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プロローグ

 俺が魔法学校に行く事は、生まれる前から決まってたんだってさ。

 何故かって?

 でないと、弟達を食わせて行けないんだってよ。

 サイケだろ?


 十五歳になると、魔法種族のガキんちょ達は魔法学校に入学する事が出来る。

 魔法学校ね。

 この言葉に、耽美なイメージを持つ奴ぁ沢山いるだろうな。

 でも、誰もが好き好んで手を挙げる訳じゃ無いさ。

 そりゃ、自分に魔法能力があれば、将来の為に魔法使いの資格を取ってもいいさ。でも、たかが森の狩人の俺如きにそんな能力ちから必要いると思うかい?

 俺達狩人に必要なのは、弓矢と山刀と、それに獲物がわんさかいる森や山。その他は、何にもいらない。

 空を飛べなくても、火を生み出せなくても、未来を占わなくても、それなりに生きて行けるのさ。

 なのに、なのにだぜ。

 どうして、俺は、あの評判悪い最低な魔法学校に行く事になったんだよ。

 誰か教えてくれ。

 狩人という職がそれ程悪いとは思わない。確かに稼げない生活ではあるさ。

 でも、それなりの腕さえあれば、可愛い嫁さんと手の掛からない子供ふたりくらいなら養っていける。それ以上だと、誰かが栄養失調になっちまうがな。

 口減らしだって?

 そうだよなあ、弟妹わるがきが五人もいちゃ、邪魔者扱いされるのかな。

 そんなに食う方じゃ無かったと思うが。

 ちゃんと、弟妹達の世話をしてたと思うぜ。弓の腕も仲間の間では褒められる事が多かった筈だしな。

 まあ、あんな魔法学校ところに追いやられる奴に追いやられた理由を聞いても無駄か。大抵は、複雑な大人の事情ってのが絡んでるらしいから、大人しく教えてくれる筈も無い。

 それにしても、魔法学校あそこに行くのはゲンナリだよな。狩人仲間も俺に同情してくれたさ。同情かな? 蔑まれていたのかな?

 せめて、もうひとつレベルの高い魔法学校なら良かったんだが。

 何てったって、あの魔法学校ねどこに三年間居て、魔法使いの資格を身に付けるのが何人いると思う?

 この五年間で四人だぜ。か~、耳を疑うね。

 学校の名前を聞いた時は、ほんとにびっくりしたさ。そして、落ち込んださ。これからの人生、あの魔法学校が俺の経歴を汚しまくるんだってな。

 あ~、俺の貴重な三年間を魔法学校ろうごくで無駄にしないといけないのか。

 終わってる。

 誰か俺の前世を調べて欲しいわ。

 とんでもない悪人だったんだろうな。

 神さんよ。ほんとにいるのなら、俺の願いを聞いてくれ。

 魔法の才能なんかいらない。穏やかな学校生活も望まない。

 只、せめて、潤いのある日々を送らせて欲しい。


 せめて、せめて、美人で優しい同級生を……。

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