第36話 初仕事の終わり
アウレールは丘まで行くと座り込む。クリスタが横に座る。
「アウレール、傭兵団辞めちゃうの。」「やめられるわけないだろ。」
「ワルカには私が乗るから大丈夫よ。」「なんでそうなるんだ。」
「だって人を殺すのが嫌なんでしょ。」「そりゃ、嫌だよ。」
「誰も好きでやっていないわよ。」「クリスタはどうなんだ。」
「私も嫌だけど、やらないと仲間が死ぬわ。」「そうだよな。」
アウレールは横になって目をつむる。クリスタは夜空を見上げる。
しばらくして彼女が彼を見ると彼は眠りに落ちている。彼女は幼馴染の寝顔をいとおし気に見る。
タウンズビル軍基地にハンティング・ウルブズの装甲車が到着する。アルミン司令官は第2方面軍の討伐に成功したと聞くと本隊の装甲車でハンティング・ウルブズの装甲車と共に拠点へ向かう。
明け方、アルミン司令官は、第2方面軍の拠点に着く。彼はブルーノを見ると駆け寄って言う。
「よく短期間で成し遂げてくれた。住民への被害はどのくらいだ。」「被害はありませんよ。」
「そうか、素晴らしい。君たちに依頼してよかったよ。」
次にアルミン司令官はアロイス大尉を見て言う。
「なぜ、指示に従わなかった。」「こちらには俺たちのやり方があるんだ。本部から来たあんたに分かるものか。」
「私は徴税を止めるように指示しただけだぞ。」「住民には煙たい目で見られているんだ。そのくらいいいだろ。」
アルミンは軍と住民の関係が険悪なものであると知る。彼はブルーノに言う。
「仕事の代金ははずませていただく、代わりに残った装甲車と自走砲は本隊へ引き上げる。」「分かりました。期待してますよ。」
ブルーノも軍用車が欲しかったが、本隊の事情を知っているので譲ることにする。
第2方面軍の壊滅は、第1方面軍、第3方面軍の知るとこととなる。
アルミン司令官はアロイス大尉を反逆罪で処刑して、部下たちは帰順を示した者は本隊に組み入れ、それ以外は追放した。
中立を保っていた第4方面軍はアルミン指令官の指示に従うことを約束する。