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激ヤバ!キングミノタウロスの咆哮



「キャハハハハーっ!本当に来たわよ、あの酪農おじさん!」


「やべえっ!また牛も連れてるよ!牛に何が出来るっつーんだよっ!!」




 冒険者ギルドで、酪農家ヨシダをからかった男女2人、トムとリンダは、ウィルバーの盗賊団に所属していた。



「ウイルバーのおかしら、あれがさっき話してた酪農のおっさんですよ!」



「ほう、どうやら相当イカれた野郎みたいだな。放牧にでも来たのか?ククククククっ!!」



 ウィルバーの盗賊団からはヨシダを中傷するような笑いが響き渡っていた。



「さて、さっそくダンジョンに入ってみるか!魔物を退治すれば5000万ペソーもらえんだ。それがあれば新しい牧場だって作れるぞ!」



 ヨシダは牛のハナ子を連れてダンジョンへ入ろうとしたが、すでに剣士ネルソンのパーティーが準備を終えて1番乗りでダンジョンへと入っていった。



「おいおいっ!酪農のおっさんは新人なんだから1番最後にダンジョンに入るのが礼儀だろうが!?」



「そ、そうなのか?そいつは知らなかった。オラが悪かった、どうぞ先に入っとくれ!」



 ヨシダは盗賊団の男に注意されると、素直に道を譲ってしばらく経った後1番最後にダンジョンへと入っていった。



 ヨシダがダンジョンへ続く階段をハナ子とゆっくりと降りていく。



「ハナ子、こんな所まで連れて来て悪いなー。でもお前の力がどうしても必要なんだ。オラと一緒に頑張ってくれな!」



 ハナ子は嬉しそうに尻尾を振っている。



 ヨシダがハナ子と一緒にダンジョンの階段を下りて1階層目にたどり着くと、すでに剣士ネルソンのパーティーの姿は無かった。すでに地下2階層まで行っているようだった。



 そしてヨシダをバカにした盗賊団の一行も、1階層に巣食うゴブリンの集団を仕留め終わったようだった。



「まだまだゴブリンは沢山出て来るぜえ~。おっさんも死なないように、せいぜい頑張れよ。」



 盗賊団のメンバー達はまだ地下2階層には行かずに、地下階段のそばでヨシダがゴブリンとどう戦うのかニヤニヤしながら眺めている。



 すると数秒後には、あっという間にヨシダとハナ子はゴブリンの集団に囲まれてしまった。



 その数6匹。



 「ゴブリンって言ったら、民家や牧場を襲う悪い奴らだったな!よしオラが懲らしめてやる!」



 ヨシダが戦闘態勢に入ると、ハナ子の目も青白く光り出した。



 「ヨシダ、オンジン、トモ二タタカウ!!」



 すると、突然ハナ子は筋骨隆々なミノタウロスに変身し、鼻息を荒くして戦闘態勢に入った。もうすでにゴブリン供を惨殺する気満々である。



「ウンっっモオオオオオオオーっ!!」


 

 ハナ子はダンジョン全体に響き渡るような大きな雄叫びを上げた。心なしかハナ子の雄叫びでダンジョンが揺れているようだった。



「な、な、何だあれはあぁぁぁあーっ!?ミ、ミノタウロスだとおおおおーっ!?」



「そ、それもただのミノタウロスじゃないわああっ!あの大きさは、キ、キングミノタウロスよ!!」



 盗賊団に一気に緊張が走る。



 盗賊団一行の中には、足が震えてその場に立ち尽くしてしまっている人間もいた。


 

 それもそのはず、キングミノタウロスと言えば「ランクA」以上の冒険者でないと勝てないとされている超凶暴なモンスターだからだ。



「よし、ハナ子!右の3匹はまかせるぞ!オラは左の3匹だ!」


「モオオっ!!」



 ヨシダは拳を強く握ると、左側にいたゴブリン3匹に襲いかかった。




「酪農パンチっ!!」



「グギャアアアアアーっ!!」



「酪農ラリアット!!」



「グハアアアアーっ!!」



「酪農パイルドライバー!!」



「ぷべらっ!!」




 ヨシダは3匹のゴブリンを瞬殺した。ハナ子の相手のゴブリンに至っては、その恐ろしい姿を見ただけで速攻で逃げ出してしまっていたのだった。



「ウ、ウソだろおおおーっ!?あ、あのオヤジ!!相当強いぞおおっ!!な、何者なんだああっ!?」



「そ、それに、あのキ、キ、キングミノタウロスも従えてるなんてっ!!いったいどうなってるのよおお!?」



「と、とりあえず2階層へ逃げるぞっ!!いそげっ!!」



 盗賊団のメンバー全員は、ヨシダとハナ子から慌てて逃げるように地下2階層に続く階段を下りて行った。



「よし、悪いゴブリン達をやっつけられたなー。ハナ子も良くやったぞー!」



「ンモオオっ!」



「この調子でどんどん魔物たちをやっつけていくべ!」



 ゴブリンをやっつけたヨシダとハナ子は、張り切って2階層へ続く階段を下りていった。




 しかし!



 2階層では驚くべき光景が広がっていたのだった。




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