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幼馴染

17話です。

「随分と機嫌がよさそうだな」


美羽と遊びに行った翌日の昼休み。


普段通り昼食をとっていると、登校してきたばかりの翼に話しかけられた。


「何かあったのか?」


「まあ、あったにはあったかな」


少し笑みをこぼしながらそう言うと、翼は驚いた顔を見せた。


「マジか!聞かせろよ」


翼はいつも通り、僕の前の席をこちらに向けて座り、机に包みに入った弁当を乗っけた。


「残念だが内緒だ」


「何だよ。教えてくれないのかよ」


口先をとがらせながら、翼は包みを開け、弁当を広げる。


二段型の直方体の弁当。


上の段にはおかずが、下の段にはご飯が入っている。


おかずは何種類も入っていて、料理できる人が作る弁当、という感じのきちんとした弁当だった。


「その弁当は自分で作ったのか?」


前に焼きそばを作っていたし料理は得意なのか、と思っていると、翼は首を横に振った。


「いや、この弁当は幼馴染が作ってくれたんだ」


「え?」


思わず食べていたメロンパンを落としてしまった。


「どうかしたか?」


「どうかしたかって……」


羨ましい、と言葉が漏れるのを抑え、落としたメロンパンを拾う。


「というか幼馴染いたんだ」


「あれ?話したことなかったっけ?」


「なかったと思うけど」


「なら機会があったら紹介するよ。多分、あっちはお前の事気に入ると思うよ」


「どんな人なんだ?」


「んー何て言えばいいんだろ」


翼は箸をおき、顎に手を当てて考える。


「俺に似てるかな」


「……変な奴ってことか」


「俺の認識ってそんなんなの?」


「そんなんだよ」


「マジか……」


ちょっとした冗談のつもりだったが、翼は意外とショックを受けているようだった。


誤魔化すようにその子の話を広げようと質問する。


「その子って何か得意な事とかあるのか?」


「あるぞ。というか大体のことは得意だよ」


「凄いなそれ」


翼は何故か自分の事のように誇らしげに語る。


「初めてやったことでも他の人の真似をしてすぐ出来るようになるんだぜ」


「それってどんなことでも真似を出来るの?」


「どんなことでもだな。あいつが出来ないって言ったところを俺は見たとこがない」


翼の顔はやっぱり自慢げで、よっぽどその幼馴染が好きなんだと分かる。


「お前もきっと気に入るよ」


「それは楽しみだな」


すると突然、翼は何かを思い出したかのように声を上げた。


「お前ってどこか空いてない?遊びに行きたいんだけどさ」


「空いてないね」


即答すると、分かっていた、と言わんばかりの様子で翼はため息を吐いた。


「そうだよなあ」


「ほぼ毎日塾が入ってるからね」


「どうにか出来ねえかな」


翼はぼんやりと呟き、弁当を再び食べ始めた。


悩んでいる翼に対して、僕はずっとその弁当を見つめていった。






「優太って次の休みいつ?」


塾の帰り、美羽の家でくつろいでいると、美羽からそんなことを聞かれた。


「次は一か月後かな」


「そっかあ……」


美羽の声は明らかに残念そうで、胸がズキンと痛む。


翼にも誘われたし、やっぱり休みがほしい。


どうにか方法はないか。


悩んでいると、帰る時間が迫っていることに気付いた。


「そろそろ帰ろうかな」


「もうそんな時間立っちゃった?」


「というか今日は来るのが少し遅かったから」


玄関で靴を履きながら、ため息を吐く。


もっと美羽と一緒にいたいけど、休みはないしな。


玄関に手をかけた時に、あることを思い出した。


「そうだ美羽。お願いがあるんだけど」

('ω')ノ

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