魔法の鏡のクセが強い
『第3回「下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ」大賞』投稿作品です。
指定キーワードは『鏡』。
ギャグです。勢いでお楽しみください。
「くくく、無事に王の妃となる事ができたわ。ここから私は王妃の権限でより美しさに磨きをかけてみせるわ! ただ引っ越しの時に魔法の鏡が割れちゃったのよね……。修理の間の代替鏡、使えるのかしら。とりあえず試しに……。鏡よ鏡、この世で一番美しいのはだぁれ?」
「ミキティー!」
「うるさっ! 声うるさっ! 誰よミキティって! 許せないわ! 鏡よ鏡! その女はどこにいるの!?」
「俺の心の中にいつもいる! ミキティー!」
「何よこれ壊れてるのかしら!? 交換してもらわないと……」
「さて、今度のは大丈夫かしら? こほん、鏡よ鏡、この世で一番美しいのはだぁれ?」
「ハンバーーーグ!」
「うるさっ! うるさい上に意味がわからない! この世で一番美味しい物聞いてるんじゃないの! 交換したら大丈夫だと思ったのに!」
「甘ーい!」
「二重の意味でうるさい! もう! これも交換ね!」
「今度こそ大丈夫よね? おほん、鏡よ鏡、この世で一番美しいのはだぁれ?」
「しーんぱーいないさー!」
「うるさっ! 耳塞いどいて良かったわ! で何なの!? 美人かどうか心配するなって事!? 心配だから聞いてるのよ! 早くいつもの鏡、直らないかしら……」
「音量の小さいやつって言って交換したから、今度こそ大丈夫でしょう。えほん、鏡よ鏡、この世で一番美しいのはだぁれ?」
「ちょっと何言ってるのかわからない」
「わかりなさいよ! 私を誰だと思ってるの!?」
「すみません若頭」
「違う! そっち系だとしても姐さんとかでしょ!? 全くもう……! 次よ次!」
「今度は何が来るの!? ごほん! 鏡よ鏡! この世で一番美しいのは!?」
「イエエエェェェイ!」
「これまでで一番の音量! 耳栓しといて良かった! 鏡! 世界で一番美しいのは誰か教えなさい!」
「オッケエエエェェェイ!」
「話が通じた!?」
「ジャァァァスティィィス!」
「駄目だった! もう何なのよこの代替鏡!」
「やっと直ったわね。えへん、鏡よ鏡、この世で一番美しいのはだぁれ?」
「それはこの国の姫でございます」
「……そう」
「あ、あれ? お妃様?」
「何だか普通すぎて物足りない……」
「えっ、そんな……」
「もう世界一の美しさとかどうでもいいわ! あの鏡のレンタルやってないか、聞きにいかないと!」
「えっ、えっ!?」
「あなたも一緒に見なさい! 最初は慣れるまでちょっとかかるけど、クセになるわよ!」
「あっはい……」
こうしてお妃は、鏡と一緒に毎日笑って楽しく暮らしましたとさ。
めでたしめでたし。
読了ありがとうございます。
前回の配慮は何処へやら。
しかしよォー、それでもなぜ俺がこの“作品”を投稿しようとしたのか……
ひょっとしたら採用かも知れないと思ったら……
万が一でも! 下野さんの全力物真似っつー可能性があるのなら!
この“作品”を投稿しねえ訳にはいかねえだろう……!
ちょっと紙に閉じ込められてきます。
次回キーワードは『お味噌汁』。
よろしくお願いいたします。