第182話 ブレーカーズの立ち上げ
タウンズビルの夜の街中、トニーは酒場に入って行く。彼はカウンターで1人で酒を飲んでいる男の横に座る。
「私はトニー・カッターと言います。バルトロメウス・ランケさん探しましたよ。」「誰のことだ。ここにいるのはただの酔っ払いだ。」
「あなたはフィクサーとハンティング・ウルブズの戦いで指揮権を受け継ぎながら途中で逃げましたね。」「化け物相手だ。あんたに何が判る。」
「私は責めているわけではありません。再興のチャンスを届けに来ました。」「再興?今さら何を言っている。」
「傭兵団の団長の席が空いています。もう一度、立ち上がりませんか。」「レーガのおもちゃになれと言うのか。」
「いいえ、浮島です。宇宙戦闘艦にクリスの後継機のエレクがあります。」「クリスの後継機か。面白い。ハンティング・ウルブズを倒してやる。」
「それはできません。同じ側にいるのですから功績を上げて鼻を明かすのです。」「まあいいだろう。団員はどうするんだ。」
「この街には傭兵志望者が集まっています。しかし、ハンティング・ウルブズは団員の募集はしていません。」「人材が集まっているのか。」
「そうです。すでに適性のあるものをエリア12に集めています。」「団の名前は決まっているのか。」
「まだです。」「なら、ブレーカーズだ。こんな世界、壊してやる。」
「バルトロメウス団長、それではエリア12に向かいましょう。」「分かった。やってやるぞ。」
バルトロメウスは酒に酔っていることもあって、トニーに乗せられて傭兵団の団長に担ぎ出される。
バルトロメウスがエリア12に到着すると、すでに事務所や修理工場が立てられている。住民も協力的である。彼らはトニーに恩があるので逆らうことはない。
翌朝、バルトロメウスは団員を集めて演説をする。
「私はハンティング・ウルブズに負けて辛酸をなめさせられたが、ここから、やり直す。我々ブレーカーズは十分な装備が揃っている。あとはやるだけだ。勝つのは誰だ。」
団員たちはざわつく。
「分からないのか。勝つのは我々だ。君たちを選ばなかったハンティング・ウルブズに吠え面をかかせてやるのだ。」「そうだ。やるぞー」
「もう一度聞く。勝つのは誰だ。」「俺たちだー」「我々だー」
「私が君たちを勝たせてやる。やるぞー」「おうー」
こうしてバルトロメウスの傭兵団ブレーカーズが動き出す。トニーは道化が踊る様を眺めている。