第19話 防衛戦の計画
広場での話し合いが終わって、クルト大尉以下47名の隊員は自警団に入ることになる。クルト大尉は自警団の副隊長になる。
ブルーノとクルトは軍との防衛戦に備えて話し合う。クルトはブルーノに言う。
「次は軍の本隊が来るでしょう。」「どのくらいの規模になります。」
「兵が200人位で装甲車が10両、戦車10両、自走砲5両、軍用ヘリ2機です。」「ヘリの数が少ないですね。」
「この前の戦闘で8機墜落していますので残り2機です。」「ワルカで防ぐことが出来ますかね。」
「他にガントが2機出ていますので、ワルカはガントとの戦いになると思います。」「これはエリアに被害が出ますね。住民の避難を考えないと・・・」
「エリアの入り口で守ることはありません。」「と言うと、こちらも攻撃に出るのですか。」
「エリアに来るには道が1本しかありません。1キロほど行ったところの道は岩山の間の道を通るようになっており、両側が崖です。」「あそこは車両1台づつしか通れません。」
「崖に爆薬を仕掛けて、進軍中の敵を生き埋めにします。」「道を埋めるのですか。」
「そうです。これならこちらに被害が出ません。」「それはダメです。エリアの生命線が断たれてしまいます。」
「仕方ありません。岩山の間の道を出てきたところを狙いましょう。」「先制攻撃するのですか。」
「そうなりますが、この方法なら戦いになります。」「分かりました。合わせて住民を避難させましょう。」
ブルーノは、防衛の方針が決まるとエリア長のユリウスに伝える。ユリウスは、住民の被害を少なくできる方法だと了承する。。
翌日、アウレールは、学校に魔剣セーデルを持っていく。彼は休み時間、セーデルに魔力を乗せる練習をする。クリスタが彼に聞く。
「アウレール、それは何。」「魔剣セーデルだよ。」
「何をしているの。」「魔力のコントロールの練習をしているんだよ。」
「魔力?」「ワルカに乗るために必要らしいよ。」
「アウレール、よくわからないんでしょう。」「まぁ、ねえ。見ててよ。」
彼はセーデルの刀身に魔力を乗せる。そして、魔力の刀身を伸ばす。クリスタが言う。
「剣の周りに何かあって、伸びたよ。」「クリスタ見えるの。」
「見えるよ。」「カイには見えなかったんだ。」
「それって、私に魔力が見えるということ。」「そうなるよ。」
「私にもワルカを動かせるかな。」「ワルカは僕のものだよ。」
「試してもいいでしょ。」「構わないけど、パイロットは俺だから。」
「分かっているわよ。」
2人は授業が終わるとワルカが置いてあるカイの工場へ行く。工場に着くとアウレールはロアの姿が無いのに気づく。
「カイ、ロア博士はいないの。」「朝から姿が無いよ。」
「どこかに家でもあるのかな。」「分からないな、師匠は突然現れたからな。」
「クリスタがワルカを動かせるか試すよ。」「お前にしか動かせないのじゃないのか。」
「クリスタは魔力を見ることが出来たんだ。」「そうか、でもクラウスには内緒だぞ。」
「私のお父さん、私が自警団に行くの嫌がっているものね。」
クリスタは父親のクラウスが自警団に近づくことを嫌っていることを承知で、自警団の事務所に顔を出していた。
彼女はワルカに乗り込み起動スイッチを押す。
フィ、フィ、フィ、フィーン、フィーン、フィーーン、フィーーーン
とワルカは鼓動を始める。ハッチが閉じ、スクリーンに外の映像を映し出す。そして、「ワルカ・オールセット」と表示される。クリスタは喜んで言う。
「私にも動かせたわよ。」「動いている。」
アウレールは驚いて言う。カイは2人にこのことは誰にも言わないように口止めする。