子爵家の証拠
王家の血筋の王位継承者がすべていなくなったさい、貴族から次の王を選ぶ。
そういう決まりがあるが今までそれが実行されたことはない。なぜなら、いなくなったことがないから。
「しかし、ねえ」
少女は公爵家の屋敷から抜け出して諜報活動をしていた。
皇子を守ろうと後ろ盾になる公爵家、そして表向き皇子を褒めているが死を望んでいる子爵家と宰相家。
少女が殺した大男は以前宰相家に雇われたと暗殺ネットワークで聞いたことがある。子爵家は調べたところ劇薬を闇市で何回も購入しているとか。そして、犯人不明で片付けられている、5年前に起きた皇子毒殺未遂事件に使われた毒と同じ。怪しい。
一方、今まで皇子を殺せとうるさかった公爵は微笑ましそうに皇子と少女の様子を見ている。その目は皇子の死を望んでいるようには見えない。どちらかと言えば生きて欲しそうだ。 それに、少女は一回殺さずに逃したターゲットを殺せと命を下された時、何故かそのターゲットを守る行動をしてしまう。それをきちんと公爵に言っているのに皇子を殺せと。
まるで「守れ」と言っているようだ。
「ふーん、そういうことか」
少女は公爵の狙いを8割理解した。つまり、皇子を殺そうとしている相手を消せ、ということだ。
そうして少女は子爵家の屋敷に忍び込んでいる。今いるのは書庫。大体暗殺計画書は書庫の本の間に挟まれているものだ。
「見つけた」
分厚い歴史書を手に取り、月明かりに照らしながら月石といわれる鉱石から覗くとびっしりと文字が書かれていた。
少女は歴史書を手に持って子爵家の屋敷を後にした。そして、公爵家に帰ってまだ起きて書類の整理をしていた公爵にそれを無言で渡す。
「随分とすごいものを持って帰ってきたね?」
公爵は目を見開いて少女を見た。少女は何でもなさそうに肩をすくめた。