表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

愛について

作者: 黎め

いきなり壮大だけど、愛というものについて考えていた。


私はもてるけど、それは私が男好きだからであって、仲良くしたくて話しかけたり話を聞いたりすることが、思わせぶりな態度になってしまっているからかもしれなかった。


ここで言う男好きというのは、いわゆる男好きなのではなくて、性的なものを含めない好き、なのだが。


私は同性の友だちといるより、男といる方が楽しかった。


とにかく男の思考回路は私たちが考えるそれではなくて、話していて楽しかったし、相談しても絶対に女同士では辿り着けない答えをぽいっと投げて寄越すし、ありえないほどバカだったり、感心してしまうほど賢かったりと、私を飽きさせなかった。


そして私はというと、何もお返しできないくらい無知で愚かでどんくさかったが、私が女であるというだけで、彼らは私に優しかった。


だからつい仲良くなりたいあまり、同性の友だちと同じように分け隔てなく男にも接してしまうのだが、それが誤解を生むのかもしれなかった。


私はあくまで友だちとして彼らのことが好きなのであり、性的にどうこうなりたいわけではない。そもそも人を好きになるのに熟考するタイプな上一途なので、一度心のステディができると、他の男は対象外としか映らなかった。


だから不穏な空気が漂おうものなら直ちにはしごを外して逃走する。いい雰囲気、になど持っていかないのだ。全くそんなそぶりもない時には平気だった二人きりで会うことをやめ、呼び出しに応えないどころか呼び出すことさえ阻止する。男に思い詰めさせず、あらためさせず、勇気を出させず、なげやりにもさせない。細心の注意をもって、あくまで友だち関係を維持する。せっかく仲良くなったのに、告白されたり断ったりして、気まずくなるのが嫌なのだ。


ここへきて愛、である。


その男は最初から何が目的なのかよくわからなかった。いつでも私のためになるものを一方的に提供しては見返りも求めずすっと消えた。例によって私は口説かれる前にうまいこと逃げようとたくらんでいたが、その男はいつまで経っても私を口説き始めなかった。


何だろうこれは、と考える。私と性的に仲良くなりたいわけではなさそうだ。だけど明らかな好意は感じる。そうでなければ私のためにわざわざ有益なものなど拾い集めてはこないはずだ。


初めてのことに戸惑うが、思い当たらないことがないわけでもなかった。これは、父親が娘に対して抱く想いと似たものなのではないだろうか。正直に言うと私は中間子の放置子で、父から愛された記憶がなかった。


経験がないので知りようがなかったが、今与えられているものは私が欲してたまらなかったものと一致する気がしてならない。正解があるのかも知らぬが、答え合わせをするのが私自身なのだとしたら、まぎれもなくこれには丸を付ける。


何事も遅すぎるということはなく、今私は幼少期に得られず、以来欠乏し続けていた愛を享受している。これが愛なのかどうかは関係なく、私が愛だと思って受け取る限り、これは愛なのだった。


色々あります☆

お読みくださり感謝します

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点]  素晴らしいエッセイでした。  確かに愛を考えると壮大ですね。  男性と女性では感じる事も違うと思います。私としては女性視点の新たな考えが知れて良かったです。  私も若い時【恋】と【愛…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ