第159話 浮島
トニーが部屋に入って来る。
「宇宙輸送艦の旅はどうですか。」「スイーツがおいしくて最高よ。」
「それは良かったです。もう少しで到着しますが見せたものがありますので艦橋までお願いします。」「分かりました。」
ブルーノたちはトニーに艦橋に案内される。宇宙輸送艦は東京湾の上空を飛んでいる。トニーが説明する。
「間もなく、浮島の位相空間に入ります。景色が変わって見えますよ。」
「位相面接触まで10秒。」「5秒前からカウントダウン開始。」「了解。」
「カウント暖運入ります。5,4,3,2,1、位相面に接触。」「ステルススクリーン解除。」「解除しました。」
宇宙輸送艦の前に巨大な岩の塊が浮いている。そして周囲には戦闘艦らしき船が浮いている。宇宙輸送艦は岩の塊に近づいていく。トニーが説明する。
「岩の塊に見えるのが浮島です。全長は10キロあるんですよ。」「周りに浮いているのは戦闘艦ですか。」
「宇宙戦闘艦です。大きい方がベネディット級、小さい方がスクルド級です。」「こんなにたくさんあるのか。」
「ムーラーと戦った遺産です。」「でもすぐに使えそうですね。」
「はい、手入れされていますから。」「何に使うのですか。」
「それは言えません。」
宇宙輸送艦は浮島のドックに入って行く。
「皆さん、到着しました。私について来てください。」
トニーは船を降りるとエレベーターの前に立つ。エレベータは高さが20メートル位あり、幅も10メートルはある。クルトがトニーに聞く。
「ずいぶん大きなエレベーターですね。フレームシリーズでも運ぶのですか。」「その通りです。浮島の中はフレームシリーズが通れるように設計されています。」
トニーに続いてブルーノたちが巨大なエレベーターに乗り込む。エレベーターは最上階まで行って止まる。降りるとそこは豪勢な造りの建物の中のような感じである。
トニーが説明する。
「ここは王宮だった場所です。」「ここに司令官はいるのですか。」
「今、ここは使われていません。浮島で人が暮らしているのは居住型宇宙船ユグドラシルの中です。」「宇宙船の中で暮らしているのですか。」
「ユグドラシルは全長3000メートルの巨大な船です。中に街があるのですよ。」「今からそこへ行くのですか。」
「そうです。そこに浮島の司令部もあります。」
王宮を出ると町がある。道路は広く整備されている。しかし、人はいない。ブルーノたちはトニーについて歩いて行く。