第81話 香港の火種
カイとロアは、ラングドックの改装の後、5両の装甲車の改造に取り掛かる。彼らは装甲車にもステルススクリーンと防御スクリーンを装備させる。
ロアは独り言を言う。
「こーのまーまでは、代わり映えしーませんねー」「師匠、ビームバルカン砲はどうですか。」
「あーれはおーおきすぎーます。」「小さくすればどうですか。」
「さーえてまーすね。いーいですね。」「早速始めましょう。」
彼らは装甲車に搭載するビームバルカン砲の作成に取り掛かる。
パイロットたちの魔力コントロールの訓練は少しずつ進んでいる。最近、リリアーヌがライフルに魔力を乗せられるようになる。
アウレールとクリスタは15歳となり学校の最年長になる。
ハンティング・ウルブズへの入団希望者は多く、タウンズビル以外からの都市からも来るようになっている。
採用試験は、ブルーノとクルトは忙しいため、コンラートとヨハンが試験管をしている。
3か月後、装甲車の改造が終わり、新たなハンティング・ウルブズの体制が整う。
香港では軍と住民の関係が険悪になってきている。香港軍のメレンチー・マスロフ司令官は軍備増強のため住民から徴税を始めたのである。
当然、軍本部からは徴税を中止するように指示が来ているが、メレンチー司令官は指示を無視している。
現状、各都市の軍が力を持っており、軍本部は強硬な態度に出られないのである。
フィクサーでは、ナンバー8ケヴィン・クラッセンに状況を調査するように指示が出る。ケヴィンは、香港に調査員を送り込む。
レーガは自分たちの勢力下の都市で問題が起こり議論する。
「あのメレンチーは全くこちらの意見を聞き入れなくて困っている。」「住民の運動は問題ですな。」
「コントロールできませんからな。」「これで住民に軍がつぶされでもしたら、隣接の都市に飛び火しかねん。」
「メレンチーを何とか更迭してもらえませんかな。」「フィクサーは動いているようですが、我々も動きますか。」
「我々が住民を敵に回すのはまずい。」「万一に備えて傭兵団に動いてもらうのはどうでしょう。」
「まだにらみ合いの状態です。」「では、いざと言う時、ハンティング・ウルブズに動いてもらいましょう。」
「トニー殿、またハンティング・ウルブズを使うのですか。」「彼らならば住民に被害を出さないように戦ってくれるでしょう。」
「確かにそうですな。」「あとの話は、ことが動いた時にしましょう。」
トニーは香港の動乱にハンティング・ウルブズを参加させようとする。
コリンナには香港で軍と住民の争いが起きた時、ハンティング・ウルブズを使って事態を収束させるように指示が来る。