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転生したら、子どもに厳しい世界でした。  作者: 梨香
第二章 アルカディア
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石鹸を作ろう!

 次の日、絞ったトレント油で石鹸を作ることになった。

 灰を前の晩に水につけておいたよ。

「この上澄を油に混ぜて、この型に入れるのだ」

 ふうん、なんか夏休みの研究セットみたいだけど、型が平たくてデカい。

「師匠? 大きくないですか?」

 使っている石鹸は、もっと小さい。

「固めてから切るんだよ。まぁ、小さい型をいっぱい作って貰っても良いのだけど……乾燥するのは、そちらの方が早いけど、面倒なんだ」

 どうやら師匠は面倒なのは嫌いみたいだ。


 石鹸を固めるのは時間が掛かるから、今日もオイル絞りかな?

「水車は私が回すから、ミクはしたい事をしたら良い」

 えっ、そんな下働きをするのは弟子の仕事では?

 なんて思ったけど、どうやらピザを焼いて欲しいと他の森の人(エルフ)に頼まれたみたいだ。


「ああ、ミク! ヘプトスがこれを持って来たわよ!」

 私が木の家(アビエスビラ)の裏で師匠と石鹸を作っている間に、ヘプトスが蒸篭を持って来てくれたみたい。

「ああ、これがあるならお昼は肉まんにしよう!」

 サリーがお焼きとは違うの? って顔をしている。ちょっと違うよ!


「夕方にピザを焼くから、ヘプトスとガレウスに言っておかなきゃ」

 それと、ピザ生地をいっぱい練っておこう。

「サリーもレモネードを作る?」

 このところ、一緒の作業が少ない。

「ええ、今日は何も予定がないから、レモネードを作って売るわ!」

 それに、チーズを買いに行ったり、手伝ってくれる。


「来週あたり、ハチミツを集めて、ハチミツ酒(ミード)を作るとアリエル師匠が言われているの」

 それ、楽しみだね! えっ、お酒は飲まないけど、少し分けて貰ってお酢を作りたいんだ。

 今残っているワインビネガーは少しだけだから、お酒にハチミツと酢を混ぜて、お酢を作りたい。

 料理スキルができると教えてくれたから、やってみる。気温が高い方がお酢は作りやすいみたいだからね。


 肉まんは、パン生地で肉とキャベツと玉ねぎの細切れのタネを包んでいく。

「何か手伝おうか?」

 サリーに手伝って貰って一緒に包む。

「お焼きに似ているけど?」

 まぁ、材料は同じだと思う。

「蒸すから、もっと膨らむのよ」


 20個ほど作った。木の家(アビエスビラ)では一人2個ずつかな?

 他のはヘプトスとガリウスとその師匠達に持って行こう。

 と思ったけど、美味しすぎて3個ずつ食べちゃった。


「これ、美味しいわ! お焼きとも違うわね」

 人間の町でも食べた事がないと、アリエル師匠が絶賛してくれた。

「これは人気が出そうだな」

 うっ、ピザだけでも用意が大変なんだよ。

 でも、肉まんの方が売りやすいかな? 蒸篭を積み上げても良い。

「冬になれば、より美味しく感じるかも?」

 コンビニでも冬場に売っていたよね。買った事ないけどさ。あれこれ食事制限が厳しかったから。


 ヘプトスとガリウスの所に4個ずつ持って行く。

「ヘプトス! 蒸篭で肉まんを作ったの。それと、今日はピザを焼くわ」

 二人は肉まんを一瞬で食べちゃった。

「これ、美味しいな!」

 好評で嬉しいけど、今日はピザだよ。

「今日は新作のピザにするの」

 とうもろこしのピザ! 採れたてのコーン、甘くて美味しいんだ!


 ガリウスも肉まんを喜んで食べたけど、師匠は甘いものを一瞬期待したみたい。

「もう少しでオーブンができるぞ!」

 パウンドケーキの型は、もう作ってあるみたい。石窯で試してみようかな?


 この日の午後は、脂身を買って来て、フスマや野菜クズや骨粉と混ぜて配合飼料を作る。

 脂身を一旦溶かしてからの方が混ぜやすいかも?

 師匠じゃないけど、石鹸の型を貸して貰って平たく伸ばして、冷やして固めてから、切っていく。

 売る石鹸と違って、こちらは大きさは適当で良い。


「試してみよう!」

 おやつにやったら、ギャーギャー喜んで食べていたので、冬はこれで越せるかも?

 干し草も作りたいな。こちらは、ヴェルディさんに教えて貰いたい。

「ひまわりの搾かすも、フスマで作った飼料も食べましたけど、干し草も作っておきたいのです」

 オリビィエ師匠がヴェルディに頼んでやると笑う。


 夕方までにとうもろこしを芯から切り取ったり、玉ねぎを薄くスライスしたり、燻製肉も切っておく。

 ついでにきゅうりの一本漬けも売ろう!

 木の家(アビエスビラ)の前に椅子やテーブルを並べているうちから、ゾロゾロと集まって来た。

「まだ旗を立ててないのに……」

 まぁ、用意はできているから、焼くけどさ。


 とうもろこしを入れると甘くて美味しい!

 でも、ピーマンとかパプリカとかも欲しいな。

「このきゅうりも美味しいな!」

 ガリウスがピザが焼けるまで、ポリポリ食べている。

「レモネードも美味しいわよ」

 しまった! レモネードを飲みながら待ってもらえば良かったな。

「それは、ピザと一緒に貰うよ」

 なんとかピザを焼き終えた時は、へとへとだった。



 


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― 新着の感想 ―
[一言] 連日更新お疲れ様です。 石鹸に精油で香りを付けて、香りごとに可愛らしい型で固めたら、それはそれで希少性が出て高く売れるでしょうw オリビィエ師匠が面倒なら、ミクちゃんが挑戦しても良いですし…
[良い点] 情景が目に浮かぶようでこういう小説好きです。
[一言] 蒸しパンはいかがですか? はちみつとさつまいもを入れれば、甘いおやつです。
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