第192話 必要な犠牲
ハンティング・ウルブズが東京軍の第2拠点に到着すると軍は姿を消していた。ブルーノが、クルトとブリュノに言う。
「仕方ないから第1拠点へ向かうか。」「いえ、おそらく第1拠点もここと同じような状況でしょう。」
「どこかで合流しているのか。」「はい、合流地点に一般人がいなければ良いのですが。」
「心配は後だ。軍の合流地点を探すぞ。」「了解。」
セレーネとラングドック、セレーネ2は別々に移動した軍を探す。そして、ラングドッグが東京の都市に近いエリア8に陣取る軍を発見する。
セレーネとセレーネ2はすぐに合流する。軍はエリア8の集落を囲い込む形で陣を敷いている。エリア8の住民は人質と言うわけだ。クルトは予定通り作戦の決行をブルーノに進言する。
「ブルーノ、犠牲を最小限にするためにも予定通り作戦を実行すべきです。」「エリア8の住民を見捨てるのか。」
「必要な犠牲です。」「ブルーノ、一旦目標を変えるべきだ。住民を犠牲にするのはまずい。」
ブリュノが進言する。クルトがブリュノに言う。
「目標を軍の基地に変えるつもりか。」「そうだ。危険だがやるしかない。」
「第1、第2拠点の軍が来て挟撃されるぞ、彼らはそのつもりで軍の基地に近いエリア8を占拠しているんだ。」「分かっている。住民の犠牲を出さないためには軍の基地を攻撃すべきだ。」
「クルト、ブリュノ、ハンティング・ウルブズは住民の味方だ。住民を犠牲にすることはできない。」「ブルーノ、味方の犠牲が少ない方を選ぶべきだ。すでにエリア8の状況は全周波数で発信している。誰もハンティング・ウルブズを責めたりしないよ。」
「人々の評価ではないだろ。自分で納得できなければだめなんだ。」「ああ、俺も心の中では納得していないよ。」
クルトが折れて、3人で軍の基地を襲撃する計画を立てる。エリア8の周囲には人々が集まり始めている。軍がエリア8の集落を取り囲んでいる状況の映像を見て、人々が動き出し始めていた。