすごく目を引く。元彼女もとかのさんは自然に坂口さんと腕を組み坂口さんも拒否する事は無かった。

 僕の事、見えて無いのかな?


 そのまま、僕は二人を目で追い続けた。これだけ距離が離れていたら、坂口さんを見ていてもバレないと思う。自販機の前で坂口さんは自分の財布を出して、元彼女もとかのさんにジュースを買っていた。元彼女もとかのさんも嬉しそうにしている。笑顔が可愛い人だな。何で別れちゃったんだろう。そして、坂口さんは自分のジュースを買っていた。

 坂口さんと元彼女もとかのさんが腕を組みながら仲良く帰って来た。普通に付き合ってるみたいに見えるけど、ホント別れた理由が知りたい。坂口さんは僕のすぐ側を通る時、何も言わずに僕のテーブルの上にジュースを置いて行った。それがもう、かっこよくてかっこよくて誰かに自慢したかった。



「で、俺に話してるの?」

柳さんはニコニコしながら話を聞いてくれた。

 僕が、男の人が好きなんですって打ち明けても

「ふーん、そうなんだ。何か悩みがあったら話を聞くよ、まぁ、助言は出来ないから本当に話を聞くだけになっちゃうけど」

って言ってくれた人。

「坂口さん、顔も良いのにやる事もスマートで、本っっっ当にカッコいいんです。僕の彼氏なんですよ〜」

ニヤケが止まらなくて困る。


 圭吾のヤツは昔からそーゆう所があった。無意識に相手を喜ばす事を知っているから、自然に人が寄って来るし、勘違いして自分の事好きなんだと思う女も多い。そう言えば、付き合ってる彼女がいたと思うけどどうしたかな?確か一人いたハズ、、、。



*****



 俺は千尋に告白してからずっと、今付き合っている千佳ちゃんと別れなければと思っている。思っているのに、どうやって別れを切り出したら良いのかわからない。優柔不断でイヤになる。

 でも考えれば考える程わからなくなってしまうんだ。どう言えば相手が傷付かないか、何て言えばお互い納得して別れられるのか。それを考える内に疲れて先延ばしにしてしまう。

 誰かと付き合う時も同じだ。ちょっと知り合っただけなのに告白されて、断る言葉を探している内に疲れて来て、面倒臭いから一度付き合ってみる。そして、相手から思ったのと違うって言われて、別れる事になるんだ。

 でも、今回は絶対別れる。千尋を悲しませたくない。千尋に嫌われたくない。

 千佳ちゃんに連絡する。いつもは千佳ちゃんから連絡があるけど、今回初めて俺から連絡した。千佳ちゃんからの返事はものすごく早かった。

「圭吾から連絡なんて初めて、どうしたの?」

俺は慎重に言葉を選ばなければならないと思いつつ

「会って話しがしたいんだけど」

と打った。千佳ちゃんからの返事は少し間があった。

可愛い猫が、首を傾げているイラストが来た。

「今じゃダメなの?」

「会って話した方がいいかなと思って」

「まさか、別れ話しじゃないよね」

「別れ話しじゃなければいいよ」

「私はいつでも時間合わせるから」

先手を打たれてしまった。でも、別れ話みたいに大切な話、直接会って話さないといけないと思う。そして、俺の決心が鈍らない内に早く会わなければ。

 

 結果は惨敗。


結局俺は、「別れよう」のわの字も言えずにいた。そして、千佳ちゃんから

「大事な話って何?もしかして、私の誕生日が近いから何かしてくれるの?」

と言われてしまった。撃沈、、、。

「え、、、っと、そうなんだ。何か欲しい物とかある?」

「ふーん、本当にそうなんだ。そうね、1日一緒に過ごしたいかな」

何か引っ掛かる様な言われ方をされたのに、俺は1日一緒と言う言葉に引っ張られてしまった。

「俺、朝弱いから。昼過ぎからでもいいかな?夜までいいよ。いつが良い?」

「そうだな〜。私の誕生日、7月7日でどうかな?」

「わかった。どこか予約しておくよ」

「ホント?うれしい!」

「じゃあ、俺は次の授業あるから行くね」

どっと疲れた、、、。



*****



 僕達はまだデートをしていない。いつもスマホで連絡するだけだ。坂口さんは友達も多く、バイトもしているのでなかなか会えない。

 だから、僕は頑張って七夕祭りに誘ったんだ。年に一度しか会えない織姫と彦星、その二人が会う日に初デートなんてドキドキする。僕は何度も迷いながら文章を考えた。

 でも、返事は

「ごめん、予定がある」

だった。あんなに緊張したのが恥ずかしくなってしまう。バイトでもあるのかな?


 「じゃあ、七夕祭りの日は一人なの?」

いつも通り坂口さんの話しをしていたら、柳先輩が聞いて来た。

「そうなんです。織姫と彦星は年に一度会えるのに、僕はまだ一度もデートした事無いんです」

と、言って大袈裟に項垂れてみた。

「まだ一度も無いの?」

柳先輩が驚いた。やっぱり、付き合って1ヶ月も経つのにデートした事無いなんて変かな?

「いつも、スマホでやり取りするだけです」

(圭吾のヤツ、何やってるんだよ、、、)

柳先輩がため息を吐いた。

「ごめん、君に呆れたんじゃないよ。相手にね、、、」

「はぁ、、、」


 俺は結局、圭吾にも千尋くんにも俺の存在を隠している。圭吾に千尋くんと知り合いだと話したら色々面倒そうだったし、千尋くんに話したら俺に相談事を持ち込むのを遠慮すると思ったからだ。

 それにしてもコイツら、何だか抉れそうな気がするんだけど大丈夫かな?



*****



「せっかく、チーがデートに誘ってくれたのに、予定が合わなくて断ってしまった、、、」

おや、「チー」呼びですか?俺は、ふっと笑ってしまった。

 圭吾は今まで色んな子と付き合った事があるけど、自分から好きになった子じゃ無かった。だから他人事みたいな所があって、いつも飄々としている。

 しかも、大抵名前にちゃんを付けて呼ぶだけで、愛称で呼ぶ事は無かった。

「七夕なんだよ、一年で一回しかないんだよ。何で俺、七夕に予定入れちゃったんだよ。次のイベントなんて、お盆だよ。初デートお盆になったら、、、何か響きがイヤ、、、」

「七夕より前に会えばいいじゃん」

「予定が合わない」

「同じ学校なんだから、学校で会えばいいじゃん」

「イヤだ。俺の友達に紹介したく無い」

「何で?」

「だって、あいつら節操ないからちょっかい出されそう」

「そんななの?圭吾の友達」

「んー、まぁ、そんな酷いヤツらじゃないと思うけど、俺ら男同士だから。俺は告白した立場だし、こんなだから何言われてもいいけど、チーはね。、、、誰かに傷付く様な事、言われたくないし、男と付き合ってるって噂が立ったら俺と別れた後、可愛い彼女が出来なくなりそうで。だから、学校ではちょっと控えちゃうんだよね」

うーん、一部誤解があるけど、俺の口からは言い辛いかな。でも圭吾なりに考えてるんだ。

「えらいじゃん」

「ま、逢瀬を重ねるみたいで、俺は毎日ドキドキしてるけど」

そーゆう事、ちゃんと伝えてるのかな?



 今日は僕の方が先に食堂に来ていた。今までは、窓側の1人席とか、端の方に座っていたけど、最近は坂口さん達がいつもいる辺りに座る。

 この辺りがいいかな?と考えて席に着き、お弁当を広げて課題の本を出す。黙々食べながら本を読んでいたら、食堂に坂口さん達が入って来る。それだけで嬉しい。

 あんまり見ていて、周りに変に思われるといけないから、課題の本に集中しているフリをする。

 後ろの椅子をガタガタ鳴らし

「ここでいっか」

と坂口さんの声がした。真後ろに来てくれた!嬉しい。

 坂口さんは椅子に寄りかかるフリをして、そっと肘で僕の背中に触れる。それだけで、ニヤけそうになり口に手を当てる。

 


 今日は、真後ろにチーがいる。ヤバい、嬉しい。顔は見えないけど、距離がめっちゃ近くて感激。

 椅子をテーブルから離し、足を組んで、少しでもチーに近づきたい。ちょっと肘で触ったら、体がピクッと反応して可愛い。俺の意識は後ろに集中していて、みんなの話が聞こえない。


「ね、圭吾、後ろの人に当たってる。もっと前に座った方がいいよ」

元彼女もとかのさんの声だ。

「あ、ごめんね?当たってた?」

坂口さんが振り向いて僕に言う。

「いえ、大丈夫です」

わあ!喋っちゃった。

「もー、気をつけなよ」

と言って坂口さんの肩に手を置く。

 元彼女もとかのさんは結構な頻度で坂口さんに触る。最近気付いた事なんだけど、やっぱり気になる。

 坂口さんや元彼女もとかのさんは、今までもそうだったからわからないだろうけど、僕の立場的にちょっと悲しい。



 その時、千佳も丁度食堂に入って来た。圭吾達はいつも4〜5人のグループでいるからかなり目立つ。千佳もすぐに圭吾に気付き、前の彼女の存在に舌打ちした。

(あの女、自分から圭吾を振ったくせに、何彼女面してんのよ。今の彼女は私なんだから、失礼でしょ?)

そう思いながら靴音を鳴らして圭吾達に近づいた。

「ねぇ、何彼女面してんのよ。今圭吾の彼女は私なんだから、やめてよね!」

「千佳ちゃん」

俺はもう、後ろのチーの事しか頭に無い。今の会話、勿論聞こえてるハズだ。



 チーには聞いて欲しくないのに、チーは俺の椅子に挟まれて立ち上がれないし、この空気にびっくりして動けなくなっている。

 あの時、ちゃんと千佳ちゃんと別れていれば良かった。せめて、俺に別れる意思があると伝えていれば、少し状況が変わっていたかも。

「圭吾も圭吾だよ。私と付き合ってるのに、何でこんな女と仲良くするの?」

修羅場だ、大学の食堂で喚いて喧嘩なんて、みんなが注目している。

「こんな女って何よ。仲良しグループなんだから、一緒にいてもおかしくないでしょ?!」

「圭吾、七夕の日、どこに連れて行ってくれるの?どこか予約入れてくれた?向こうでゆっくり話そうよ」

最悪だ、チーにも七夕の事を聞かれてしまった。だけど、俺達は他人のフリをしていたからチーの所に行けない。

 千佳ちゃんに腕を引かれ、立ち上がる。椅子がチーの椅子に強く当たってしまった。

「あっ!ごめん、大丈夫?」

「大丈夫です」

チーはこちらを見る事なく下を向いたまま返事をした。



 坂口さんがちかちゃんって言う人と席を外すと元彼女もとかのさんが

「何あの女、生意気」

と、つぶやいた。一緒に座っていた男の人が

「お前もやめろよ。もう彼女じゃないんだし、千佳に悪いと思わないの?」

と嗜める。

「そりゃあ、私は別れちゃったけどさ、まだ好きと言えば好きなんだもん」

「じゃあ、何で別れたんだよ」

「好きだから、、、」

「は?」

「好きだから、好きになってもらいたかったんだもん。でも圭吾は付き合ってるのにいつもと変わらないし、友達以上の関係にはならなかったんだもん。だから、さすがに別れ話しをしたら引き留めてくれると思ったのに、引き留めてくれなかったんだよお。何なの?アイツ、誰の事も好きにならないの?千佳が羨ましいよ、今の彼女なんだもん。私は元彼女になっちゃったんだよ」



 僕は聞きたく無かったのに、全部聞こえて来て切なくなった。

ゴンッ!

 ものすごい音を立てて、テーブルに頭をぶつけた。そのまま頭を押し付けて、泣きそうになるのを我慢する。

(彼女いたのかぁ〜、、、何で告白して来たんだろう。やっぱり別れないといけないかな〜、、、)

モゾモゾしてると、後ろから元彼女もとかのさんが声を掛けて来た。

「ちょっ、、、頭、大丈夫?」

僕は顔だけ横に向けて、元彼女もとかのさんを見た。

「大丈夫です」

情けなく笑った。こーゆう時、何と無く笑っちゃうんだよね。

「後ろでうるさかったね、ごめんね。変な話し聞かせちゃったし、気分悪かったよね」

優しい人だな。ホント、何で別れちゃったんだろう。そして、僕は何で付き合ってるんだろう、、、。



*****



「チーに千佳ちゃんの事バレた、、、」

はぁ、何でコイツは、、、

「すぐに別れなかったの?」

「別れようとしたんだ。ちゃんと会って話しをしようとして、会う約束までして、、、」

「それで?」

「いざ、会ったら何て言ったらいいか悩んじゃって、、、言えなかった、、、」

「はぁ、馬鹿だな。一言、別れよう、別れたい、別れてくれでいいんだよ」

「でも、傷付けたく無い」

「あのね、圭吾。どんなに優しい言葉を使っても結局千佳ちゃんは傷付くの。早いか遅いかの違いだけだよ?」

「でも出来れば円満解決したい」

「それは無理、千佳ちゃんが圭吾を好きな内は絶対無理だよ」

「、、、」

「チーちゃんはどうするの?」

「どうする?」

「チーちゃん、傷付いたんじゃない?」

(まだ、デートもした事無いって言ってたな)

「チー、、、」

「ま、でもチーちゃんの事一目惚れみたいだったけど、本当は勘違いかも知れないし」

「勘違い?」

「本当に好きなら、まずチーちゃんに嫌われたく無いんじゃない?」

「嫌われたく無い」

「それなのに、千佳ちゃんを傷つけたく無くて別れが切り出せないなんて、チーちゃんより千佳ちゃんが大切みたいに感じるけど、、、」

「頭痛くなって来た」

「こらこら、現実逃避しない」

「う、、、」



*****



「柳先輩、、、」

(ほら来た)

「今日、飲みに行きませんか?」

「え?千尋くん飲めたっけ?」

「飲めません、飲みたい気分なんです」

「大丈夫?何かイヤな事あったの?」

(何て知ってるんだけど、、、)



「僕、どうしたらいいんですかね?」

飲めないビールをチビチビ飲んでる、、、一気に飲まないと温くなっちゃうのに、、、。

「坂口さんの噂、知ってます?」

(え、興味あるんだけど、、、)

「知らないねぇ、大学違うから」

「付き合った人の数は数え切れず、3ヶ月もたないから季節毎の女がいて、浮気も酷いから曜日毎の彼女を作る。振られても順番待ちの女が繰り上がって来るから、その後ろに並ぶなら1年は待たないといけない、らしいです」

(何それ、ウケる)

「告白された時、彼女いるのに告白なんてしないよねって考えました」

「、、、」

「でもいたんです」

俺は生ビールを飲む。

「彼女さんにしたら僕は浮気相手でしょ?このまま坂口さんと付き合っていたら彼女さんに悪くて、、、」

「別れたいの?」

千尋くんは首を振る

「でも、そんなの良くない事ですよね」

「やっぱり、僕から切り出さないとダメかな?イヤだな」

 千尋くんは、仕事も真面目だし、挨拶もしっかり出来る、お客さんからの評判は良いし、評価も良い、こんなに良い子を悩ませるなんて、圭吾は馬鹿だな。

 でも、圭吾の優柔不断な所はわからなくも無い。アイツ、優しすぎるからな。その優柔不断さで大好きな千尋くんを手放してもいいのか?ふむ、どうしたもんか、、、。



*****



「なんで?」

俺は腹が立っていた。

「チーちゃんが誘った七夕祭り断ったクセに、どうして千佳ちゃんと行くんだよ」

圭吾は視線を合わせない。

「千佳ちゃんに七夕祭り行きたいって言われて。誕生日だからって、、、」

「圭吾、まだ別れて無いの?」

「七夕の時会うからその時話そうと思ってるんだ」

「いや、無理だね。今度は誕生日に別れ話なんて可哀想だって思って、このままズルズル行くと思う」

ギクっ

しんはするどいな、、、」

圭吾、、、お前、大丈夫か?

「チーちゃんとは会ってるの?」

「、、、多分避けられてる」

「連絡は?」

「あんまり」

俺はため息しか出ない。

「チーちゃんの事、もういいんだ」

「ヤダよ!」

「じゃあ、どうするんだよ」

「千佳ちゃんと別れて、全部話すよ」

「チーちゃんに他に好きな子が出来てたら?」

圭吾は、珍しく俺の顔を見た。

「仕方ないか、お前が悪いんだもんな」

「心、意地悪だな」

「じゃあ、お前はチーちゃんに意地悪じゃないのかよ」

はぁ、こりゃぁ、ちょっと荒療治が必要かもな、、、



*****



「千尋くん、俺の大学の友達と七夕祭り行かない?」

「柳先輩の友達ですか?」

「七夕祭りの日、空いてるんでしょ?。行こうよ」

最近坂口さんと会ってないし、連絡も取って無いな。柳先輩の友達なら平気かも

「一緒に行っても良いんですか?」

「もちろんもちろん。俺の友達、かっこいいよ」

「せっかくだから、3人で浴衣着る?」

「え、柳先輩の浴衣見たいな」

「じゃあ、予約入れておくから、身長と足のサイズ教えてくれる?」

浴衣男子かぁ〜、一度やって見たかったから楽しみだな。



*****



 七夕祭り会場は、びっくりするほどの人混みで、圭吾と千佳ちゃんを見つけられるか心配だ。浴衣を着ている人も多いし、女子は髪型もいつもと違うから見つけられないかもな。

 一応、一方通行みたいで人の流れは決められている。途中で方向転換したい時は、何箇所かある真ん中の合流地点で反対側にまわればいい。

 俺と千尋くんと友達の川原は着慣れない浴衣に照れながらゆっくり歩いた。

「知ってる?。浴衣の合わせって男と女、向きが同じなんだってよ」

「洋服は違うよね」

「逆にしちゃうと死装束になっちゃうんだ」

「え、じゃあ、三角のアレつけないと、、、」

「帯の高さも違うよね」

「着慣れないから歩き辛いし、下駄も慣れないね。」

「下駄箱って、下駄のゲタなの?」

「走る時、浴衣の裾を捲るといいらしいよ。膝まで出ると走りやすいらしい」

3人横並びはキツいから、俺は一歩下がって歩く。川原は人付き合いが上手いから、千尋くんともすぐ仲良くなった。

 俺は話しに入っているフリをして圭吾と千佳ちゃんを探す。圭吾は人より少し背が高いから、人混みでも見つけられるといいんだけど。

 千尋くんと、川原は何を食べるか相談している。俺は向かって来る反対側の人混みの中に圭吾がいないか探す。

 圭吾を見つけたのは千尋くんだった。急に立ち止まるから、後ろからぶつかりそうになってしまった。

 川原は何かに気付き視線の先を見る。呆然とした圭吾が「チー!」と叫ぼうとしてハッとする。横に千佳ちゃんがいたから。

 千尋くんも千佳ちゃんの存在に気がついた。無意識に川原に近寄り、顔を背けて圭吾を避けようとしている。

 圭吾が千尋くんと川原を見る。一歩後ろを歩いていた俺には気付いていないみたいだ。俺は用心の為に圭吾から隠れる。

 圭吾は最初の一文字を発していたらしく、千佳ちゃんは自分が呼ばれたと勘違いしている。焼きそばを持ちながら、

「ごめん、ごめん。焼きそば買ってたらはぐれちゃった」と話している。

 圭吾は慌てて千佳ちゃんの持っていた焼きそばを受け取る。

 川原が千尋くんの腰に手を回す。良いぞ、川原。よく気がついた。そいつが、圭吾だ。川原はそのまま、千尋くんの耳元に顔を寄せ

「大丈夫?」

と聞いた。圭吾にワザと見せつける様に。

 千尋くんは、急に川原に耳元で囁かれたから顔中が真っ赤になった。なんなら首まで真っ赤でヤケにエロい。

 川原は千尋くんをグッと引き寄せる。川原、いいぞもっとやれ。後で生ビール奢ってやる。

 千尋くんは仲良くなったとは言え、初対面の川原にそんな事をされ、拒絶も出来ず困っていた。


「千佳ちゃん、ごめん」

焼きそばを千佳ちゃんに返し、圭吾は中央の合流場所を探す。3メートル程戻った所に合流地点を見つけて逆走した。

「千尋くん走れっ!」

千尋くんは訳が分からず走り出した。

 千尋くんは真面目だから流れに逆らう事が出来ず、圭吾の方に向かって行った。途中で気がついて屋台の方に向かい、屋台の間をすり抜けて逃げた。圭吾もその後を追いかけて行った。

 人混みの中を着慣れない浴衣で走るのは難しく、千尋くんはそろそろ圭吾に捕まった頃だろう。俺と川原はニヤリと笑った。焼きそばを、渡された千佳ちゃんは1人残されて呆然としていたけど、途中で諦めて人混みの中に紛れて行った。

「川原、生ビール奢るよ」

「唐揚げ棒も付けろよ」


 いきなり柳先輩に走れと言われて、頭が真っ白になった。訳が分からず

「すいません、すいません」

と言いながら前に進んで行くと、斜め前から坂口さんが近寄って来た。

 何故か逃げないといけないと思い、屋台側に方向を変える。さっき話した、裾を捲ると走りやすい話しを思い出し、急いで裾を掴む。

 屋台と屋台のちょっと広い所を見つけて通らせてもらい、屋台の裏側を走る。屋台の裏側は人も少なく走りやすいけど、坂口さんは、すぐに追いついて来た。

「ちー!千尋!待って!」

待ってって言われても、柳先輩に走れって言われたから。

 グイッと浴衣の腰辺りを後ろから思い切り引っ張られて、身体のバランスを失う。危うく転びそうになりながらも何とか踏ん張った。坂口さんと僕はお互い肩で息をして汗だくだった。

「ここで待ってて、飲みもの買ってくるから。絶対動かないで」

そう言うと僕の手を引いて、空いたばかりのベンチに座らせた。

 いつもの坂口さんとちょっと違う、有無を言わせない強さがある。僕は大人しく待つ事にした。

 しばらくすると、坂口さんが生ビールを持って戻って来た。

「飲んでて、ちょっと電話するから」

と言って、僕に生ビールを渡す。それを両手で受け取り一口飲む。暑いからか、喉が渇いていたからか、よく冷えていたからか、初めてビールが美味しいと感じた。もう一口二口と飲んでしまう。

 坂口さんはスマホを出すと立ったまま、誰かに電話した。

「はい」

と、小さな声が聞こえた。

「千佳ちゃん、俺」

その後のちかちゃんの声はよく聞き取れなかった。

「ごめん、別れよう。別れたい」

「本当にごめん。もっと早く言えば良かった」

ちかちゃんは電話口で、イヤだとか、何で今日そんな電話するんだとか叫んでいるみたいだった。

最後に坂口さんが小さく

「ごめんなさい」

と言った、電話口は静かだった。



 通話を切り、ベンチに腰掛けた坂口さんは疲れた顔をしていた。浴衣の前が少し崩れてはだけていた。こんな時でも坂口さんがカッコ良くて困る。

「ビール頂戴」

と言って、僕から生ビールを受け取ると、ゴクゴクと喉を鳴らしながら一気に飲んだ。ビールを飲んでいる喉の動きから目が離せなくて、じっと見てしまった。

「えっと、何から話せばいいかな、、、」

坂口さんはちょっと考えて話し始めた。

「チー。千尋。ごめんね。付き合ってる人がいるのに告白した」

「ずっと早く別れないといけないって考えてたのに、なかなか別れられなかった。千佳ちゃんに別れようって言うのが出来なくて、、、ごめん」 

「それって、ちかさんがすきだから、、、」

「違う。俺、いつも相手が傷つかない様にすごく言葉を選んじゃうんだ」

「誰かに好き、付き合って欲しいって言われると、何て断ろう、どうやって断ろう、相手を傷つけない様に言うにはどうすれば良いだろうって考えて。考え過ぎて疲れちゃって、考えるの辞めちゃうの。それで、面倒になって付き合っちゃう。付き合う内に、好きになるかもって考えるけど、結局相手の方が愛想が尽きちゃうんだ」

「だから、浮気とか、二股とかもしちゃう」

「俺、最低でしょ?」

僕は返事に困った。

 僕はどうして良いかわからず、走って着崩れた浴衣の裾をちょっと直した。

「自販機の前で告白した時、本当にチーの事可愛いなって思ったんだ。何にも考えずに告白した。絶対断られると思ったよ」

「、、、」

「学校で、友達に紹介しなくてごめんね。あいつらにチーを取られたく無かった」

「、、、」

「俺の友達、男も平気なヤツいるし、女子も結構奔放だから、、、」

「、、、」

「俺、何言ってんだろう、、、」

「チー、、、千尋」

「俺の事、嫌いになった?」

「俺、いい加減でしょ?」

「別れたい?」

僕は頭をブンブン振る。

「坂口さんは知らないだろうけど、僕、告白される前から坂口さんの事好きだったんです」

坂口さんの顔を見つめる。

「ずっとずっとカッコいいな、優しい人だなって思っていました。怒った所も、機嫌の悪い所も見た事ないし、、、。だから、自販機の前で告白された時、本当に本当に嬉しかったんです」

「昼、食堂に行かなくなったのは、嫌いになったんじゃ無くて、彼女さんがいるなら別れないといけないと思って、、、」

「チー、、、」

「でも、頭ではわかってるんですけど、別れたく無くて、、、」

「どうしたら良いかわからなくなって、食堂に行けなくなりました。連絡が減ったのも同じです、ごめんなさい」

「、、、俺、嫌われて無い?」

「嫌われて無いです」

「良かった、、、」

坂口さんは少し泣きそうな顔をしていた。



「浴衣、カッコいいですね」

「チーもよく似合ってる、、、。可愛い」

「え?可愛いんですか?浴衣ですよ?カッコいいって言って欲しかった、、、」

坂口さんはフッと笑った。すごく優しい顔。

「ちょっと立って、少し直そう」

そう言って、僕を立たせると浴衣の襟元を直して、

帯の下からキュッと引っ張った。まだ、少し綺麗に

戻らなくて、

「ごめん、ちょっと中に手を入れるよ。」

と言って合わせ部分の中に手を入れて内側の生地を引っ張って直してくれた。

 坂口さん、カッコいいな、、、。



「あのさ、さっき一緒にいた人誰?」

「えっと、バイトの先輩と、その友達です」

「2人じゃなかったの?」

「3人で来ました」

そう言えば、柳先輩と川原さんはどこにいるんだろう。

「バイトの先輩は僕の後ろを歩いてました。川原さんは今日初めて会いました」

「川原さん、、、か。今日初めて会った人に抱かれたの?」

「!!!、、、抱かれたって、、、」

顔が赤くなる。

「あいつ、俺の顔見ながらチーを抱き寄せた。挑戦的な顔してた」

「ホントに初めて会ったの?」

「ホントに今日初めて会いました」

挑戦的な顔ってどんな顔なんだろう、、、。

「嘘ついてない?」

そう言いながら、席を詰めて密着して来る。顔も近い。

「キス、、、」

「え?」

「あいつ、チーにキス、、、」

「してないですよっ!?」

「耳元で囁かれてびっくりしただけですよ!?」

「何て言われたの?」

「大丈夫?とかそんな感じの」

「真っ赤になったよね」

「だって!いきなり耳元で囁かれたら!」

「キュンってなっちゃった?」

「、、、坂口さん、意地悪だ、、、」

僕は何だか訳が分からないけど、涙が出て来た。何でこんなに意地悪な事言われなくちゃいけないんだ。頭に来ながら、泣いてる顔を見せたく無くて下を向く。当然、涙が溢れてしまって、浴衣に濃い染みが出来た。

 坂口さんが両手で、僕の顔を自分の方に向ける。

「チー、可愛い」

「ごめんね。ヤキモチ妬いた」

僕の涙はもっと溢れて来た。坂口さんが僕にヤキモチ妬いてる。

「ふっ」

と声が漏れると、坂口さんが抱き締めてくれた。頭をヨシヨシしてくれて、どんどん涙が止まらなくなる。



*****



 俺と川原は、圭吾と千尋くんから少し離れた所から見ていた。

「川原、ありがとな。上手く行ったよ」

アイツ等をつまみに生ビールを飲む。これで圭吾の優柔不断が治るといいんだけど。まぁ、大丈夫だろう。



*****



「千佳ちゃんとちゃんと別れたよ」

「へぇ、いつ?」

「七夕祭りの時」

「千佳ちゃんの誕生日なのに?」

「うん、色々あって、そんな事考えられなかった」

「俺は、その色々の部分が知りたいね」

圭吾がしばらく考え込んでいた。

「チーが男といた、、、」

俺は飲み掛けの酎ハイを吹き出しそうになった。

「心、吹き出さないでよ、、、」

慌てて布巾で口を押さえて、酒が口から溢れるのを我慢する。



「それで、チーを捕まえて、目の前で千佳ちゃんに電話したんだ」

「すごい怒ってて、別れないって言ってたけど、俺もチーが大事だし、、、。ちゃんと謝ったよ」

「まだ、許してもらえないし、許せないのもわかるからどーにも出来ないけど、俺の気持ちは伝えたよ」

「チーは、俺が告白する前から俺の事好きだった」

(知ってる)

「食堂に来なくなったのも、連絡が減ったのも、俺が嫌いになった訳じゃなかった」

(チーちゃん、別れたく無いって言ってたよ)

「嫌われて無くて良かった」

圭吾はチーちゃんの事を考えているのか、優しい顔をしていた。今から地獄を見るのに、、、。


「いらっしゃいませ〜!」

の声に入り口の方を見たら、チーと川原が、一緒に入って来た。

「うそだろ、、、」

チーは状況が把握出来ないのか、キョロキョロしている。川原が先に俺達に気付き、片手を上げて入って来た。

「よっ、柳!」

俺はしんの顔を見た。

「千尋くん、お疲れ」

「柳先輩、お疲れ様???」

「さて、役者が揃った所でネタバラシと行こう」

と心が言った。



「酷いな心、、、」

「いいじゃないか、お陰で自分の気持ちに正直になれただろう?」

川原は、しんの横で黙って生ビールを飲んでいる。コイツの顔を見ると腹の底がザワザワするから落ち着かない。



 川原の視線はあの日もやばかったけど、今日もヤバい。俺は、しんの方ばかり見て会話を続ける。川原の方は何と無く見たく無い。

「所で坂口さん、良い男ですよね」

俺の動きが止まる。心、助けて、、、。心は知らんぷりをする。

「チーちゃんを追いかけた後ろ姿、カッコ良かったです」

俺の動きは油の切れたロボットの様にぎこちなくなる、、、。 

「一目惚れしました、付き合って下さい」

にっこり笑う川原が怖い。

「ダメですよ」

「ん?」

「坂口さんは僕の彼氏なんです。、、、坂口さんは、僕の彼氏だから川原さんでもダメなんれふ」

「れふって、、、」

心が、顔を真っ赤にして笑いを堪えている。

「これなら、圭吾も流されないな」

チーは、いつの間にか俺の酎ハイを飲んでいた。ヤケに減りが早いと思ったんだ、、、。


「所でその可愛い子、どうするの?」

「チー?」

チーは半分入ったグラスを両手で持ち

「なんれふか?」

と言う。心と川原が

「なんれふか、、、って、、、」

とクスクス笑う。

「、、、俺が送って行くよ」

「家、知ってるの?」

「チーちゃん、バイト先に電車で来てるハズだから、圭吾の家の方が近いんじゃ無い?」

と心がニヤニヤする。


 だから、この辺りで飲もうって言ったのか?

最後まで気が抜けない、、、。でも、いいか。こんな事が無ければ、チーを家に呼べないかも知れない。

「チー、立って、家に帰るよ」

「家、、、家〜。帰るのメンドイ、、、」

「わかったわかった、今日は俺ん家に泊まりな」

と言うと、チーは黙った、、、。嫌なのか?

すると急にデレデレになり

「え〜!坂口さんの家にお泊まりって〜ふふふふ〜

と笑った。


イヤ、何もしないからね。多分!



ハッピーエンドになって良かったです

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