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ドクター・ジンマのミステリーカルテ Neo

ダウジング・ヒーロー ~ドクター・ジンマのミステリーカルテ Neo~

作者: 一飼 安美

 ダウジング、という技術があります。二本の針金が手のひらの中で動いたときに、地中には何かが埋まっている。掘ってみたら、本当に出てきたというケースが多数報告されていて、まことしやかにその信憑性が囁かれている。私の周りにも、体験したという者が多くいたのですが。


「くだらねえ」


 その男は、話を聞き終わる前には興味を失っていました。本当に出てきたという友人の話を聞かせようよしても、とりつく島もない。男は、当たり前のように言いました。


「そいつは洗脳だよ」


 ……人間は感覚器官以外の知覚のほとんどを手のひらに頼っている。手のひらの中に知らない情報が送られると、驚く。握った針金を半信半疑で持って歩いているうちに手に汗を握り、針金が手の中で回る。驚いて掘り出すと本当に出てきたと信じ込む、ただのゴミなのに。実際には出てきたことに驚いているのではなく、手の中で針金が回った感覚に興奮しているだけ。怪しいセミナーの講師ならその場の全員にさせて、二、三人引っ掛かればそれでよしとするだろう……それくらいはかかるだろうという、手口自体はある種有効なものなのだそうです。二人か三人信じ込めばこいつらを中心に増えていき、組織になって広がっていく。本気でやってる奴がいるんだから馬鹿げてる、と語る男は、無免許医。……正確には、医大を中退して部分的な知識があるだけの医学生崩れ、開業も医療行為もしていないそうです。びっくりするくらい簡単に引っかかって、そんな詐欺師がどこででかい顔してるかわからないから、気をつけな。咳き込んだ私にそんな嫌味を残して、「ドクター」ジンマはその場を去りました。あったかくして寝てりゃあ大丈夫だ、と最後に付け加えて。

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