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戦神古記
前の世の終わりにより始まりを迎えたのが我が世界だった。
前の世に生まれ出た者達は、あらゆる要素を持ち、あらゆる要素を捨てていた。
落ち着きがあり、混乱があった。
善があり、悪があった。
光があり、闇があった。
死が超常を支配し、地上の輝きは消え去って行った。
道に背く者達が狙われた。
大なる頂”尾を切る賢者”が怒りを炎と変えた。
前の世の悪なる生き物達は皆狭き広き暗闇に集められた。
高き智恵の勇者”瞳の刃”が天の光を遮った。
前の世の死に行く生き物達は皆堕ちて行った。
東の門番”四つ足と共に生きる隠者”が不変の薄き厚き静かなる壁を立てた。
前の世の暗き生き物達は皆絶望に埋もれた。
闇の雷に力を得た”黒と赤の永遠なる灯”が結界に切れ目を求めた時、≪雷の屍≫が我が世に惹き込まれて来た。
”黒と赤の永遠なる灯”は、≪千年後の復活≫を予言し、我が夜に姿を消した。
最後に残りし”平らかなる不動の破魔の使い手”が全てを言い含め、力の封印により、次なる時代の扉を閉じたのだ。
(『戦神古記 紡ぎの結び』より)