古代竜とヨシダハナコ
ダンジョン地下11階層。
伝説の剣士、ネルソン・オリバーのパーティーは最速でダンジョンの最深部まで辿り着こうとしていた。
「どうやらこの下の12階層が最終ステージのようですね、ネルソンさん。」
「そのようだなカーティス。おそらく今までに無く厳しい戦いになりそうだ。」
剣士ネルソンの仲間の4人は歴戦の猛者ばかりで、全員が「冒険者ランクS」を取得しているという、とんでもない先鋭揃いのパーティーだった。
「よし!12階層へ行くぞっ!!」
ネルソンが号令をかけると、メンバー全員から階層に響き渡るくらいの勇ましい応答が返ってきた。
11階層から12階層へと続く階段は、今までのそれとは比べ物にならない程に大きく、ネルソンのパーティー5人が横一列に並んで同時に降りていける程であった。
12階層は巨大な広さを持つ鍾乳洞で、つららの様な特大の突起物が天井からいくつも垂れ下がっている。ダンジョンとは思えぬ程の広さがそこにはあった。
―――すると、その場にいた全員の心に直接訴えかける、おぞましい声が聞こえた。
「無知にして無力、神が与えたもうたこの地に何の用だ、愚かな人間供よ。」
12階層の奥で一際大きな岩石の様な物が動き出したかと思うと、岩石に見えた物は巨大生物となりネルソン達のはるか頭上に巨大な翼を広げた。
「な、なにいいいいーっ!!ド、ド、ドラゴンだとおおおっ!?」
「そ、それもただのドラゴンじゃないぞ!」
「古代竜かっ!!」
剣士ネルソンは動じずに背中のバスタードソードを引き抜き、息を大きく吸い込み叫んだ。
「行くぞ!ドラゴン!!」
◇◆◇◆
―――どれくらいの時がたったろうか。
剣士ネルソンが後ろを振り向くと、地面に横たわっている瀕死の仲間達の姿があった。
ネルソンも肩で激しい息をしており、すでに満身創痍の状態であった。これまで激闘を制してきた彼のバスタードソードも半分から上を失い、彼のフルプレートメイルにはいくつもの大きなひびが入っていた。
「・・・ここまでか。」
「愚かなり人間よ。自分の無力さに気が付いたか?ここで全員死ぬがいい。」
古代竜がネルソン達にとどめを刺そうと、その口から炎を吐き出そうとしたその時だった。
突然12階層の天井が激しく揺れて大きなひびが入り、やがてそれは爆音と供に大崩壊してしまった。
すると天井から、古代竜よりも巨大な体を持った、邪悪にして獰猛なおぞましい「魔人」が飛び降りてきたのだった。その邪悪な瞳は目の前の獲物を早く惨殺したいと言わんばかりであった。
「魔人ヨシダ ハナコ参上っ!!」
古代竜は自身の巨体を上回る魔人の姿を見て、一瞬言葉を失った。それもそのはず古代竜は数百年という長い年月、自分よりも大きな生物を一度も見た事が無かったからだ。
「・・・な、何者だ? 魔人なのか!? む、無知にして無力な魔人よ! 神が与えたもうたこの地に何のようだ!?」
魔人ヨシダ ハナコは、古代竜の質問には耳を貸さずに、その首根っこを左手で力強く掴むと強烈な往復ビンタをくれてやった。
バチコーンっ!!
「グギャああああああああああああああーっ!!」
バチコーンっ!!
「グギャああああああああああああああーっ!!」
断末魔と供に古代竜の首はもげて、死んでしまったのだった。
評価、ブクマ、本当にありがとうございます!!
イラストが得意な方、ぜひ「魔人ヨシダハナコ」の絵を描いてくださいw