第14話 戦って殺すこと
戦闘が終わり、住民が帰ってくる。クリスタはエリアに戻るとアウレールを探し始める。
アウレールは捕虜の所に行っていた。彼は自分が撃墜したヘリの乗員の容態を聞く。
「ヘリの乗員か、2人は軽傷だが、残りの1人は助からんだろう。」「そうですか。」
「アウレール、こんなところじゃなくて親の所へ行ってやれ。」「おれは確かめたいんだ。」
「何を確かめるのさ。」「戦って殺すことがいいことかどうか。」
「そんなこと考えていたら死ぬぞ。」「でも知りたい。」
「分かった。ヘリの乗員はだめだが、捕虜になった連中はいいだろう。」「ありがとう。」
クルト大尉たち捕虜は、住民たちが集会を開く集会所に収容されていた。捕虜と言っても檻に入ったりはしていない。
アウレールはクルト大尉たちの所へ行く。兵たちは子供が入ってきたので迷い込んだのだと思う。
「ぼうず、ここは来るところじゃないぞ。」
彼は真直ぐクルト大尉の所へ行く。そして、クルトの目を見て言う。
「戦場で人を殺したことはありますか。」「そ、その声は人型に乗っていたパイロットか。」
兵たちがざわつく、パイロットが子供とは予想外だからだ。アウレールは問い続ける。
「どうなんですか。」「失礼、野盗を殺したことはあるよ。」
「それは悪いことですか。」「殺さなければ、私はここにいないよ。」
「なら良いことなのですか。」「どちらでもないよ。殺さなければ死ぬだけだよ。」
「俺はどうすれば。」「戦わないことだね。君は腕のいいパイロットだが余計なことを考えすぎる。」
「俺が戦わないとみんな死んでしまうんだ。」「だったら、大切な人のために戦えばいい。君が殺さなければ、大切な人はいなくなってしまうだろ。」
「ありがとう。」
アウレールは力が抜けたようになって去って行く。
「大尉、酷なこと言いますね。」「まだ、子供が考えることではないよ。」
彼は「敵は殺さなければ」と考えながらエリアの中をふらつく。クリスタが彼を見つけ抱き着き泣き出す。
「アウレール、生きてた。生きてた。」「俺は大丈夫だよ。」
「でも、ロボットで敵と戦ったんでしょ。」「うん、また殺してしまったよ。」
「守るためでしょ。」「そうだよな。」
彼は言い聞かせるように「俺は守るために戦ったんだよな」と思い込む。殺してしまったのも守るために仕方がなかったのだと・・・