第23話 ワルカ対ガント
アウレールは、ライフルでガントを狙うが、撃つ時は防御スクリーンを解除しなければならない。トール1とトール2はそこを狙う。
すでにワルカのライフルを持つ右腕のひじにダメージが蓄積してきている。アウレールは、ライフルが避けられるならばとガントを狙うふりをして戦車を狙う。
戦車は一撃で車体の半分を蒸発する。
「小僧、やったなー」
トール2が吠える。トール1が言う。
「トール2落ち着け、今は連携に集中しろ。」「分かってますよ。」
トール2は機銃を自警団がいる辺りに撃ち込む。アウレールは、自分が負ければ自警団が蹂躙されると考える。
「させるか、させないぞー」
彼はコックピットの中で叫ぶ。ライフルを撃つとトール2のガントの盾に当たる。盾は穴が開く。
「当ててきやがった。」「腕を上げてきている。早めに始末するぞ。」「了解。」
2機のガントは機銃を撃つがワルカはぎりぎりでかわす。ワルカが急にアウレールに同調するように動き始める。
ワルカの脳波コントロールが働き始めたのだ。ライフルを撃つとトール2の右肩に当たる。ガントの右肩が蒸発して右腕がちぎれる。
「トール2、引け。」「まだやれます。」
トール2は盾を構え、ワルカに突進する。ワルカは左手の盾を水平に構え、突進してくるガントを突き飛ばす。ガントは盾が2つに折れ、胸部が大きくへこみ背中から倒れ込む。
「トール2、大丈夫か、応答しろ。」
トール2からの応答はない。トール1は機銃を捨て、盾に装備している剣に持ちかえる。アウレールがライフルを撃つが、ぎりぎりでかわしてワルカに迫り、上段から切りつけようとする。
アウレールは盾で突き上げガントの頭を跳ね飛ばす。頭を失ったガントは勢いのまま前のめりに倒れる。
「化け物め。」
トール1の怨嗟の声が無線で聞こえてくる。トール1のパイロットが這い出して来る。パイロットは拳銃を抜くとワルカに向かって発砲する。
1発、2発、3発・・・4発目はない、パイロットは糸が切れたように倒れる。自警団に撃たれたのだ。
アウレールにクルトから無線で指示が来る。
「戦車を排除したら岩山の向こうの本隊を攻撃してください。」「分かりました。」
アウレールは、ライフルで戦車と装甲車を狙撃する。すると、自警団は盛り返して軍の兵を岩山の道へ押し返す。
彼はワルカを飛ばして岩山を超えるとエゴン少佐のいる本隊を上空からビームバルカン砲で攻撃する。ビームバルカン砲は、車両も人も関係なく穴だらけにしていく。
エゴン少佐は、ワルカの姿を見た時、自分の運命を悟る。
アウレールはビームバルカン砲の攻撃の後の惨状を見る。車両は高熱の雨が降ったように穴だらけになり、焼けただれた人が這い出してきている。
ビームの直撃を受けたのか焦げた手足が転がっている。もう銃を手にしょうとする者はいない。
彼はこれは人間の死に方ではないと思う。しかし、撃たなければ仲間が犠牲になったのだ。「間違ってはいない」今はそう思いたい。