第148話 オーラフ艦長の決断
ユニオンのオーラフ艦長は、射程外からのライフルのエネルギー弾に このままでは敵機の標的になるだけだと判断する。
「ユニオンを着陸させる。」「艦長、どうするつもりですか。」
「このままではただの的だ。着陸させて砲台として使う。」「はっ。」
「全砲台展開、目標、ハンティング・ウルブズ拠点。」「了解。」
「乗員は白兵戦用意。全装甲車を発進させる。」「了解。」
ユニオンが着陸するとロケット砲が撃ち込まれる。レーダーには映らず、見えないが、ハンティング・ウルブズが待ち構えていることは間違いない。
格納庫のハッチを開くと装甲車が走り出していく。ユニオンの周りで銃撃戦が始まる。しかし、ユニオンの兵たちは、ハンティング・ウルブズの兵に先手を取られて苦戦する。
副官がオーラフ艦長に報告する。
「我が兵は先手を取られて防戦一方です。」「これは、ユニオンに侵入されるな。」
「おそらく、時間の問題だと思われます。」「ならば、できるだけ敵を惹きつけよう。」
「退艦命令を出しますか。」「君たちは船から降りたまえ。」
「艦長はどうされるのですか。」「ここで敵を待つよ。命令だ。すぐ実行しなさい。」
副官は船に残った兵員を伴ってユニオンから脱出する。彼らは500メートルほど走ると突然声をかけられる。
「そこで止まって武器を捨てろ!」
彼らは周囲を探すが声の主は見つからない。
「もう一度言う。武器を捨てろ。」
副官は武器を捨てるように指示する。すると目の前に装甲車が3両止まっており、兵たちが自動小銃を構えている。
ハンティング・ウルブズの装甲車はステルススクリーンを展開して副官たちを待ち伏せしたのだ。
「指揮官は誰だ。」「私だ。」
副官が答える。
「あの船の艦長か。」「いや、副官だ。」
「艦長はどこにいる。」「船に残った。」
「しまった。第3部隊に撤退を報告しろ。」
その時、ユニオンは爆発する。艦長が自爆スイッチを入れたのだ。爆発はハンティング・ウルブズの第3部隊を巻き込む。
ハンティング・ウルブズの指揮官は悔し気に爆発を見届けた後、副官たちを拘束する。