結果
23話です。
それからも、しばしば学校を休んで遊ぶことが何度かあった。
やがて冬の終わりが近づき、二年生になるのも直前。
今まで昼食代を削って貯めていたお金も、いつの間にか結構な額を使っていた。
その代わり、写真も増え、たくさんの思い出ができた。
「そういえば、今日模試返ってくるらしいぞ」
教室で昼食を食べていると、翼が言った。
「そっか。そういえば模試受けてたな」
急にドキドキしてきた。
遊ぶ日も多かったし、もしかしたら結果が酷いことになってるかもしれない。
授業が終わり、帰りのホームルームで担任から模試が返却される。
受け取った模試の判定を見て、指が震えた。
――A判定だ。
「お前どうだった?」
「今までで一番良かった」
予想外の結果に、嬉しさがありつつも、驚きが混じっていた。
「お前はどうだったんだ?」
「俺? 俺は受けてないから」
「そっか。お前、模試の日いなかったな。いつものバイトか?」
「そうそう」
最近になって 翼のバイト、と言っているものが何となく分かってきた。
それを聞こうとしたとき、担任が騒がしくなっていたクラスをまとめた。
ホームルームが終了し、翼と一緒に帰宅する。
「明日は遊園地だよな?」
「そうなんだけど、もしかしたら俺と桜が行けなくなるかも。正直、ほぼいけないと思っていい」
「マジか」
遊園地、楽しみにしていたんだけどな。
「だから無理そうだったら連絡する。その時は二人で行ってきなよ」
「おっけい。でも四人で行きたかったけどな」
「俺も行きたかったけど。というか……」
翼は少し沈黙して、視線を遠くへ投げた。
「明日だけじゃなくて、これから先も忙しくなるかもしれない」
その声はいつもより低く、冗談の気配はなかった。
胸の奥がざわつく。
「何か……あるのか?」
「ある。具体的には分からないけどな」
翼は笑っていない。
******
家に帰り、リビングに行くと、母がいた。
「今日模試が返ってきてさ」
バッグから取り出した模試を自慢げに渡すと、母はぴくりと眉を動かして、それを机に置いた。
「そう」
――それだけ。
次の言葉を期待して待っていると、母は逃げるようにリビングを出ていった。
もう少し、何か言葉があるのかと思っていた。
頑張っても意味ないのか?
体の端から不安がじんわりと伝ってくる。
……いや、悪いことを考えるのはやめよう。
頭を振ってマイナスの思考を追い払う。
明日は遊園地だ。
模試の成績も上がってるんだし、十分楽しもう。
携帯で美羽たちと連絡をとりながら、勉強をする。
最近は勉強をしていても頭が冴えていることが多くなった。
確実に状況はよくなっている。
きっと、大丈夫。
('ω')




