第114話 ジョアン司令官
レーガにリオジャネイロでの軍とハンティング・ウルブズの戦闘の結果が情報として入って来る。
「鮮血のワルカはホークアイに圧勝したそうです。」「残りのガントもクリスが叩きのめしましたな。」
「ハンティング・ウルブズはやはり優れています。」「しかし、扱いづらい。」
「問題が残りますな。」「それより、リオジャネイロをどうするかです。」
「民衆をけしかけましょう。」「それでは香港の二の舞ですぞ。」
「リオジャネイロなら問題ないでしょう。あそこはレーガに近くない。」「そうですな、市長も元軍人ですし消えてもらって、我々の息のかかったものが市長になるのも良いと思います。」
「ならば、傭兵団に方面軍をつぶさせましょう。」「カリオンとハウンドに機会を与えましょう。」
レーガはリオデジャネイロ軍を完全につぶすつもりである。
フィクサーではリオデジャネイロ軍基地の壊滅とジョアン司令官の逃走の情報により、ナンバー4イスマエル・オテロがジョアン司令官の確保に動き出す。
直ちにユニオンの発艦準備を始めて、リオジャネイロを目指すことにする。今回はジョアン司令官の強制確保のために特殊部隊が乗船する。
ユニオンはリオジャネイロに到着するとイスマエルが無線で呼びかける。
「こちらはフィクサーナンバー4イスマエル・オテロ、ジョアン司令官の身柄を引き渡していただきたい。」「こちらは市役所です。軍ではありませんよ。」
「ジョアン司令官が市長の元に逃走したことは分かっている。隠すなら強硬手段の準備がある。」「トラヴィス市長だ。ジョアン司令官は私の保護下にある。軍の介入は控えていただきたい。」
「市長、司令官は不当に税金を軍に徴集している疑いがある。引き渡さないならば市長からもお話を伺うことになるかもしません。」「私を脅すのか。」
「心当たりがおありでしょうか。」「馬鹿なことを言うな。ジョアンは渡さないぞ。」
イスマエルは強硬手段に出ることにする。格納庫が開き市役所の屋上にアンカーが撃ち込まれる。アンカーにはロープが張られていて特殊部隊員が屋上にロープを使って降下する。
部隊員が屋上に降りるとユニオンは市役所の建物から離れる。特殊部隊員は屋上のドアを破壊して、市役所内に侵入する。
彼らは二手に分かれて、1班は上の階からジョアン司令官の捜索を開始する。2班は階下に降りて1階の出入り口と地下1階の出入り口を確保する。
ジョアン司令官はエレベータで地下1階の駐車場に向かっている。1班は市長の部屋に到達するが司令官はいない。部隊員がトラヴィス市長に質問する。
「司令官はどこだ。」「市役所に土足で踏み込んでただで済むと思うなよ。」
部隊員が無線を送る。
「各員へ司令官は逃走した。注意しろ。」
ジョアン司令官は市長の車に乗り込み車を発進させる。駐車場出入り口を確保していた豚員が車の発進に気づく。彼は自動小銃を構える。
車は加速してくる。部隊員は自動小銃を発射する。銃弾はフロントガラスに当たり、車は壁に衝突する。
部隊員は車のドアを開ける。ジョアン司令官が運転席に乗っており、左腕に銃弾を受けている。
彼は司令官を車から引きずり出し後ろ手にして両手の親指を結束バンドで締め付けて拘束する。そして他の隊員に報告する。
部隊員はジョアン司令官を連れて建物の屋上へ行き、再びユニオンの格納庫からアンカー付きロープが撃ち込まれ。今度はロープを使って屋上から格納庫へ降下する。
イスマエルは、ジョアン司令官の確保に成功するとユニオンをカルフォルニア基地へ向ける。
基地でジョアン司令官の調べが進められるが、イスマエルは、今後調査が進むとトラヴィス市長も拘束することになると考えている。