第106話 カリオンとハウンドの戦い
リオデジャネイロ軍の第5方面軍拠点にカリオンの空中戦闘艦アンコーナが現れ、4基の砲台を展開して砲撃を始める。第5方面軍は自走砲で反撃するが次々に撃破されていく。
アンコーナからクリスが4機発進する。するとアンコーナは砲撃を止める。代わりにクリスがビームバルカン砲で第5方面軍拠点に止めを刺す。
カリオンの襲撃はリオデジャネイロ軍に衝撃を与える。そこへハウンドの空中戦闘艦メッシーナが第1方面軍拠点に現れる。イーヴォ団長は第1方面軍に告げる。
「武器を放棄して逃走するのであれば、攻撃はしない。30分後に攻撃を始める。賢い選択を希望する。」
第1方面軍からの返答はないが拠点から兵士たちが走って逃げだす。イーヴォ団長は30分後、クリス4機を発進させる。クリスは司令塔や兵舎をライフルで攻撃する。
しかし、反撃はない。メッシーナは着陸すると格納庫から団員を乗せた装甲車を発進させる。団員は拠点に残された軍用車両や武器弾薬をメッシーナに運び込む。
カリオンのカルロ団長からハウンドのイーヴォ団長に通信が来る。
「今頃でできても遅いぞ。軍の本隊は俺たちが叩くから指をくわえてみていろ。」「分かりました。先行はお願いします。」
「もう帰ってもいいぞ。俺たちが終わらせるからな。」「我々は万一に備えて残ります。」
「俺たちが負けると言うのか。」「終わるまでは分かりません。」「お前たちに俺たちの強さを見せてやる。」
カリオンのアンコーナはリオデジャネイロ軍基地に向けて発進する。メッシーナもアンコーナの後ろに続く形で動き出す。
リオデジャネイロ軍基地ではジョアン司令官が怒りをこらえながら言う。
「傭兵団風情がなめたことしてくれるわね。ビル隊長、わが軍の恐ろしさをたたき込んできなさい。」「了解しました。」
ビルは部下たちと共にガントに搭乗して、基地から発進する。アンコーナがレーダーにガントを捉える。
「8機近づいてきます。」「よし、クリスを発進させろ。ビームバルカン砲で穴だらけにしてやれ。」
アンコーナからクリスが4機発進する。イーヴォ団長はホークアイと言われるビルの腕前がどのようなものか注視する。
ガントの中からビルだけ突出してクリスに向かってゆく。クリスは足を止め盾に内蔵されているビームバルカン砲を掃射する。ビルのガントはスピードを緩めることなく突き進み。ビームバルカン砲の弾幕も避けて見せる。
そして、4機のクリスの包囲を抜ける。7機のガントが足を止めたクリスをライフルで狙い撃ちする。1機のクリスが大破し落ちていき、地上に落ちる前に爆発する。
爆風が地上の建物のガラスを割り、飛び散ったクリスの破片が建物や道路を走る車を破壊する。ビルが部下に言う。
「何爆発させているんだ。コックピットを狙え、被害を最小限にするぞ。」「了解。」
ビルは再びクリスに突進する。クリスはライフルで狙い撃つがかわされ、ビルに剣でコックピットを貫かれる。ビルは動かなくなったクリスをアンコーナの甲板に放り込む。アンコーナは上部甲板を破損して装甲に穴が開く。
アンコーナは衝撃でバランスを崩すが、何とか墜落を免れる。カルロ団長は後退を指示して、クリスにも援護を指示する。しかし、残り2機のクリスはガントとのライフルの撃ち合いで傷つき機動力を失いつつある。
イーヴォ団長は、クリス4機を発進させ遠距離から援護射撃をするように指揮する。ハウンドのクリスはアンコーナに近づき援護射撃をする。
ビルのガントはハウンドのクリスに突進を始める。ハウンドのクリスは散開する。ビルはその中の1機に肉薄して剣を振るう。クリスは旋回してぎりぎりでかわす。
ビルはコックピットを狙って突きを繰り出す。クリスは後ろに逃げるが剣は装甲を切り裂く。クリスのメインスクリーンが破損する。残りの3機がビルを狙ってライフルを撃つ。ビルがかわすとクリスはビルから逃げる。
そのころ、カリオンの残った2機のクリスはコックピットを撃ち抜かれて街中に墜落する。ビルは部下がクリスを仕留めたことを確認すると基地へ引き上げていく。
カルロ団長はイーヴォ団長に礼を言う。
「後退の援護感謝します。」「今回は相手が悪かったです。」
カルロ団長は黙ったまま引きあげていく。イーヴォ団長は団員に言う。
「軍のガントは手に負えません。このまま引き揚げましょう。」
団員からは反論は出ない。みんな、ホークアイの強さに士気はくじかれてしまっていた。