第104話 フィクサーの敗北
リオデジャネイロは南アメリカで一番の発展をしており、150のエリアを保有している。しかし、レーガにとって一番厄介な都市である。
トラヴィス・タンストール市長は元軍人で、リオデジャネイロ軍の司令官ジョアン・アルドリッジとは愛人関係にあると言われている。
リオデジャネイロは豊かな都市で住民は潤っていたが徴税率も高く、税金の多くが軍に流れている。
自警団が発足し抵抗を試みるが軍は優秀ですぐにつぶされてしまう。
特に8機のガントの舞台を率いるビル・ハガード隊長はホークアイと呼ばれ恐れられている。
フィクサーのナンバー4イスマエル・オテロは、ユニオンでリオジャネイロ軍の査察を行うことにする。軍には過剰な資金が流れている疑いがあるのだ。
「リオデジャネイロ軍基地、こちらはフィクサーナンバー4イスマエル・オテロ、着艦の許可を願いたい。」「着艦を許可します。」
ユニオンが基地に着艦するとジョアン司令官から通信が来る。
「フィクサーがリオデジャネイロ軍に何の用かしら。」「今から査察を行います。」
「できるの。まずはビルに勝ってからにしてもらいたいわね。」「反抗するのですか。」
「資格を示しなさい。」「何を言っている。」
艦橋の砲術士から声が上がる。
「ガントに囲まれています。数8。」
イスマエルは歯ぎしりをして「本気のようだな」と独り言を言う。彼はオーラフ艦長に言う。
「マグニでビルと言うやっと戦ってくる。」「ビルは、ホークアイと呼ばれる凄腕です。気を付けてください。」
イスマエルはマグニに搭乗すると出撃する。彼はユニオンから距離を取る。そして、呼びかける。
「ビルと言うやつはどいつだ。」「はやるな、言い残すことはないか。」「黙れ。」
イスマエルは、前に出たガントをライフルで撃つ。ガントは半身を引いただけでかわす。そして盾を前に出してマグニに体当たりする。マグニは突然のことに仰向けに倒れる。
「決闘にライフルは無粋じゃないか。腕前を見せてみろ。」
イスマエルは冷や汗を流す。ビルのライフルをかわしてからの突進の早さについていけなかった。彼はマグニを立たせると盾に収納されている。剣を取り出す。
ビルも盾から剣を取り出すして言う。
「そうじゃないとな。」「抜かせ。」
マグニはガントの間合いに入ると剣で上段から打ちこむ。ガントは剣よりも早く動きマグニを横なぎにする。マグニの盾が切られて下半分が地面に落ちる。
イスマエルはマグニを振り向かせるとガントに迫り、剣で突きを繰り出す。ガントは剣で突きの剣線をそらしてマグニに迫る。剣で受けているめ、火花が飛び散る。
ガントはそのままマグニの右腕を切り裂きつつ剣を振り切る。マグニの胴の肩に近い部分でガントの剣は振り抜かれる。
マグニの上部がずり落ちる。剣はコックピットの上部を通過したため、イスマエルはぎりぎり切られずに済む。イスマエルはコックピットから這い出す。ビルが彼を見て言う。
「腕はまあまあだな。生きているとは運がいいな。」
ビルはそのまま去って行く。すると他のガントもユニオンの周りから去って行く。イスマエルは負けたのだ。彼は腕の未熟さを呪う。
ユニオンは壊れたマグニを回収するとリオデジャネイロ軍基地から立ち去り、カルフォルニア基地へ向かう。
カルフォルニア基地に到着するとイスマエルは、ホークアイ、ビル・ハガードについて報告する。
フィクサーはリオデジャネイロ軍の査察が出来なくなる。イスマエルはフィクサーの中で最強と言うわけではないが決して腕が劣っていることはなかった。
そのイスマエルが赤子のように翻弄されたのである。フィクサーの中にホークアイのビルに対抗できる者はいないことになる。