魔人降臨!!
「・・・こ、これはいったいどうなってるだ!?」
ヨシダとハナ子がダンジョンの2階層に着くと、ウィルバーの盗賊団チームがほとんど全滅していたのだ。どのメンバーも大量の血にまみれて横たわっている。
「た、頼む、助けてくれぇ・・・。」
「・・・痛いよおお。おじさん助けてええ。」
ヨシダをバカにした盗賊団メンバーのトムとリンダにはまだ息があった。
「だ、大丈夫だか!?しっかりするだ!オラが治してやるだ!」
ヨシダは持っていたポーションらしき物を2人に飲ませてやった。
「ウゲええええーっ!!ま、まずい!何だこりゃあああっ!?」
「オエエエエエエエーっ!!」
2人はたまらずポーション吐きそうになるが、その時だった。
「ヨシダノクスリ、ハク、ユルサナイ!」
瀕死の2人が上を見上げると、仁王立ちしたハナ子の目が再び青白く光り、その握り締めた両こぶしがとてつもない殺気に満ち溢れていた。
「ひいいいいいいっ!!」
2人は恐怖に震え、ヨシダのポーションを全部飲むしかなかった。
「これはそこら辺で取れた雑草を潰したもんだ。弱ったハナ子もこれで元気になったんだぞ。」
「・・・ざ、雑草!?薬草じゃなくて!?」
トムとリンダは呆然としている。
「んだ。でも元気になるどー。もう歩けるかもしんねえぞ。」
ヨシダがそう話すと、本当にトムとリンダの体はどうにか歩けるくらいにまで回復したのだった。
「ところで、どうしてみんなやられてるだ? バカ強い魔物でも出たんか!?」
「そ、そ、そうなんだああっ! みんなあいつにやられたんだっ! あんなのに勝てるわけねえええっ!!」
トムは全身を恐怖で震わせながら、ヨシダに訴えた。
すると近くから巨大な足音が聞こえて来た。
その足音はダンジョンが大きく揺れるほど激しいものだった。
―――ドスン!ドスン!ドスン!
ヨシダが見上げると、1つ目の大巨人「サイクロプス」がこっちを凝視していた。
「お、お前がみんなをやったのか!? 許せねーだ!何も殺す事なかったんだあっ!!」
「ンモオオオオーっ!!」
ヨシダとハナ子は同時にサイクロプスに飛び掛った。
「酪農ドロップキックっ!!」
「ンモオオオオーっ!!(ハナ子パンチっ!)」
2人の改心の一撃が炸裂したかに見えたが、何とサイクロプスは無傷だった。
「グガアアアアーっ」
怒ったサイクロプスは持っていた巨大な棍棒を大きく振り回した。
「ぐああああああああっ!」
「ンモオオオオーっ!!」
ヨシダとハナ子は棍棒の痛恨の一撃をモロに喰らってしまい、ダンジョンの床に横たわってしまった。
何とか2人は立ち上がり、再び戦闘態勢に入ろうとする。
「何やってんだっ!!そんなバケモノに勝てるわけねーだろ!逃げるしかねーだろが!!」
「そ、そうよ!もうこのダンジョンは諦めるしかないわよっ!!」
トムとリンダは1階層に続く階段の方へ何とか逃げ出して、ヨシダとハナ子に叫んで訴えた。
「そ、そういう訳にはいかねーだ!オラには金がどうしても必要なんだ!大事な物を取り戻すんだ!」
そう言いながらヨシダはサイクロプスに突進しようとしたが、ハナ子に腕を掴まれて制止させられたのだった。
「ど、どうしたハナ子!? これは負けられない男の戦いなんだぞっ!?」
「ヨシダ、ハナコト、ガッタイスル!!」
再びハナ子の目が青く光出した。
「が、合体!? オラとハナ子でするのかっ!?」
「ガッタイ、サイキョウ、チート!」
「チート・・・!?」
ハナ子は右こぶしをヨシダの方へ突き出すと、ヨシダはそれに応えるように自分の右こぶしをそれに重ねた。
2人の周りからは眩いばかりの光が放たれている。
やがて光が弱くなり、トムとリンダが2人の方を見ると・・・
サイクロプスをはるかに上回る超巨大なモンスターが腕組みをして仁王立ちしていたのだった!
悪魔王のような邪悪で巨大な肉体に、天井までそそり立つ2本の巨大な角。その目は地上生物を全て皆殺しにしそうな獰猛さに満ち溢れていた。
まさに魔人そのものである。
そしてその魔人の口がゆっくりと開かれた。
「ヨシダ ハナコ 参上っ!!」
魔人はその名を名乗ると、凄まじい破壊力の頭突きをサイクロプスにお見舞いした。その威力はまるでダンジョン全体が崩壊しそうな程であった。
「ぐぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああーっ!!!」
サイクロプスは、魔人「ヨシダ ハナコ」の頭突き1発で、断末魔をあげて死んでいった。
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