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酪農家ヨシダ、王国に拘束される



「な、何だとっ!? ダンジョンの古代竜を倒したのは魔人だと言うのかっ!?」



「はい、私はこの目で見ました。剣士ネルソンも目撃しています。証言もしてくれるはずです。」



「伝説の剣士ネルソンか。しかし、それが本当だとしたら、一大事だぞ!古代竜を倒してしまう程の魔人など、国家存続の危機だっ!!」



 王国の宮殿では、政治の中心を担う宰相さいしょうシュナイゼルと、魔術師カーティスが話し込んでいた。



「シュナイゼル様、先ほどお話した通りその魔人に姿を変えたのは、1人の酪農家と1匹の牛です。早急に王国の監視下に置くべきかと。魔人が人間の姿に化けていたに違いありませんので。」



「うむ。さっそく手を打とう。国王に許可を取った後、速やかに王国兵を差し向けよう。ご苦労だったなカーティス、褒美の金貨を用意させよう。これからも報告を頼むぞ。」



「とんでもございません。私も王国の危機と思ったものですから。」



 シュナイゼルが去った後、魔術師カーティスは冷たい微笑を浮かべていた。





―――とある森の中



「お前が酪農家のヨシダか!? 悪いが捕縛させてもらうぞ!」



「な、何するだ! あんた達は誰だ!? オラは何も悪い事してねーだよ!」



 突然ヨシダは100人の王国兵に囲まれ、捕縛されてしまったのだった。



 ヨシダの近くで眠っているハナ子は、まったく起きる気配がない。それもそのはず、実はヨシダを捕縛する前に、王国兵たちは強い眠り薬を塗った矢をハナ子に放っていたからだ。



「ワンワンワンっ!!」



 コマリが王国兵に吼えて飛び掛っていったが、大人数の兵士にはまるで歯が立たなかった。



「くそーっ!離せ!!・・・コマリーっ!ハナ子おおおっ!!」



 ヨシダの抵抗も虚しく、その身柄は王国兵たちに拘束されてしまったのだった。



「よし、牛の拘束はゲルグ殿にお任せしよう。王国兵も護衛に付けるが、くれぐれも気を付けなされよ。」



「了解いたしました。このゲルグにお任せください。家畜の扱いには慣れていますので。クククククっ。」



そしてハナ子は、元の飼い主であるゲルグの屋敷に監禁されてしまったのであった。



 森に取り残されたのは、王国兵に打ちのめされたコマリ一匹だった。



 全身傷だらけで立つ事も出来ずに、地面に横たわっている。ご主人と仲間の危機だとコマリは思ったのだが、全身が痛くてまったく動く事が出来ない。



 コマリの意識が無くなりかけて、視界がどんどん狭くなっていく中で、コマリはとある人物の姿を見た。



「おやおや、お前さん随分とハデにやられたもんだのお。ご主人を必死で守ろうとしたのじゃな。どれどれワシが治してやろう。」



 コマリは薄れていく意識の中で、その場を立ち去っていく1人の老人と2匹のブタの姿をぼんやりと見ていた。






―――数時間後。




「ワンワンワンワンっ!!」



「な、なんだよ!このウルサイ犬はっ!?」



 突然、冒険者ギルドの1階の広間に入って来た犬に、その場にいた冒険者たちは驚いていた。



 何かの危機を知らせるように吼えまくっている犬は、酪農家ヨシダの愛犬コマリだった。



 「お、おまえは確か、ヨシダ殿の飼っている犬ではないか!?どうしたのだ!?ヨシダ殿に何かあったのかっ!?」



 剣士ネルソン・オリバーの声かけに反応したコマリは、彼の着ていたマントの裾を口で引っ張り、外に連れ出そうとする。



「やはりヨシダ殿に何かあったのだなっ! 」



 ネルソンは急いで冒険者ギルドを出ようとするが、1人の男が彼の肩を掴んで制止した。ネルソンのパーティーメンバーの魔術師、カーティスだった。



「ネルソンさん、あいつは今頃王国の地下牢の中ですよ。魔人化出来ないように拘束されているはず。行っても無駄ですよ。」



「カーティス、貴様!命の恩人を王国に売ったのか!?何と言う事を!!」



「何を言っているんです? 古代竜すら簡単に殺してしまう魔人ですよ? これは王国、いや人類の危機ではありませんか。違いますかネルソンさん?」



「ヨシダ殿が人類を滅ぼすというのか!? そんなバカな話があるかっ!!」



 カーティスの制止を振り切り、剣士ネルソンは走り出したコマリの後を追った。


 

 しかし、冒険者ギルドから王城へと走っていた彼らだが、それを阻む邪悪な存在が迫っていたのであった。




応援ありがとうございます!更新頑張ります( ^ω^)

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