第180話 トニーの来訪
ドニィーシャが来た翌日、トニーが宇宙輸送船でエリア29にやって来る。ブルーノたちハンティング・ウルブズは警戒する。そして、トニーがドニィーシャと会うことが無くて幸いだと思う。
トニーは船を降りると護衛もつけずに事務所まで歩いて来る。ブルーノがトニーに言う。
「もう会うことはないと思っていました。」「そうですね。アウレール君とクリスタちゃんにはやられてしまいました。」
「今日はその抗議に来たのですか。」「あの件で我々は窮地に陥っていますが、ハンティング・ウルブズが優秀なことを証明しました。」
「どういうことですか。」「我々と手を組んでください。」
「断ったらどうなりますか。」「数十機のエレクに囲まれることになります。」
「そうですか。」
ブルーノは冷や汗をかく。トニーを囲む団員は緊張する。
「どうですか。我々と未来へ進みましょう。」
ブルーノに選択肢は残されていない。アウレールとクリスタの帰る場所をつぶす訳にはいかない。
「手を組みましょう。」「良い返事です。私はうれしい。早速、エレクを3機引き渡します。」
「随分早いですね。」「ええ、待ち望んでいましたから、明日、宇宙戦闘艦を引き渡します。」
トニーは急いで武装させているように感じる。トニーは確かに急いでいる。フレイムランドと戦闘が始まる前に出来るだけ戦力を増やしたいのだ。
翌日、ベネディット級の宇宙戦闘艦が引き渡される。ブルーノはこれまでの旗艦にならってセレーネⅡと名付ける。
こうしてハンティング・ウルブズは、浮島に取り込まれる。