第89話 香港軍基地騒乱
各地の群衆は勝ち馬に乗る形で香港軍基地へ移動していく。その様子はテレビで報じられ、香港都市部の住民は避難を開始する。
ケヴィンは香港基地に呼びかける。
「至急、メレンチー司令官と話したい。司令官を出してくれ。」「何度も言いますが司令官は・・・あ、はい、司令官と代わります。」
「メレンチー司令官、レオポルドの着陸許可と調査の受入れをお願いします。」「今、着陸すると貴艦の安全を保障できない。着陸は許可しない。」
「ならばメレンチー司令官にレオポルドまでお越し願います。」「逃げるようなことが出来るか。貴様はそこで見ていろ。」
メレンチー司令官は一方的に無線を切る。
香港軍基地に群衆が集まり始める。数はどんどん増していき、群衆は香港の街にまであふれる。
群衆から叫び声が上がる。
「メレンチーを出せー」「メレンチーを殺せー」
投石が始まる。香港軍基地内では自走砲と戦車が配置に着く。
暗くなると火炎瓶が投げ込まれる。炎に照らされた自走砲と戦車が砲撃を始める。
砲弾は群衆の中に着弾する。人がぼろきれのように吹き飛び血肉が飛び散る。
ブルーノはすぐにワルカとクリスを発進させる。ステルススクリーンを抜けたワルカとクリスは突然現れたように見える。ワルカとクリスはライフルで自走砲と戦車を撃っていく。
車両は高熱で穴が開き、登場している人間ごと焼いていく。群衆から歓声が上がる。
ついに群衆は柵を壊して基地内になだれ込む。兵士が自動小銃で応戦しようとするが群衆に飲み込まれてしまう。
香港軍のガント4機が動き出す。アウレールとクリスタが前に出る。ガントは飛び上がるとライフルを撃ってくる。アウレールたちがさけるとライフルのエネルギーは街の建物に当たる。
建物はビームエネルギーに焼かれて倒壊する。人々が倒壊に巻き込まれる。アウレールは倒壊に巻き込まれた人々の叫び声が聞こえたような気がする。
ワルカの脳波コントロールが作動し始める。アウレールはライフルの1撃でガント2機のライフルを撃ち抜く。さらにガントに迫り頭を掴むともう1機のガントにぶつけてライフルで2機のコックピットを撃ち抜く。
さらにライフルを横にスライドさせて残りの1機を撃つ。アウレールの動きにエリクたちは唖然とする。
レオポルドからケヴィンのマグニが発進する。ケビンはアウレールに呼びかける。
「お前は何なんだ。軍を敵に回すつもりか。」「ガントが大勢の人を殺したんですよ。」
「確かめたのか。」「俺には聞こえたんだ。つぶされる人々の叫びが・・・」
「もうここから離れろ。」「あなたも住民と戦うんですか。」
「いや、俺はメレンチー司令官を拘束する。」「分かりました。あなたとは戦いません。」
エリクが指示を出す。
「一旦、帰艦するぞ。」「了解。」
アウレールたちはセレーネとラングドックに帰艦する。
ケヴィンはマグニを基地の建物の屋上に着陸させる。そして、屋内に入り司令官の部屋を目指す。