第176話 デニス司令官の焦り
ほむらは、ドニィーシャとアピルを従えて自室に戻る。
浮島ではオペレーターがデニス司令官に報告する。
「門の爆破に成功しました。」「鮮血のワルカはどうなりましたか。」
「調査中です。」「いないのですね。」
「はい、爆発に巻き込まれて破壊されたのか、異世界に渡ったのか調査中です。」「分かりました。警戒を解除します。被害報告をお願いします。」
デニス司令官は、部屋に戻って考える。スクルドがほむら王の所に行ったと見て間違いないだろう。アウレールには自分の計画を話している。
ほむら王が、すぐに自分が叛意をもって行動していることを知るだろう。すぐにでもフレイムランドの討伐軍に対抗できる軍が必要である。
ハンティング・ウルブズはどうしても手に入れたいところである。そこへトニーがやって来る。
「デニス司令、ハンティング・ウルブズはどのようにしますか。」「どのような手を使ってもいい。仲間に引き入れろ。」
「彼らは、我々に背いたのですよ。」「構わない。不問にする。」
「フィクサーの残党が傭兵団を立ち上げたようです。」「使えるなら引き入れろ。」
「他の候補の傭兵団はどうしますか。」「可能な限り引き入れてくれ。」
「大きく動くとレーガに気取られます。」「構わない。時間がないのだ。」
トニーはデニス司令官が焦っているところを初めて見る。彼は乗り込む船を間違えたのではないかと考える。
しかし、今更乗り換える船はないのだ。デニス司令官次第でトニーの運命は決まるのである。