第95話 ブルーノとコリンナのディナー
ブルーノはエリア長のユリウスに乗用車を借りる。彼はコリンナとの食事に真紅の装甲車で行くのはまずいとさすがに思い至ったのだ。
彼はコリンナを助手席に乗せて運転して街へ向かう。彼女が彼に聞く。
「今日は装甲車ではないのね。」「真紅の装甲車は目立つと思ってね。」
「私、あなたが常識的に考えられると知って安心したわ。」「手厳しいなあ。」
彼女は彼を見てつぶやく。
「ちゃんとしていれば、かっこいいのに。」「何か言った?」
「何でもないわ。」
彼女は外の景色を見る。エリアと都市以外は草も生えない荒野が続いている。宇宙生物ムーラーが地球の有機物を残らず摂取して去って行ったからだ。
荒野には生き物を育む力は残されていない。人類は長い時間をかけて人の住むことのできる都市とエリアを作ってきた。
街に入るとトラック以外にも乗用車が走っている。
今日、コリンナはホテルにあるレストランを予約している。車をホテルに乗り付けるとドアマンが車を誘導する。彼らは車を降りて、ホテルに入る。
彼らは2階にあるレストランに案内されると、レストランのスタッフが席へ案内する。コリンナは慣れているようだがブルーノは初めてのことで落ち着かない。
彼はテーブルマナーも知らないのでコリンナの真似をして無難に過ごすことにする。彼は彼女に質問する。
「どうして、こんなところに食事に誘ったんだい。」「ゆっくり話をしたかったの。」
「事務所ではまずい話かな。」「半分はそんなことないけど、もう半分は2人きりで話したかったわ。」
「半分はどんな話かな。」「この前、カフェで話したわ。」
「もう半分は何?」「ブルーノ、あなた付き合っている人いないわよね。」
コリンナの言葉はブルーノの心に突き刺さる。
「ま、まあ、もてないからいるはずないよな。」「私のことはどう思っているの。」
「最初は警戒していたけど、今は頼りにしているよ。」「女としてはどうなの。冷たく見えるかしら。」
「君は美人だし、冷たいとは思わないよ。」「そう、そうなんだ。」
コリンナは赤くなり少しうれしそうである。ブルーノは話の方向が掴めない。
「俺はどおかな。団長としてやれているかな。」「大丈夫よ。みんなの信頼も厚いわよ。自信がないの。」
「コリンナから見てどうかなと思って。」「クルトとブリュノと相談してことを勧めているし、団員に気配りもできているわ。」
「男としてはどうかな。」「決団力もあるし、かっこいいと思うわ。」
「女性に初めてかっこいいと言われたよ。」「嘘は言ってないわよ。」
2人が赤くなっているのは酒のせいだけではない。