第98話 父親たちの悩み
アウレールの父アルノルト・へリングとクリスタの父クラウス・ランセルが酒場で飲んでいる。アルノルトがクラウスに言う。
「よくクリスタの傭兵団入りを認めたな。」「あいつは頑固で一度決めたら意見を変えたりしねえ。押し切られたんだよ。」
「まあ、ハンティング・ウルブズでは活躍しているそうだな。」「まあな。アウレールも鮮血のワルカと呼ばれている。調子に乗らなければいいがな。」
「お前の所の坊主は、本当に凄腕らしいぞ。」「確かに努力はしているな。夕方、コンラートと走っているようだし。毎朝、魔力の練習もしているぞ。」
「魔力ってなんだ。確かに朝早くに出ていくが・・・」「ロボットの操縦に必要らしい。」
「俺たちの理解を超えているな。」「越えていると言えば、娘は俺より稼いでくるぞ。」
「俺の所もそうさ父親の威厳が保てないな。」「そうだな。それより男勝りでもらってくれる男がいるか心配だよ。」
「息子と仲が良いと思っていたぞ。」「ああ、仲は良いぞ。でも一緒に暮らすとなると話は別だろ。」
「息子に発破かけようか。」「大丈夫か。裏目に出ないといいが・・・」
「なあに、息子にきれいだって褒めるように言い聞かせるさ。」「頼むよ。」
彼らは心配話から変な方向に話を進める。
アルノルトは家に帰るとアウレールと話す。
「クリスタちゃんとはうまくやっているか。」「ああ、仲良いよ。」
「あの子はかわいいだろ。」「そうかな。普通だと思うけど。」
「あの子は美人になるぞ。」「そうなんだ。」
「今のうちにきれいだって褒めてやりなさい。」「分かったよ。」
アルノルトはこれでうまくいくと思う。翌朝、魔力コントロールの訓練の後、アウレールはクリスタに言う。
「クリスタ、きれいだよ。」「どうしたの。」
「親父に言うように言われた。」
クリスタは父親の顔を思い浮かべ、「おやじの奴、やったなー」と考える。そしてアウレールに言う。
「本当のところはどうなの。」「クリスタのことか。割とかわいいと思うぞ。」
「あ、ありがとう。」
クリスタは父親への怒りはどこかへ飛んでいき、うれしさがこみ上げる。
一緒にいたオーバンがエリクに言う。
「クリスタは相当な美少女だと思いますけど。」「そうだな。ルイーズにはかなわないがな。」
エリクは彼女のことが一番なのである。




