帰宅
14話です。久しぶりの投稿です。
美羽の家から帰宅すると、リビングに電気がついていた。
玄関で靴を脱ぎながら耳を澄ませる。
音は聞こえないが、そこには誰かがいるような存在感があった。
母だろうな、と思いリビングの扉を開けると、予想通り、机に母が座っていた。
こちらに気づいていないようで、テレビもつけずに呆然と窓の外を眺めている。
やつれた頬に、やせ細った腕。
その姿には生気が感じられず、遠目に見れば石像と見分けがつかない。
「ただいま」
そう言うと、母はこっちに視線を向け、じっと睨みつけた。
何を言われるのか、身構えていると、母は突然立ち上がる。
無言のまま近づいてくると、そのまますれ違い、リビングを出ていった。
足音がリビングから離れていく。
何がしたかったのか分からない。
最近の母は行動の意図が読めなくて、少しばかり怖い。
自分の部屋に戻り、ベットに倒れ込む。
体が布団に沈み込み、無気力に襲われる。
眠気はなく、目をつぶると、どことない不安が押し寄せる。
僕が良い大学に入れば、あの頃の母が戻ってくる。
そう信じているけど、、本当に戻ってくるのだろうか。
いや戻ってこれるのだろうか。
あの様子じゃ……。
「いや、きっと戻ってくる」
信じるしかない。
窓の外は雨雲が広がり、どんよりとした夜空が広がっている。
それは決して綺麗とは言えない。
(・ω・)ノ
絶対に完結はさせます。