第80話 魔力コントロール訓練
ブリュノが合流してからカイとロアは忙しそうに働いている。彼らはまずクリスに手を加える。クリスは起動すると真紅の機体になる。そして登場するパイロットに合わせてシンクロ率のリミッターを調整する。
魔力の高いパイロットならばシンクロ率を上げたほうが動きが良くなり、性能も発揮できる。本来ライフルも魔力を上乗せすることで威力を大きくすることが出来る。
しかし、それには自分の魔力をコントロールできなくてはならない。パイロットの中で魔力コントロールの訓練をしているのは、アウレール、クリスタとリリアーヌの3人だけである。
カイとロアは次に空中戦闘艦ラングドックを改装して、ステルススクリーンと防御スクリーンを装備させる予定である。
ラングドックのグレーの船体はセレーネと同じく真紅の船体に塗り替えられる。
アウレール、クリスタとリリアーヌは毎朝、魔力コントロールの訓練をしている。
リリアーヌはアウレールから借りた魔剣セーデルを使いこなせるようになってきている。そこへ突然ロアが現れる。
アウレールがロアに言う。
「ロア博士、忙しいのではありませんか。」「君がーどのてーど魔力をつかえーるか確かーめに来ました。」
リリアーヌが驚いて言う。
「この変態どこから来たの。」「しーつれいでーすね。天才とよーびなさい。」
「確かに紙一重だけど。」「ロア博士はすごいのよ。」
「もーっと褒めなさーい。」
この後、ロアはアウレールとクリスタの魔力操作を見て、ライフルに魔力を乗せて撃ってみるように助言する。
ワルカとクリスは、セレーネで、タウンズビルの外に模擬戦を行いに行く。アウレールはワルカのスクリーンにも模擬戦モードと表示され、武器類のランプが赤から青に変わっていることを確認する。
ワルカの模擬戦の相手は、エリク、ルイーズ、リリアーヌ、オーバンの4人のクリスである。場所は岩の転がるがれ場である。アウレールは斜面の下から、4機のクリスに迫る。
クリスは岩を盾にしてライフルで撃つ。しかし、ワルカの動きが早く、狙いが定まらない。オーバンのクリスが岩から離れてライフルを撃つ。
アウレールはその隙を逃さず、ライフルでクリスを撃つ。判定は大破である。エリクはルイーズとリリアーヌに左右に分かれて挟み込むように指示する。
そして、エリクは正面からワルカに挑む。エリクは岩から離れるとビームバルカン砲を掃射する。ワルカは左にかわすと滑るように大きな岩を回り込む。
この岩はルイーズが隠れてている岩である。エリクがルイーズに注意する。
「そちらへ行った。後ろを取られるぞ。」「えっ、いつも間に。」
その直後、ルイーズはライフルの直撃を受ける。リリアーヌが岩から離れて、岩の間を地面すれすれに飛ぶ。この時ワルカはエリクのクリスをライフルで仕留める。
そのワルカの後ろをリリアーヌがとる。彼女はライフルで狙うが、アウレールは後ろに目があるように避けて、横に飛びリリアーヌのクリスをライフルでとらえる。
「もう少しだったのに。」「君の動きはバレバレだよ。」
彼女のつぶやきにアウレールが答える。
次にクリスタがレオンとデニスと模擬戦を始める。こちらもクリスタがレオンとデニスを圧倒する。
模擬戦闘訓練が終わるとアウレールとクリスタは、エリクにライフルの試射の許可を求める。エリクは2人に聞く。
「ライフルと撃ってどうするんだ。」「試したいことがあるんです。」
「時間があるからいいだろ。」「ありがとうございます。」
アウレールは、まず普通にライフルを岩に向かって撃つ。岩の半分くらいが溶けて崩れる。彼は、次にライフルに魔力を乗せて岩を撃つ。
ライフルの威力は大きくなり岩を蒸発させ、周囲に大穴を開ける。みんなライフルの威力に驚く。エリクがアウレールに聞く。
「一体何をやったんだ。」「ライフルに魔力を乗せたんです。」
「魔力?」「ワルカやクリスは魔術式を使って操縦の補助をしています。パイロットは魔力を持っていないと操縦できません。」
「と言うと私にもできるのか。」「魔力コントロールの訓練をすればできるようになります。」
次にクリスタがライフルに魔力を乗せて岩を撃つ。やはりライフルの威力は大きくなり、岩を蒸発させる。
翌朝から魔力コントロール訓練は、パイロットが全員参加する。