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夢を叶える紙

作者: 花屑ひなた

 


 あるところみをしたエイプリルという女の子(おんなのこ)がいました。エイプリルはいつもいつもよるおそくまでおきていて、まどからえるおしろをジーっとつめながら想像そうぞうひろげることがきでした。


「はぁ、わたしもあのおしろひらかれる舞踏会ぶとうかいってみたいわ」


 おしろねん数回すうかいひらかれる舞踏会ぶとうかいは、貴族きぞくだけが参加さんか出来できるので、町娘まちむすめであるエイプリルにはゆめのまたゆめでした。


 しかし、年末ねんまつひらかれる舞踏会ぶとうかいでは、ドレスコードさえたせればだれでも参加さんかゆるされているのです。


 エイプリルはいつかおかねめて綺麗きれいなドレスをって舞踏会ぶとうかいこと夢見ゆめみていたのです。


 しかし、エイプリルのおおうち裕福ゆうふくとはえなかったので、いつになるかはかりませんでした。


 そんなエイプリルは、お友達ともだちあそばないまって、大人達おとなたち噂話うわさばなしみみてていました。なかには、舞踏会ぶとうかいったことがあるひとはなしけたりしたこともあったので、想像そうぞうひろげるためにいていたのです。


 今日きょうもまた、みみてていると、二人ふたり大人おとな会話かいわがエイプリルのみみはいってきました。


 一人ひとり大柄おおがらひげがモジャモジャのおとこひとで、もう一人ひとり細身ほそみでキツネをしたおとこひとでした。


「なあ、ってるか? みずうみそばえてるした宝箱たからばこまってるっていうはなし


宝箱たからばこだあ? らねえなぁ。それでその宝箱たからばこにはいったいなにはいってるんだ?」


「それがな、宝箱たからばこにはなんでもねがごとかなえてくれるっていうかみはいってるらしいんだ。けばねがいをかなえてくれるらしいぜ」


「ハハハ、ねがごとかなえてくれるかみねぇ。本当ほんとうにそんなもんがあるのか?」


「ああ、酒場さかばでコソコソとしゃべっていたヤツのはなしいてたからな」


酒場さかばでかよ! そんなのいの戯言たわごとだろ」


「でもよ、具体的ぐたいてき使つかかたってたんだぜ? ねがごといたかみまくらしたいて一晩寝ひとばんねるとかなうらしい。そのはなしいてためしてみたくなったんだ」


「フッ、そうかよ。今日きょう時間じかんもあるしひまつぶしにさがしてみるか」


 その言葉ことばいた瞬間しゅんかんにエイプリルははししました。二人ふたりおとこたちよりはやって、そのかみつけそうとおもったのです。


 しかし、エイプリルははしりながらかんがえていました。みずうみまわりにはたくさんのがあるからです。


 どうやって宝箱たからばこめてあるつけようかとなやんでいると、みずうみ到着とうちゃくしました。


 あたりを見渡みわたし、たくさんえているたエイプリルはあきらめそうな気分きぶんになりました。


 しかし、なにもしないでかえ気持きもちにはならなかったので、ちかくのからさがしてみようとちかづいてみると、つちいろちが場所ばしょがありました。


 その場所ばしょかえしてみると、そこにはのひらサイズの宝箱たからばこがありました。


 エイプリルは「わあ!」とよろこび、宝箱たからばこけてみると、一枚いちまいかみはいっていたのです。


 エイプリルはつけたと同時どうじに、不安ふあんにもなっていました。このあと大人達おとなたちがここをつけたらどうおもうだろうかとかんがえていました。


 はなしぬすきしただけじゃなく、ねがいをかなえてくれるかみったことかればさがされてられてしまうかもしれないとおもったのです。


 そこでエイプリルはおもいつきました。お絵描えかきようっていたかみ宝箱たからばこれてもとあった場所ばしょもどせばからないだろうとかんがえたのです。


 キョロキョロとまわりを確認かくにんして、大人達おとなたちがまだていないことたしかめると、宝箱たからばこかみれてもともどしました。


「これでよし! かえろっと!」


 エイプリルは得意とくいげな様子ようすで、おうちへとかえってきました。


 おうちいたエイプリルはさっそくねがごといてまくらしたかみきました。綺麗きれいなドレスを舞踏会ぶとうかいこといたのです。


 そしてよるになり、エイプリルはねむろうとおもいましたが、ねがいがかなうのだとおもうと、興奮こうふんしてねむることが出来できませんでした。


 そこでエイプリルはまだきていたおかあさんにねむれる方法ほうほうはないかといたのです。


 エイプリルがねむれる方法ほうほういてみると、ホットミルクをむとリラックスしてねむりやすくなるとおしえてくれて、おかあさんがホットミルクをつくってくれることになりました。


 ホットミルクをんだエイプリルはベッドにもぐりこむと、だんだんとねむたくなって、いつのにかスヤスヤと寝息ねいきててねむりました。


 あさになってエイプリルがますと、お布団ふとんうえ綺麗きれいなドレスがありました。


「わあい! やった! かなったんだ!」


 エイプリルはきてよろこんでいました。そして、ドレスをまえにしたエイプリルは我慢がまん出来できずさっそく着替きがえたのです。


 なドレスをたエイプリルは、うれしくなってだれかにてほしいとおもい、おうちしてみると、そこには王子様おうじさまがいました。


「ああ! なんて素敵すてき女性じょせいなんだ! よければわたしのおしろ舞踏会ぶとうかい参加さんかしていただけませんか!」


 王子様おうじさまからの突然とつぜんのおさそいに、エイプリルは「もちろんよ!」と返事へんじをしておさそいをけました。


 エイプリルは王子様おうじってきた馬車ばしゃせてもらいおしろへとかうことになったのです。


 おしろ到着とうちゃくすると、まわりにはたくさんのひととたくさんの料理りょうりならんでいました。


 おいしそうなお菓子かし発見はっけんしたエイプリルは我慢がまん出来できずについばしパクリとべてしまうと、あまくておいしくてしあわせな気持きもちになりました。


 王子様おうじさまにダンスにさそわれたエイプリルは、おどことになりました。ダンスをならったことがないエイプリルでしたが、まるで何年なんねんならったことがあるようにおどることが出来できました。


 エイプリルはいつも想像そうぞうしていた舞踏会ぶとうかい参加さんかすることが出来できて、とてもしあわせな気分きぶんでしたが、突然世界とつぜんせかいゆれはじめました。まわりのひとなに反応はんのうせず、エイプリルだけがあわてていました。


「……さい。……なさい。朝よ、起きなさい」


 エイプリルはおかあさんにさぶられていました。


「ん……あれ、王子様おうじさま……は?」


「ふふふっ、王子様おうじさま? もう、寝惚ねぼけてないできなさい。あさごはん出来できてるわよ」


 エイプリルはゆめていたのでした。舞踏会ぶとうかいったことが全部夢ぜんぶゆめだとかって、とてもんでいました。


 エイプリルはとてもんでいたので、お友達ともだちともあそばず、まちってみみてることもしないで、ずっとおうちでうずくまっていました。


ねがいをかなえてくれるなんてうそじゃない」


 エイプリルはうずくまりながらぽつりとつぶやきました。


 でも、ゆめことおもしてみると、すこしあわせな気持きもちになりました。いつものゆめちがってとても現実げんじつのようにかんじていたからです。


 ち、そとくらになって時間じかんになりました。いつものようにおしろながら想像そうぞうする気分きぶんにはなれなかったのでことにしました。


 そとあかるくなり、ましてみると、そこには昨日見きのうみゆめおなじように綺麗きれいなドレスがお布団ふとんうえにありました。


 エイプリルはそれをてこれはゆめなんだとかると「はぁ」と溜息ためいきいたのです。


 しかし、ゆめだとわかっても、とても現実げんじつようかんじるゆめだったので、わくわくをおさえられず、ドレスを舞踏会ぶとうかいことにしました。


ゆめ……でもいいや。きるまでいっぱいたのしもう!」


 エイプリルはゆめであることれて、たのしむことにしました。さっきまでんでいたのはかったかのように舞踏会ぶとうかいたのしんだのでした。


 そのからエイプリルは毎日まいにちしていたおしろながらの想像そうぞうをやめました。そのわりに現実げんじつのようなゆめなか想像そうぞう実現じつげんさせることにしたのです。


 ゆめなかではエイプリルの想像次第そうぞうしだいで色々(いろいろ)とえていけることいてからは、毎日夢まいにちゆめなか想像そうぞうかなえていたのでした。


「ゆめのなか」というテーマに惹かれて書いてみました。


童話を書いたことも無く、書いてみようと思った事もありませんでしたが、書いていてとても楽しかったです。


読んでくださりありがとうございました!

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― 新着の感想 ―
[一言] エイプリル、いつか夢が本当になると良いですね^_^
2024/01/03 21:34 退会済み
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