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”相性”スキルの僧侶は婚活会社を作っていた~8年ぶりに勇者達に出会う~

「もーーーーっ!!こんなパーティーとは居られない!!」


8年前。

僧侶は魔王討伐の直前で、勇者パーティーから離脱した。

それは自分の持つスキルが、勇者達にとっては不必要なものであるからだ。3つ前のダンジョン辺りから、仲間達が気付き始め、自分があまりにも力不足……というよりも役立たずだと、自分自身が感じ取ったからだ。それとこれは自分の力量以外の事でだが……


「もうお前等で魔王討伐すりゃあいいよ!!どーせ、討伐できるんだから!!俺は魔王が討伐した後でやりたい事業があるから、そっちに専念する!!」



自分の力を活かす事は、何も職業に限ったことではない。

僧侶も魔王討伐の旅で仲間達ほどではないにしろ、”相性”スキルのレベルが上がり、その目的が討伐などという野蛮なモノに使われる事じゃないと理解したからだ。



そして、僧侶が怒って、パーティーから離脱することに。仲間達は誰一人、止めようとしなかった。




◇        ◇


「出会いのお店にお越しくださり、ありがとうございます」


魔王討伐の事実と報せが世界に流れて、8年後。つまり、現在。

僧侶は今。社長になっていた。

勇者達の旅に同行していた時に得た資金を使い、平和になったこの世界で、”婚活支援”の会社を立ち上げたのであった。

そして今や、人気・実績が高く評価され、連日のようにベストカップルを生み出す最高の会社である。


「社長!今日ご来店された男性と女性のデータです!」

「分かりました」


僧侶のスキル、”相性”


「……5分後に男性の方。20分後に女性の方と面会致しますとお伝えください」

「はい!!」


勇者ご一行に居た時は、……初心者を手助けするような支援サポート能力として活躍した。

魔物を見れば、そいつが得意とする属性を瞬時に把握。強さのレベルをパッと見で把握。攻撃力、防御力、魔力。装備している武器の情報などなど……それを見切れるだけでなく、”相性”の良い対策を発見し、仲間達に助言するというのが、僧侶の役目だった。


火属性には水属性をぶつけ。水属性には雷属性で片づけ。雷属性には土属性で……。相性表や攻略法を持っているよってくらいで良い。


実際に、そーいう情報とそれに対抗できる装備・手段があれば、パーティー内では重宝した。

一番気持ち良かったのは、レベル20の時にレベル50の魔物達に囲まれた時の窮地は、この”相性”スキルのおかげで上手く立ち回って、逃げられた事だよ。勝てない敵には逃げる。

倒す以外にもやりようがあるんだ。普通。

自分とのレベル差が30ぐらいなら対応できたのさ。


しかし、旅の終盤になれば自分のスキルはもう勇者以外の面々にも、経験から感じ取ってしまう。そして、戦う力が乏しい俺はいつしか戦闘に参加しないし、回復能力もそんなに高くないし、レベルが高い魔物相手には相性が良い攻撃も簡単に耐えてきやがる。ぶっちゃけ、もう役に立たんと感じたよ。

だからこそ、この”相性”のスキルはもっと違うモノに活かすべきだと思った。


「希望する年収がある男って言ったけど!!傭兵って汚いし、収入が安定しない男じゃない!!顔もちょっと無理なんですけど!!」

「なんだよこの女!全然若くねぇーじゃん!!ふざけんなよ!見た目は良くても、俺の希望してる年齢を超えてるじゃないか!!」


そして、それは平和になった世界で訪れるであろう、少子化問題を解決するためにあるんじゃねぇかと思ったのさ。


「まぁまぁ。お見合いから始めて、デートも一回しましょう」

「デートプランは格安ですし、こちらでもご提案があります」

「私から見て、あなた達はお互いを助け合える、理想的なカップルになりますよ。確かに喧嘩はしますけど、夫婦はそうやって強くなり、始まりもするのです」


男女の”相性”をチェックし、的確に助言をすることで、……ベストカップルを生み出す。


”登録者の成婚率は脅威の99.8%!!”

”良い出会いを得られた、99.9%のご回答!!”

”5年未満での離婚率は1%!!”

”子供を3人作られる家庭は、1000件超!!”


この実績!!

連日、男女問わず、この会社を利用されるのは明らかである。自分のスキルを活かして、世界に貢献し、お金も稼げて幸せを沢山生み出せる。

自分の天職に相応しいモノだ。


「いや~ん♡♡話してみると、すっごく面白い人~♡傭兵さんって筋肉ムチムチなんですね~♡」

「傭兵やってると家事とかに困ってて、彼女がこんなに手料理や洗濯、掃除をしてくれるなら悪くないかな。彼女も収入あるみたいだし。出会えて良かった」


凄く仲が悪そうな人達にも、良い出会いを与えられる!!

今回も無事に婚姻成立である!


「やっぱり、俺は勇者一行なんか向いてなかったな」


こうした日々を過ごしていくのだろうと思っていた時


「た、大変です!!あの、あの、……」

「どうしたんだ?」


……8年ぶりに、奴と再会したのだ。自分の父親を連れて


「お、おおおお、お客様が……王様と勇者様ですーーーー!!!」


魔王を討伐した勇者とその父親である王様が、この会社で婚活活動を始めたいと言ってきたのだ。

このとんでもない勇者とその王様を知る僧侶は……



すっげーーー、断りたい。



って顔をしていた。

いくら”相性”のスキルがあっても、合わない奴を無理矢理くっつけるような、非人道的なスキルでもない事をしっかり把握しているからだ。奴等にそれはない。罵倒しても許されるくらい、こいつには自分の全てを否定しやがったからだ。


「帰れ!出禁だ!!テメェ等は俺の前に二度と顔を出すな!!気色悪いんだよ!!」

「そ、そ、そこをなんとかぁぁぁっ!!僧侶くーーーん、頼むよぉぉぉぉ!!この王様が直々に来たんだよ!!この勇者に見合った女性を見つけて、勇者の血を絶やさないでくれ!!孫の顔も見たいんじゃ~~!!王国が滅んだら、魔王よりも大変なことになる~~!」

「…………………」


あ~、勇者の見た目はあまり変わってないな。こっちは会社で起こるストレスと8年間の時間で、朝1時間は身嗜みに時間注がないといけないってのに……。


「勇者は変わらないな」

「ん…………僧侶も変わってない……」

「いや、俺は絶対に見た目、変わってる。顔にしわできてるし、腹も大分膨れてるんだぞ。お前は出会った頃から変わってない」


こんな無口野郎がこの世界の勇者であり、”レベル100000”の勇者なんだよなぁ



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