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それを今更言うのはズル過ぎるだろ~魔王の娘は要らん世界を知る~

魔女が城をぶっ壊して、女神様がその材料を調達・運搬し、……大量の勇者様が修繕していく。


スケジュールにやや遅れが出るくらいで済む。そんだけのレベルが集まっている証拠である。


「あらあら。良かったら、私達の新居にして欲しいわね」

「そ、そうですなー、妃様ー(棒読み)」


喫茶店デートをしていた、王様と妃様も城内に戻ってきて、


「勇者様すごーーい!早く、私の村に来て、家を建て替えてくださいよー!!すっごい好きです¥¥」

「語尾のマークが♡じゃないですね。村人ちゃん。私としては、こんなに増えるなら1人欲しいなぁ~♡♡すっごく束縛したいですわ♡」

「ウチもあんな感じに残像を作りたいです!!ぜひ、どんな特訓をしているのか!!教えて欲しい!」

「ってか、勇者の体力やべぇー。死にかけまくって、ここまで働けるなんて」

「社畜としての才能こそが、随一かもしれない。ビジネスパートナーとして、ぜひ欲しい人材だ」


村人ちゃん達も命の危機だったことを忘れて、わいわいしながら最後の見合い相手をコーディネイト。

魔王の娘ちゃんだと知っても


「可愛い子には可愛いくさせろってねっ!!私もコスプレ趣味で極めて、化粧術で勇者をメロメロにさせてやるぜー!」

「メ、メロメロって……しかし、勇者様が見惚れるなら……うん!お願いします!!」



人間と魔族に隔たりを感じさせない。会ってみると、険悪することはない。むしろ、人間達同士の方がヤバイのかと


「ん?」

「あら?」


魔女と妃様を見て、一同は思う。

どんだけ勇者の命を狙っているんだよ。この2人は……。


そして、ノリノリなテンションである遊び人ちゃん、天使ちゃんは言わずもがな。村人ちゃんまでもノリノリであった。


「色んな服を試しましょう!だって、乙女にとっての晴れ舞台ですもの!!ねーっ¥¥¥、あ、これすっごい希少な化粧品じゃないですか¥¥¥」

「村人ちゃんは金目当てだね……」

「別に王族となれば、大した事はないですわよ」

「!!そんな金持ちの自慢話は聞きたくありません!!金もらうついでに、楽しいを味わえれば、今日はそれでいいんです!!」

「ウチにはなんだかよく分かりません!化粧も金も分からなーい!」


商業娘ちゃんやお姫様は身嗜みなども決まっているが、


「嫁の姿はあまりイメージした事がないな。勉強にさせてもらう」

「そうですわね」


色んな友達ができたという喜びと共に、この世界にある色んな世界を知るのであった。



………………



「よーーしっ!!こんな感じでどうよ!!」

「バッチリですよ!!魔王の娘ちゃん!!」


勇者の好みにはまったく合わない魔王の娘。だからこそ、自分の良さを磨いて行こう。幼さをアピールした可愛さ、露出度で勝負を選んだ、遊び人ちゃんと天使ちゃん。そして、その評価を詳しく理解できないが、大きな鏡で自分を魅せられ


「!!お、ぉー……」


ちょっと声が裏返るも


「なんかお姫様や魔女さんと大分違う路線だけど……可愛いな!!あたし!!」

「ちょっと嫉妬しますが。可愛いですよ」

「うん。私も5歳くらい若かったら、できたと思う」

「うひょーってぐらい可愛いです!(語彙力ない)」

「え、え、エッチな感じ、分かってますか、あなた」


村人ちゃんはかなり気恥ずかしさを感じる。魔物の中の王の娘じゃなくて、


「サキュパスじゃね?」

「それは魔物界のプリンセスを指すじゃないですか!!」


誉め言葉のつもりはなかったんですけど。って村人ちゃんの表情。まだまだ、魔王の娘ちゃんは年相応なのである。分かっていない。


「…………………」

「睨みつけてどうしたのかしら?若さへの嫉妬かしら?」

「べ、べ、べ、別にないですよっ!!妃様!!っていうか、若さとか、私に言わないでくださいよ!!っていうか、妃様。なに横に並んで言ってるんです!!」

「悪かったわね。デートもしてて、子供も作っていて」

「なんで先に行ってる風に言うんですかーーー!!!」



◇          ◇


「………………」


緊張する。

この扉の向こうに、勇者様が待っておられる。

父を倒してしまった、あたしの憧れの存在。あの人なら間違いなく……


「こらーーっ!話しがちげぇーだろ!」

「ち、違うけどさ!それを言うなら、そっちもじゃん!」


魔王の娘はいよいよ自分の順番となり、扉の前で緊張していた。そんな緊張を感じ取ってくれないのか、部屋の中ではなにやら勇者と僧侶が言い合っている様子。


「あの時はあの時!今は今!!お前は約束破るのか!?」

「都合の良い時だけ使わないでよー!」

「もうすぐ、魔王の娘ちゃんが来るんだから!早くしやがれ!!」

「でも、終わったらすぐなんでしょ!!」


???……2人が何をやっているのか、魔王の娘ちゃんには分からない。そして、この部屋の様子を待機室からでも確認できなかった。開始までに勇者のだらしないところは映さないのも、評価アップの狙いだ。

しかし、勇者と僧侶は、時間などを気にせず、もみ合っていた最中であった。



ガラララララ


「ゆ、勇者様!!はいりまっ…………」


時間となって魔王の娘ちゃんが入室し、そして、待機組にも部屋の様子が映し出されるわけだが。



「嫌だ嫌だ嫌だ!!僧侶の手に掴まれたくないよ!」

「うるせーよ!こうでもしねぇと、抑えきれねぇーんだよ!!瀕死のくせに抵抗しやがって!!」

「や、や、休みくらい頂戴よ!」

「ヤルわけねぇだろーが!お前とはここで終わりにするんだよ!!」


お見合いの場。

魔王の娘ちゃんからしたら、テーブルの向こうで勇者様と僧侶の2人が、床の上でもみ合っている状態。疲労のせいか、勇者が背をつけ、僧侶がその上に乗って襲い掛かっているという状況。

お見合いの席を、お姫様や魔女の様子で見ていた、魔王の娘ちゃんからしたら。こんなことが起こるのかと、頓珍漢な考えを1mmは思いつつ。

お互い、もみ合った結果の荒れ具合。モニター画面から見ている者達の約一部が



「「「アウトーーーーーー!!子供になにを見せてんだーーー!!」」」

「いきなり声出さないでよ、村人ちゃんと商業娘ちゃん、魔女さん」



超高速で反応したのが3名。そして、ただの事故だろうと思って、……遊び人ちゃんと妃様、ついでに王様が落ち着いていて、


「「??これは一体?」」

「え!?女武術家ちゃんやお姫様は知らない世界?じゃあ、無視していいよ!モテない女の夢だから」


誰がモテない女だ!!


「こんなに汚くないから!!私達の妄想はお花畑なカップリングやってるんだから!!」


村人ちゃんがとんでもなく必死な顔で否定している。


「子供には!!子供にはまだ早過ぎるってだけですぅっ!!」

「熱弁しなくていいから、村人ちゃん。マジで。あたしはツッコミが上手くないんだから」


魔王の娘ちゃんから見た景色と、彼女達から見た景色は大分違ってる。これもう僧侶が勇者を襲っている構図にしか見えない。あながち間違っていないのだけれど


「!わ、悪いっ!ちょっと、魔王の娘ちゃんも手伝ってくれ!」

「へっ?」

「こいつ、俺から逃げようとしやがった!!絶対に帰さねぇからよ!!」

「べ、別に逃げないって!!とらないでよってだけだよ!!ちょっと取り込んでて、待っててよ!」


な、なにがなんやら分からず、魔王の娘ちゃんはただただ茫然としているだけ。僧侶の手助けをするべきか、勇者の言う通りにするべきか。そもそもなんの展開か分かっていない様子。そこに


「よーしっ!!抑え込んだぜ!!」

「ああああぁぁっっ!!とらないで、とらないで!!ちょっ!ずるいよ、僧侶!!」

「!!うっせー!俺だって、また、この体がクソみてぇに熱くなる現象を根性で耐えなきゃいけねぇーんだよ!!お前のせいでなっ!!熱ぃぃな、もぅ!!」


映像と音声しか入って来ない、大人な者達にとっては……完全に幼い子供に見せるもんじゃねぇという光景に過ぎなかった。

しかし、実際のところは


「!!はあぁぁっ……完了!ほい、終わったぜ!」

「ひ、酷いよ。僧侶~……」

「これでお前はもう逃げられねぇぜ。しっかり最後までやれよ」


僧侶が勇者とのレベルを均等にしただけである。説明不足が過ぎるのであるが、勇者が城を修繕する際に、残機スキルの使用を求めたわけだが、レベルが足りておらず、仕方なく僧侶がそのレベル分を返してあげたのだった。

そして、お見合い開始前にまた、レベルを相殺させようと僧侶が申し出たのだが、勇者が抵抗し、……このような状態になっていたのであった。

いくらレベルが高かろうが、瀕死なところかつ、残機スキルを使った、重労働を含めた疲労状態では、僧侶に抗うのは難しかった。レベルさえ吸い上げれば、どうとでもなる。



グテ~~~~~ッ



「情けない姿を出すなっての。見合いの席だぞ」

「あの……僕、死にかけてるんですけど……?」


勇者は魔王の娘ちゃんが目の前にいても、テーブルに突っ伏して、休息をはかる。見ていなかったならともかく、勇者のこれまでを見てきた魔王の娘ちゃんだ。


「ははは、……勇者様って凄いなぁ……父上が敗北したのも納得だ」


寛容に許してあげる。しかし、時間が推しているのは察して、こんな状態でも顔だけは向けてくれる勇者に、初めての挨拶をする。


「初めまして、魔王の娘です。今日よりよろしくお願いします」


幼いながらも活発さが出ているせいか、酷すぎる相手ばかりであったのも一理あるが、……僧侶からしても、勇者からしても、……この子、すっごくまともである。一礼した後に勇者の方からとあることを伝えて来た。


「お、大きくなったね……」

「!あ、あたしを知っているのか!?」

「討伐の時、僕は君に会っているよ。……君のお父さんは、君を護ろうとしていた」

「そ、そうなのか。……そうなんだ。それを聞けるだけで、あたしの中での父上はやはり立派だったのだな!」


自分の家族を殺した相手が目の前にいるというのに、復讐に囚われない。それは生まれて間もない事が大きく、彼女にいてくれた周りの存在のおかげだろう。

本来だったら、報復を恐れた人間達が、魔王の娘を討伐するのはおかしい話ではない。しかし……


「父上はどのような方だったんだ?」

「うーん、そうだねぇ」


勇者が目をそらしたのには、本来の目的が異なっていて、これを今更打ち明けていいのやら。といった気持ち。僧侶もその辺の事情を知っているからこそ、魔王が討伐されたのは、人材をかき集めるための目的に過ぎなかったこと。

もらい事故みたいなもんだ。

とはいえ、


「残虐ではないけれど、分かり合おうとする意志はあったかな。でも、人間と魔族は相容れない壁があって、……彼なりに、君を助けるためにも、世界を変えたのは間違いない。僕は君を見て思うよ」

「…………………」

「かなり古い魔術に興味のある方でもあったね。禁止されるべきスキルを扱える事に関しては、僕や魔女を超えていたと思う。だからこそ、人間達には不都合ではあったよ」



魔王は家族を思っていて、……残虐とはいかないが、マッド的な研究者気質というタイプ。こんな活発そうな魔王の娘を見ると、まったく似ていない娘さんなのだが。父親の意志は確実に引き継いでいるね……っていうのが、勇者の感想。



「父上はやっぱりそういう方だと、皆言っていたけれど……本当なのだな」


力に飢える魔族にとっては、研究者的な魔族が自分達の王なんて許せないところがある。だが、


「父上は正しかったのだな。だって、あたしも大切な人達も、失わせていない!!父上は立派であるよな!!勇者様!!」

「…………うん!彼は君のヒーローであり、父親に違いなかったよ!」


世界の異変。

その原因にはこの勇者と魔王にあり……。


「良かった。……ホントに父上は、魔界を護ったのだな」


その父親を殺した奴の目の前で涙を流す。

勇者も僧侶も、……仕方ないとはいえ、かなり戸惑いがある。


「ひぐっ……父上…………ありがとう……」


満足に家族の愛を受けられなかった。にもかかわらず、こんなにも真っ当な存在であることは奇跡だ。


「あ。いや、それはそうなんだけどね!き、君と僕が無理に結ばれるとか、良くないと思うよ!ここお見合いの席だけど!!その、君には確実に、君を思ってくれる方が現れるはずだよ!!」

「……そうだな。魔王の娘ちゃん。勇者に会いたかっただけだろ?」

「はい!……しかし、もし勇者様が良ければ、魔界にいらして欲しいのですけど」

「いやいやいや!それ逆効果だよ!君は僕を許せるけど、僕を許さない魔物は絶対にいるよ!!見てきたでしょ、人ですら僕を狙ってたんだよ!」

「すげー説得力だな」


王国の悪政が許されるのも、この暴力装置がいるわけだ。それが良いとは思っていない。


「そ、それは分かっております。ただ、友好条約を結びたい。魔界の安定に勇者様のお力、お名前を借りられれば、それが早く確実にしたい!」

「この若さで世界のことを考えてるんだね」

「結婚は確かに反対の意見もある。しかし、それはその……お互い思い合えるのなら、それが世界のためです!魔界と人間界の平穏のためです!!」


魔族の王が、こんなにも友好的だなんて……人間の王様達ってクズだな



「へっくしゅん……」

「あら?浮気相手に噂されてる?」

「そ、そ、そんなわけでしょう!妃様!儂はもう、妃様一筋ですからぁっ!!」


いずれ上手く行かない事が分かるのも、結婚という奴だ。世界も同じだ。

ちょっと話が途切れたところで


「そ、それと勇者様。……あたし個人的な、頼みがあるのですが。お願いしてもいいか?」

「お願い?」

「母上はあたしが生まれた後すぐに亡くなってしまい、父上だけが、あたしの家族なのだ。どうにかあたしが元気な事を伝えたい。父上に感謝の気持ちを伝えたいのだが、……あたしにはできない」

「そ、それは僕にもできないと思うけど」

「墓の前で言えばいいんじゃないか?」


魔王の娘ちゃんのお願い?……どうして、そんなことを打ち明けるのか。勇者も僧侶も???状態であった。しかし、……それは、2人にとってのあまりに想定外。いや、世界にとっての想定外だった。


「可能なんだ!!あたし以外なら可能であり、そんな父上に伝えられるのは対等以上に戦えた、勇者様しかいないのです!!」


スキルの名は、”シキレ”


「あたしのスキルは、”過去改変”のスキルなんです!!」


そう言いながら、弱った勇者の身体に飛び込んでいく魔王の娘ちゃんだった!!


挿絵(By みてみん)


魔王の娘のイラスト。(ミス ↑)


髪は黄色で八重歯で、額にアクセをつけるの忘れてた。



挿絵(By みてみん)

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