第86話 第2方面軍の危機
ケヴィンはメレンチー司令官に提言する。
「第1方面軍、第2方面軍、第4方面軍と武器を香港軍基地に引き上げてくれ。このままでは、住民に襲われるぞ。」「大丈夫だ。軍用ヘリ10機が有事に出動することになっている。」
「それでは住民に死傷者が出るぞ。」「何を言っている。拠点に侵入するのはテロリストたちだ。皆殺しにして何が悪い。」
「ハンティング・ウルブズが来ている。ヘリは使えないぞ。」「ならばガントを同行させよう。傭兵団ごときつぶしてやる。」
ケヴィンはメレンチーに何を言っても無駄だと感じる。フィクサー本部には香港基地の制圧を具申しているが説得をするように指示が来るだけである。
その晩、第2方面軍の拠点に住民が大挙して集まる。ハンティング・ウルブズのセレーネとラングドックは第2方面軍の拠点の近くに移動する。
ブリュノはブルーノとクルトに言う。
「今夜、おそらく第2方面軍の拠点が襲われます。本隊は応援に軍用ヘリを出すでしょう。」「ヘリはクリスで落としましょう。」
「ガントが護衛についている恐れがあります。」「アウレールとクリスタに対応させましょう。」
「フィクサーは動かないと考えていますがどうですか。」「彼らは、メレンチー司令官を止めるのが仕事のはずです。」
「同感です。」「私たちは軍用ヘリの阻止でよいですね。」「はい。」
ブルーノたちは、住民が第2方面軍の拠点を襲った際の対応を決める。
第2方面軍の拠点では、見渡す限りの住民に兵たちが命の危険を感じている。第3方面軍は住民に皆殺しにされている。
拠点には住民の叫び声が響く。
「出ていけー」「軍は必要ない。」「消えろー」
住民が柵に押し掛け、石などが投げ込まれる。拠点の兵士がハンドマイクで呼びかける。
「柵から離れなさい。落ち着いてください。」
しかし、住民は止まらない。誰かが火炎瓶を投げ込む。住民の興奮は高まる。柵が住民によって大きく揺れる。
セレーネから見ているブルーノが言う。
「こんな連中を守るのか。」「今回はそう言う指示です。」
クルトが答えるが顔はこわばっている。
第2方面軍の拠点の状況はテレビで生中継されている。ケヴィンはアレクシスに言う。
「俺たちは何もできないのか。」「俺たちの役割は説得だ。」
「もうメレンチー司令官を更迭しないと収まらないぞ。」「そうだな。」
ケヴィンはこぶしを握り締める。
アウレールとクリスタはコックピットの中で待機している。クリスタがアウレールに言う。
「今日は拠点に近づく前に落とさないといけないからコックピットを狙うのよ。」「分かっているよ。」
アウレールはガントが出てこないことを願っている。