表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最凶から始めるラスト世界  作者: 仲乃古奈
序章
5/13

第五話 逃げ出そうぜコノセカイ

「く……、はぁッ、ハッ……はぁ……」


 どれくらい走っただろうか。あたりは、暗くなり始めて。空が赤と、オレンジと白のきれいな色に染まり始めていた。少し田舎まで来てしまったようで、帰り道がわからない。視界に入る限り、人がいる気配はなかった。

 つまり、自分ひとり。

 境は一心不乱に動かしていた足を、ゆっくりにする。息が苦しい。

 汗でびっしょりになった顔を拭くこともなく、だんだん、だんだん、減速し、止まった。

 ポタポタ……と、アスファルトの地面にしずくが落ちる。涙だった。


「ふぇ……う、うう……うぁああああああん、ああああぁぁ――」


 空へ届くばかりに泣きじゃくる。あふれる涙をそのままにして、境は叫び続けた。この世界への憤怒ふんどを、憎悪を。今までため込んできた分すべてを吐き出すように喚き散らした。

 なんでみんな僕を嫌うのだろう。

 なんで痛いんだろう。

 なんで裏切るのだろう。

 なんで、なんで僕は生まれてきたのだろう。

 なんで世界は、僕という存在を創ったのだろう。

 痛いよ、つらいよ、もう限界だよ。やめてくれよ、もう嫌だよ、いやだ――!!

 この世界は、いつだって僕に理不尽なことばかりだ――


「――――キョウ」

「……ッ!」


 いきなり背後から声をかけられびくりとした。振り向かなくてもわかった、健太だ。


「なんで、ここまで来ちゃったのさ……」


 背を向けたまま聞く境。こんなボロボロの姿を、親友の健太にだけは見せたくなかった。自分の最後に残ったちっぽけなプライドがそう言っている。

 そんな境の内心に反して、健太は息を整えながら、どこまでも静かに答える。


「当たり前だろ、ほってなんか置けないよ」

「いいよ! ほおっておいてくれよ! 一人にしてくれ!」

「キョウ……」

「やめろ! 来るな! もういい、帰れよ! こんな……こんな馬鹿な僕なんか見捨てろよ! 頑張ればみんなが認めてくれるって思ってた僕を! 大人に簡単に騙され、泣いた僕を……! この世界から嫌われた僕を……っ。もう、生まれた、意味なんか……ない、ぼ……ぅ、うぁあ……ッ」

「もう、いい。なんも言うな」


 そういって、健太は後ろから手をまわして抱きしめてきた。


「キョウ。キョウは馬鹿じゃない。見捨てない。俺が認める。生まれた意味だってある。少なくとも、俺はお前とあえて本当に良かったって思ってる」

「ぅ……え……」

「立ち向かわなくていい。もういいよ、我慢すんなよ」


 腕から解放された境が、後ろを振り向く。そこには夕日の光を後ろに浴びた健太が暖かく笑っていた。手のひらを、境に突き出す。遊びにさそうように、いつものように。しかし、その意志の強い鋭い瞳に確かな決意を燃え上がらせて。言うのだ。



「――逃げ出さおうぜ、この理不尽な世界から」



「――ッ!」


 境は大きく目を見開く。

 そんな境の反応に、健太は「ん?」と首をひねった。


「あれ? 嫌だったか? まぁキョウが戦うっていうなら、俺も戦うけどな。世界だろうと、ドラゴンだろうと、異世界だろうと!」

「ち、違う違うそうじゃない! せっかくのシリアス返せ! あと、この世界にそんなものないから! どこにあるんだよそんなもん!」

「脳内」

「はい、予想を超えるロクでもない解答ありがとうございます!?」


「そぉーじゃなくて!」と吠える境。


「なにさ、世界から逃げるって!? 一回死んでテンセーでもするつもり!?」

「おっ、キョウもなかなかの妄想マスター。ついでに死ぬわけじゃないから、キョウと一緒に心中はご遠慮いたします」

「なんで敬語!? 微妙に悲しくなるからやめてよ!」

「んじゃぁ説明な。まぁ、逃げんだ。もう学校にはいかずに、いろんなとこ旅しようぜ。一緒にさ!」


 こやつ伝説の奥義無視を使いやがった……とジト目をする境だったが、それよりもその説明に驚いたので、ひとまずそれは置いておく。


「え!? た、旅って……。僕たちまだ中学生だよ? そんなの無理じゃ……」

「んじゃあ、そんな中学生のキョウは、あんな生活で生きていけんのか?」

「う、ぐ」

「無理だろ? それにいいじゃねぇか、二人で旅! わくわくするじゃねぇか!」


 唖然とする境の前で、健太は腕を頭の後ろで組んで「にししっ」と楽しそうに笑う。ハッと我に返った境が、「いやいやいや!?」とのんきな健太に詰め寄った。


「そんな!? もしもそうするとしても、どうやって生きるつもり!? 怪我とか、服とか、ごはんとか……!」

「薬草とかー、川で洗濯とかー。魚とか、キノコとか、上達したら狩りしようぜ。まぁひとまずは、しばらくコレで」


 そう言った健太は、「じゃん」と効果音をつけながら肩をずらしてみせた。そこには後ろから大きめのリュックが。さっきまでは暗くなり始めていたこともあり気づかなかったが、そこには確かに黒いリュックが背負わされていた。


「……それは?」



ふぇ~、やっとここまで来たぁって感じです。

こっから、三話くらいはコメディっぽくなりそうです。

行き当たりばったりで、あとから編集するかもしれません。


誤字、脱字など気になる点がありましたら、ご報告お願いします。

これがここでの初めての作品で、多分表現力やストーリーが甘いところもあると思います。なので、もしよければ、どこがいけないのかなどご教授お願いいたします。

ここまで読んでいただきありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ