第4話 口火
29エリアは東側から北にかけて丘になっており、西側から南側にかけて車が通れないガレ場になっている。そのため29エリアに入るには南側の整備された道が1本あるだけである。
ブルーノは、エリアの入り口に塹壕を掘り、土嚢を積み上げる。彼は入り口で食い止めるつもりでいる。
次に彼はヨハンから連絡のあった砲撃跡に埋まっている物体について調べに行く。
「アウレールが見つけたのか。」「穴が小さいから広げる必要がありますね。」
彼らは穴を掘り広げていく。そして、埋まっている物がロボットで地上に出ているのはコックピット部分だとわかる。ブルーノがヨハンに言う。
「ガントではないな、マグニと言うやつか。」「どちらも違います。これはフレイムランドのロボットですよ。」
「それはすごいな。軍を圧倒できるぞ。」「フレイムランドの者は魔力を使います。適性のある者がいればいいのですが。」
「早速試そう。」
ブルーノはコックピットに乗り込み、スイッチを押すが何も反応はない。自警団員を集め試すが動かせる者はいなかった。ヨハンが言う。
「これは適正者がいないか壊れているかですね。」「ガントでも埋まっていた方が良かったな。」
ブルーノは残念がる。授業を終えたアウレールとクリスタが事務所に顔を出す。ブルーノが2人に言う。
「これから物騒になるからまっすぐ家に帰るんだ。事務所に来るんじゃないぞ。」「兄貴、埋まっていた物は何だったの。」
「フレイムランドのロボットだった。」「じゃあ、役に立つね。」
「それが、誰にも動かせなかったよ。」「そうなんだ。残念だな。」
「ほら、帰った。帰った。」
アウレールとクリスタは事務所から追い出される。
それから2週間後、軍が再びやってくる。今回は装甲車2台に自走砲1台である。
ユリウスがエリアの入り口で待ち受ける。軍の車両は手前で止まり、装甲車からこの前の軍人が降りてくる。
「エリア長、考えはまとまりましたか。」「私たちの考えは変わらない。」
「頭が固いようだ。ほぐして差し上げましょう。」
軍事は右手を上げる。すると自走砲が砲撃をする。砲弾は丘に当たる。
「どうですか、もう一度、返事を聞きましょう。」「考えは変わらないぞ。」
「そうですか仕方ありません。」
軍人は装甲車に戻りながら大声で言う。
「このエリアには野盗がいるぞ!今からあぶり出しを行う。」
ユリウスは急いで自警団の装甲車に乗り込む。
装甲車が入り口を突破する。すると爆発が起こり装甲車が燃え上がる。
入り口を入った所に対戦車地雷が仕掛けられていた。
塹壕から自警団員が顔を出し装甲車を銃撃する。もう1台の装甲車が壊れた装甲車を押しのけ、エリア内に入る。自警団の装甲車が追いながら攻撃する。
自走砲は威嚇するように丘に向かって砲撃を続ける。軍の装甲車は家々に向かって機銃を掃射する。