第26話 第2方面軍の検問
クルトは、装甲車を全て軍の物を使い自警団の物はおいてゆく。ブルーノはクルトに聞く。
「どうして自警団の装甲車を使わないんだ。」「タウンズビル軍基地に行くには、他の方面軍の管轄を通らなばなりません。なるべくトラブルを避けたいのです。」
「本隊が負けたことは知れているかな。」「詳細は分からないでしょうが、おそらく知れているでしょう。」
ブルーノたちは、タウンズビル軍の援軍に遭遇することもなく、順調に進んで行く。クルトが担当していた第4方面軍の管轄から第2方面軍の管轄に入る。
エリア8の近くを通過した時、アウレールは、ワルカのセンサーでブルーノたちを見張る装甲車らしきものを見つける。
「見張られているようですよ。」「アウレールは攻撃に備えてくれ、こちらからは手を出すなよ。」「分かりました。」
ブルーノたちは用心しながら進む。ブルーノがクルトに言う。
「これは待ち構えているな。」「私たちは連絡を入れずに入って来たのですから当然ですね。」
「クルト大尉の名前で何とかならなかったのか。」「第2方面軍は私が軍用ヘリを使ったことも、本隊が自警団と戦ったことも知っていますよ。」
ワルカが前方1キロで装甲車が道を塞いでいるのを確認する。
「装甲車が道を塞いでいるよ。」「どのくらいいる。」「装甲車が8両に自走砲が5両だよ。」
クルト大尉が言う。
「相手は戦う気ですね。」「どうするんだ。」
「とりあえず、私が無線で呼びかけます。」「通してくれるかな。」
「難しいでしょう。」
クルトは肩をすくめて無線機を手に取る。
「こちら、第4方面軍クルト大尉だ。応答願う。」「こちら第2方面軍、我が管轄に侵入した理由を願う。」
「自警団のロボットを鹵獲した。エゴン少佐も一緒である。ただいま隠密にタウンズビル軍基地に向かう所だ。」「確認する。我らの手前で停止しろ。従わないと攻撃する。」
「了解した。」
ブルーノたちは、第2方面軍の指示に従い道を塞いだ装甲車の手前20メートルに止まる。ブルーノたちは兵に囲まれる。
クルトが装甲車から降りる。クルトはまだ軍の制服を着ているので兵たちは敬礼する。クルトに兵の1人が言う。
「エゴン少佐に会わせててください。」「少佐は重傷だ。」
「お顔だけでもお願いします。」「分かりました。」
クルトはその兵を2両目の装甲車へ連れていく。兵はエゴン少佐の状態を見て言う。
「軍の本隊はどうしたんです。」「残ったのは我々だけです。至急、タウンズビル軍基地に行かなくてはなりません。」
「分かりました。」
この時、エゴン少佐が苦しみながら大声を出す。
「騙されるな。クルトは裏切り者だー」
兵の顔色が変わる。クルトは拳銃を抜き兵を撃ち殺す。クルトは茫然としている兵たちを押しのけ、装甲車に戻る。
ブルーノがアウレールに言う。
「道を塞いでいる装甲車をどかせ。」「分かりました。」
ワルカは装甲車を両手で掴むと持ち上げる。ブルーノたちは急発進して、その場から逃げ出す。ワルカは再び装甲車で道を塞ぐ。
第2方面軍の兵たちはロケット砲を撃つがワルカの防御スクリーンに阻まれる。ブルーノがクルトに言う。
「逃げられるのか。」「大丈夫、こちらにはワルカがいます。」
ブルーノたちは速度を上げてタウンズビル軍基地へ向かう。