一日目⑤ 記憶の内容
初投稿なのでだいぶ雑です!
多目に見てくれると嬉しいです!
僕は疲れた、疲れたんだ。
数カ月前は美しい金色だったこの髪も、今は薄汚い白に変わってしまっている。
こんな生活がずっと続くなら、もういっそ全部__
「顔色悪いよ?大丈夫?」
後ろから声をかけられる、僕の友達のスービだ。
彼女の髪はいまだ美しい金色をたもっている。
「うん…大丈夫…」
僕は嘘をつく、正直言って、大丈夫じゃない。
女神には3つの役割がある。
魂をつくる
魂を管理する
魂を終わらせる
僕の仕事は、魂を管理すること。
つくる仕事と終わらせる仕事はおそらく、簡単だろう。
隣の芝生は青く見えてるだけだって?
いや、そうじゃない。
実際、仕事場の人数が違うのだ。
つくる仕事と終わらせる仕事は一人だけだが、管理する仕事は10人くらいで回していく。
10人で回していれば、こんなことにはならなかったのだが。
最近は僕ひとりに全ての仕事を任せられている。
代わろうとしても、
「頑張れ」
だって、どの口が言ってるんだ。
スービの仕事は、ただ魂を終わらせるだけ、もう一人の友達、ビーナはただ魂をつくるだけ、羨ましかった。
「ナース…」
スービが僕の名前を言う、僕の名前はナースだ。
もう…正直に言ってしまおう。
僕はスービに、今まで思っていたことをすべて話した。
スービは黙って僕の話を聞いている。
僕は話し終わり、スービが話すのを待つ。
「きついときは、逃げてもいい」
心の奥底で、僕はこんなふうな返事が来るのを待っていた。
でもスービから放たれた言葉は、僕が望んでいたものではなかった。
「そう…なんだ……きついこともあると思うけど、頑張ってよ」
頑張れ…
この時、僕とは違う邪悪な心が僕に芽生えた。
それに気づかず、いつも通りの日々をおくっていた。
やがてその邪悪な心はどんどん成長していき、僕を乗っ取った。
それが、”魔王”だ。
魔王は仕事仲間の9人を、僕の手で殺した。
正確に言うと、魂を破壊した。
スービの仕事の魂を終わらせるだが、あれは魂を破壊しているわけではない。
魂を中身を抜いているのだ。
そしてビーナが、空になった魂に中身を注ぐ、これを繰り返す。
でも9人の女神は、魂自体を破壊された。
なくなった魂は、もう二度ともとに戻らない。
おっおおおれ…僕は9人を殺したんだ。
もももももっと…やり…た…い…
僕は、取り返しのつかないことをした。
気づいたら、ビーナが僕の目の前にいる。
ありえないものを見るような目で。
「ナー…ス」
なナースっ…て、誰だ…
僕の名前を呼ぶ。
「ナース!!」
もう一度僕の名前を呼ぶ。
……?
なんだ…頭が…変だ…
左目らへんに手をやると、そこに僕はいなかった。
ビーナを見てみると、右手から光のムチのようなものが生えてきている。
そうか、僕の左目から上は、ビーナのムチによって飛ばされたのだ。
ゆる…さない…
こいつも……ころ……こ…ころ…
僕は走る、ただただ走った。
このままじゃ、ビーナも殺してしまう。
そして、スービも…
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そう…上手くはいかないらしい。
スービが僕めがけて弓矢を向けている。
あれから数週間、僕はずっと逃げ続けていた。
どんどん侵食されていく心に怯えながら。
そしてもう終わりだ。
僕はスービに殺される。
涙を流しながら、震える手で思いっきり矢を振り絞っている。
多分、悪くない最後だ。
僕が僕のまま、殺されるのだから。
ドスッ……………
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矢は、地面に突き刺さっている。
そして僕は、生きている。
スービが地面に倒れ込んだ。
僕は彼女の目の前に行き、こう言う。
「僕から離れていった魂の一部が、宇宙の端にある星に流れ着いたんだ」
少しづつ涙が出てくる。
「ここと端とでは、時の流れが違う、ソイツ、もう16になったんだ、ソイツの、名前」
「麻鬼…王太郎…分かりやすい名前にしといた、多分、すぐに見つけられる」
「そいつを、僕のもとに、連れて、来る、んだ」
「僕は今、宇宙の、真ん中にある星、の洞窟の中、に、いる」
「ソイツが僕を、殺してくれる」
「もう…長くないんだ…」
「グスッ…僕は、僕のままでいたい…」
「あと…一週間…一週間だ…」
「それまでに…僕を…殺してほしい…」
「ソイツが僕を殺せなかったら…君が僕を…殺してくれ」
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僕は洞窟にいる。
たまに人が入ってくる、そしてその人たちに、僕は言い続ける。
「あともう少しで、全世界の生物の魂を消滅させる」
人の心を操るのは得意だ、すぐに皆信じてくれる。
だがそのほとんどは、魔王に殺されてしまう。
あと3日だろうか。
タイムリミットが来るまで、僕は言い続ける。
いつか”僕”を、殺しに来てくれると信じて
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