第42話 第1方面軍と野盗
当日、ハンティング・ウルブズの装甲車は早朝から配置に着き、ステルススクリーンを展開して道路を監視する。昼近くになり、第1方面軍、第3方面軍、第4方面軍の装甲車が基地に向けて道路を通過していく。
しかし、各方面軍とも定められた3両以内の装甲車である。まだ会談まで2時間くらいある。それから1時間後、ハンティング・ウルブズの装甲車は、機銃を搭載したハーフトラック3両を発見する。
トラックは基地から離れたところに停車して様子をうかがっているようだ。さらに30分後、ウオーカーが2台加わる。
ウオーカーはガントと同じくシャドウズで主に使われていた兵器でパワードスーツに近く機動力があるので脅威である。
クルトは、ハーフトラックとウオーカー、乗員の服装を見て言う。
「こいつらは、野盗ですね。」「どうして野盗が出張るんだ。」
「おそらく、どこかの方面軍と通じているのでしょう。」「何かあれば、基地を襲うと言う所か。」
会談はうまくいき、アルミンは徴税の廃止に賛同を得る。第2方面軍の管轄は軍備が揃うまで第3、第4方面軍でカバーすることになる。
彼らはささやかな会食の後、帰って行く。するとハーフトラックとウオーカーもその場から去り始める。ハンティング・ウルブズの装甲車はステルススクリーンを展開したまま追跡を始める。
彼らは第1方面軍の管轄地の手前で停止する。すると第1方面軍の装甲車が来て、司令官と思われる男が装甲車から降りる。ハーフトラックからも男が降りてくる。
ハーフトラックの男は言う。
「徴税を無くして、俺たちの取り分はどうなるんだ。」「知るか。野盗のお前たちを見逃しているんだ。十分だろ。」
「そういや第2方面軍がいないんだな。」「襲うつもりか。」
「俺たちも食えないと困るんでね。」「ジャックラビットも地に落ちたな。」
「俺たちをやれると思っているんじゃないだろうな。」「敵を作るかは、お前たち次第だ。」
「分かっているって、第1方面軍には手を出さないよ。」
ジャックラビットたちは去って行く。ハンティング・ウルブズの装甲車は彼らの会話を録音して、ジャックラビットの根城に気づかれないようについて行く。
彼らはタウンズビルのエリアから離れていく、都市を離れれば草木の育たない荒野である。2時間ほど走ると見晴らしのいい丘の上に出る。
そこには、テントや給水塔があり、戦車3両と自走砲5両が止めてあり、ガントが1機置いてある。
ハンティング・ウルブズの装甲車は、ここをジャックラビットの根城と確認すると気づかれないようにタウンズビル軍基地へ戻って行く。