第178話 ドニィーシャの訓練
アウレールたちは、ほむらにデニス司令官の計画のことを話す。ほむらはデニスに感心したように言う。
「デニスはアースランドのことをよく考えているようだ。」「ほむら様、これは反逆ですよ。」
スクルドがほむらの言葉をたしなめるように言う。
「そうだが、彼はアースランドの民が豊かになるように考えているよ。」「フレイムランドの富を奪うことですよ。」
「もちろん、それはさせないよ。」「では、デニス司令官を討伐しますか。」
「いや、放置する。」「どうしてですか。」
「彼は、不要な軍をつぶして生活を豊かにしようとしている。」「そうですが・・・」
「フレイムランドとの戦闘も宇宙空間でするつもりのようだ。」「私たちに犠牲が出ます。」
「軍に所属していれば仕方のないことだよ。それにフレイムランドが負けるとでも思うかな。」「それはないと思います。」
「スクルド、君にはアウレールとクリスタの世話を命じる。」「はい、御心のままに」
ほむらとの謁見が終わってアウレールたちは部屋に戻る。スクルドがアウレールとクリスタに聞く。
「お二人は、同じ部屋で構いませんね?」「俺は構わないけど。」「私は嫌よ。恥ずかしいわ。」
「クリスタ、何が恥ずかしいの?」「あんた、私の着替えを見るつもり。」
「えっ、あっ、別の部屋にしてください。」
アウレールは赤くなり慌ててスクルドに言う。
翌日の朝、朝食後、赤毛の美女がアウレールとクリスタを呼びに来る。彼女は広い部屋へ2人を連れて行く。
「私はドニィーシャ・メルルです。騎士をしていますから、あなたたちに剣技を教えます。」「あなたに強さを感じないのだけれども大丈夫。」
「私はフレイムランドの最強の騎士の1人ですよ。私は気配を殺していますからわからないのですね。」「失礼なことを言いました。」
「あなたはほむら王を見てどう思いましたか。」「ただのおじさんです。」
「彼はフレイムランドで最強ですよ。」「王様も気配を殺しているのですね。」
「ええ、本当に強いものは外に出しませんから気を付けてください。」「分かりました。」
ドニィーシャは、木刀で訓練を開始する。
「アウレールとクリスタ、私に反撃出来たら合格にします。」「はい。」
アウレールたちは訓練が始まるとドニィーシャの強さを思い知る。彼女の動きが目で追うことさえできないのだ。
2人は15分程で医療ポッドに入ることになる。